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どうして円高が止まらないのか?

2016年02月25日

どうして円高が止まらないのか?


 最初にお断りしておきますが、本日は大変に感覚的な記事です。

 1月29日の「唐突な」マイナス金利導入には、円高に振れ始めた円相場を再び円安に戻す目的があったはずです。

 本日(2月24日)午後11時現在の円相場と、マイナス金利導入前日の1月28日のNY終値(カッコ内)を比較してみます。実際はマイナス金利導入発表直後に少し円安となりましたが、何度か書いたように大変な「誇大発表」で参考にならないので無視します。

 羅列になりますが、1ドル=111.71円(118.80円)、1ユーロ=122.68円(129.97円)、1ポンド=155.54円(170.60円)、1豪ドル=79.92円(84.17円)、1人民元=17.08円(17.94円)となっています。

 つまりマイナス金利を発表したにもかかわらず、かなりの円高になっています。マイナス金利が「誇大発表」だったとしても実際に市中の短期金利はマイナスとなり、本日は再び10年までの国債利回りがマイナスとなるなかで、円高が加速していることになります。

 2月12日付け「国際収支統計から読む円高反転」でも書いたように、本邦機関投資家の対外投資は2014年10月31日の追加量的緩和から加速しました。GPIFの資産構成比率が変更され株式と海外資産の比率が大幅に拡大されたのも同じ日で、それを受けて官民の機関投資家が「狂ったように」日本株と海外資産(株と債券)を買い越していました。

 2015年暦年の官民の本邦機関投資家の海外資産(株と債券)買い越し額は36兆円、2014年暦年の買い越し額は11兆円、これに対して「異次元」量的緩和が4月から導入された2013年暦年は何と8兆円の売り越しでした。

 つまり本邦機関投資家は、円相場が年間平均で1ドル=97円、1ユーロ=129円だった2013年に海外資産を8兆円売り越し、1ドル=106円、1ユーロ=140円だった2014年に11兆円買い越し、1ドル=121円、1ユーロ=134円だった2015年に36兆円も買い越したことになります。

 繰り返しですが本日(午後11時現在)は1ドル=111.71円、1ユーロ=122.68円となっています。これは官民の本邦機関投資家を批判しているのではなく、追加量的緩和後である2015年の36兆円ペースの海外資産買い越し(それも大半を上海株式が急落した8月までに積み上げたはずです)を継続しない限り、以前の円安には戻れないと考えるからです。

 昨年12月にFRBが利上げして、本年1月29日に日銀がマイナス金利導入を発表したにもかかわらわらず(実施は2月16日から)一向に円安にならないなかで、官民の本邦機関投資家は海外資産を買い増すこともできず、たまらず一部を損切りしたり外貨のヘッジ売りをしたりで、ますます円高が加速しているはずです。

 もちろんそれに個人投資家のFX取引を含む「短期売買」も加わっているはずですが、(今のところ)いわゆるヘッジファンドの円買いはそれほど大きくないようです。

 本日(2月24日)の円相場を見ていると、日中に1ドル=111円台に入ると112円台に何度か押し戻されていましたが、夜間の海外時間に入ると111円台のままです。また日本が休日だった2月11日に一瞬1ドル=110.96円まで円高になった時も「為替介入」のうわさが出て、週明けの2月15日には1ドル=113円台まで戻っていました。

 実際には為替介入ではなかったはずですが、2月11日の一瞬の110円台とか、本日の1ドル=111円台では、官制(民間ではないと思います)機関投資家のドル買いが入っていたような気がします。ドルだけ「値持ち」がよいため、ECBの追加緩和があるはずのユーロは敬遠しているようです。

 またドルだけではなく、本日は円高だった割には日経平均が136円安と「比較的堅調」で、GPIFなど官制機関投資家が海外資産(ドル)だけでなく日本株も買っていたような気がします。

 今よりはるかに株高・円安だった時期に日本株や海外資産を「狂ったように」買っていたことに比べれば結構なことですが、経験的に言えることは当局の意向をうけて中途半端な買い支えを行っているなら、必ず大型ヘッジファンドが仕掛けるタイミングを伺っているものです。

 その「仕掛け」とは日本株売り、円買い、それに(たぶん)長期国債売りのはずです。そのように仕掛けられると日本中が間違いなくパニックになるからです。

 本日は「そんな感じがする」ため、予定を変更して感覚的な記事となりました。予定していた記事は明日に掲載します。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.02.25
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英国はEUを離脱するのか?

2016年02月24日

英国はEUを離脱するのか?


 英国では、6月23日に欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われます。たった4ヶ月先のことです。

 2015年5月に行われた英国下院総選挙ではキャメロン首相率いる保守党が単独過半数を獲得しましたが、その際の公約にEUとの関係を再交渉したうえで(英国の立場を強化したうえで)2017年末までにEUに留まるか離脱するかを問う国民投票の実施が含まれていました。

 もともとキャメロン自身は離脱に反対ですが、英国内でも不満が大きくなっている移民への社会保障に対し2月19日まで開催されていたEU首脳会議である程度の制限を加える合意が勝ち取れたため、勇んで国民投票を前倒しで実施してライバルの労働党に差をつけてしまおうと考えたわけです。

 ところが身内のはずの保守党からジョンソン・ロンドン市長や複数の閣僚が造反し、離脱に反対のスコットランド民族党(保守党、労働党に次ぐ第3勢力)は「離脱すれば独立する」と言い出し、早くも波乱含みになってしまいました。

 つまり英国のEU離脱は、すでにキャメロンを叩く政治駆け引きの材料に使われていることになり、国民投票の結果に関わらずキャメロン政権の弱体化は避けられません。

 もともとEUの前身であるEEC(欧州経済共同体)は、フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの旧フランク王国をオリジナルメンバーに1957年に発足し、英国は1973年にアイルランド、デンマークと共に加盟が認められた「外様」です。

 英国の加盟についてはフランスのド・ゴール大統領が最後まで「(米国の)トロイの木馬だ」と認めず、ド・ゴールの死後にようやく加盟できた経緯があります。EECは1992年に発展的に解消されてEUが発足し、現在は東欧諸国を含む28ヶ国が加盟しています。

 それでは英国はEUから離脱してしまうのでしょうか?

 結論から言うと国民投票の結果がEU離脱となる可能性は低いと考えますが、仮にEU離脱の結果になったとしても、それですぐに英国がEUから離脱する(できる)わけではありません。

 2009年12月発効のリスボン協定でEUから離脱する手続きが「はじめて」決められたのですが、「当該国が離脱を希望して」「加盟国の過半数が賛成したら」「2年後に離脱できる」となっています。つまりEUは勝手に離脱することも、加盟国を追放することもできない仕組みになっています。

 つまり2017年のフランス大統領選挙で「EU離脱」を掲げるFN(国民戦線)のルペン党首が当選しても、すぐに離脱はできません。

 つまり英国がすぐにEUから出ていく可能性はありませんが、それでも国民投票までは結果予想を巡り金融市場が混乱することになりそうです。そうでなくても問題山積(弱気になる材料山積)の世界金融市場に、また懸念材料が1つ出現したことになります。

 差し当たって身構えておくべきはポンドの下落です。ポンドは英国経済と株式市場が好調で利上げが近いと考えられていた2015年6月の1ポンド=1.59ドルから本日(2月23日)は1ポンド=1.41ドルまで11%強下落しており、対円では同時期に1ポンド=195円から158円まで実に19%も下落しています。

 ポンドは対ドルでは、リーマンショック直後の急落時の1ポンド=1.36ドルにかなり接近していますが、その時点の対円の安値は1ポンド=118円なので、ポンドは対円ではますます下落しそうな気がします。

 そもそも英国経済にとって最大の頭痛のタネは、原油価格の急落で中東のオイルマネーが激減してロンドン(シティ)から引きあげられ、世界のドル金融市場におけるロンドンの地盤沈下に拍車がかかることです。

 それでキャメロンは中国にすり寄り、AIIB参加にも欧州で真っ先に手を挙げ、(粗悪な)中国製原発も大量に発注してまで中国マネー(これもドルです)を呼び込もうとしています。

 しかしここで仮にEU離脱の可能性が燻り続けば、英国経済はドル圏でもユーロ圏でも存在感がますます小さくなってしまいます。かつての基軸通貨であるポンドの長期的低落は、まだ始まったばかりのような気がします。

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