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オリンパス事件の光と影  その21

2016年03月08日

オリンパス事件の光と影  その21


 もういろんなものも出てこないだろうとオリンパス新刊本(題名未定)の仕上げに取り掛かっていますが、巨額損失隠しとほぼ同時並行だった「もう1つのオリンパス事件」が表に出てきてしまいました。

 オリンパスは3月2日に「米国司法省との合意について」なるIRを発表しました。オリンパス米国子会社の2006年から2011年までの米国医療事業に関して2011年11月から米国司法省の調査を受けていたところ、このたび6億4600万ドル(736億円)の罰金、制裁金および利子を支払うことで和解したというものです。

 要はオリンパス米国子会社が米国における医療機器販売に際し、医療関係者に禁止されているキックバックや利益供与を行っていたというものです。調査対象となった2006年から2011年にかけてオリンパス米国子会社がこうした不正により販売した医療機器は70億ドルにも上るようです。

 また調査対象となったのは2006年~2011年だけですが、こういった不正が2006年から始まったわけでもないはずで、1980年代から始まった損失隠しと同じようにかなり以前から恒常的に行われていた可能性があります。

 これ自体はオリンパスが2015年2月6日付け「当社子会社に対する米国司法省の調査に関するお知らせ」で初めて明らかにしており、同年5月8日の2015年3月期決算短信発表に合わせて539億円の特別損失を計上し、同期の純利益を従来予想の450億円の黒字から87億円の赤字としていました。つまり今になって急に発表したものではありません。

 また2015年8月6日には24億円、2016年2月5日にも156億円の特別損失を追加計上し、予想される特別損失の大半はすでに計上しているため2016年3月期の通期見通しは従来予想の560億円の黒字を据え置きました。つまり「新たに業績に悪意影がないので問題ないでしょう?」というような一連のIRです。

 この件は2015年5月13日付け「オリンパス事件の光と影  その16」でも取り上げてありますが、この米国司法省が調査に取り掛かった2011年11月とは、まさにオリンパスの巨額損失隠し事件が発覚し連日大騒ぎになっていた時期と「完全に」重なります。

 まず2011年10月14日にウッドフォードが社長(当時)を解任され、直後にウッドフォードのタレこみをFTが大々的に記事にしたため大騒ぎとなり、同年10月26日に社長を兼任していた菊川会長(当時)が辞任し、ついに同年11月8日にオリンパスは1980年代から延々と続けていた巨額損失隠しを公表しました。

 さらに同年12月6日に第三者委員会の調査報告書が提出され、それを受けてオリンパスは過去の有価証券報告書等を訂正し、翌2012年2月16日に東京地検特捜部が菊川らを金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で逮捕しました。

 つまりこういう騒動の真っ最中だった2011年11月に(日付は特定されていませんが)、オリンパス米国子会社には米国司法省の調査が入っていたことになります。また菊川社長兼会長(当時)は1990年代後半にその米国子会社の会長を務めており、まさに二重の意味で渦中の人物だったことになります。

 ところがこの米国司法省の調査については、当時のオリンパスは全く公表していません。近い将来にオリンパスの業績に大きく影響する可能性が強かった(事実そうなった)にも拘わらず、2015年2月まで全く公表していなかったことになります。

 「それどころではなかった」は理由になりませんが、実はこの件に関してオリンパスがいまだに公表していない事実がありました。

 オリンパス米国子会社のコンプライアンス責任者だったジョン・スロウィク氏が、これらの不正を「発見」し、2010年に米虚偽請求取締法に基づき内部告発の訴訟を起こしていたのですが、直後に解雇されていました。

 社長を解任されたウッドフォードが腹いせにFTなど海外の報道機関に内部資料をごっそり持ち込んだ行為とは次元が違うようですが(コンプライアンス責任者の法的義務だから)、今回の米国司法省との和解に際しスロウィク氏にも5110万ドル(58億円)が支払われるとBloombergが伝えています。これはオリンパスが公表した6億4600万ドルに含まれるのか別負担なのかは不明です。

 2011年10月に解雇されたウッドフォードも1000万ポンド(15億円)の和解金をせしめたのですが、まさに過去からの巨額損失隠しと同時並行で「もう1つのオリンパス事件」が進行していたことになります。

 2月26日付け「オリンパス事件の光と影 その20」に書いたように、ウッドフォードは「自分は社長を解任されたのだから和解金の1000万ポンドは不当に少ない」と考えたのかどうかはわかりませんが、追加で巨額賠償金を求める訴訟を英国で提起しています。証拠物件としてドキュメンタリー映画まで制作しており、なかなか気合が入っているようです。

 「もう1つのオリンパス事件」を片付けた米国政府が、損失隠しでも「巨額罰金ビジネス」を開始する可能性も残り、いつまでたっても目が離せないオリンパスとなります。

 何とかゴールデンウィーク前に発売したいと考えている新刊本に書き加えることが、また増えてしまいました。


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■企業 | 2016.03.08
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