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ECBの追加金融緩和

2016年03月09日

ECBの追加金融緩和


 今週の最大イベントは3月10日に開催されるECB理事会ですが、すでに1月21日の理事会でドラギ総裁が「何かしらの追加緩和」を行うことを予め表明しています。

 このECB理事会に続いて3月14~15日には日銀政策決定会合、15~16日にはFOMCが開催され(どちらも変更なしのはずですが)、日米欧の金融政策を決定する会合が連続することになります。

 ECBの金融政策の主な流れは、2014年6月にマイナス金利導入(下限金利をマイナス0.1%、上限金利を0.4%)、同年9月にマイナス金利幅拡大(下限金利マイナス0.2%、上限金利0.3%)、2015年3月に量的緩和開始(月額600億ユーロの資産購入を2016年9月まで)、同年12月に量的金融緩和延長(2017年3月まで)とマイナス金利幅拡大(下限金利マイナス0.3%、上限金利据え置き)となっています。

 ECBはマイナス金利といっても下限(運用側)金利だけがマイナスで、上限(調達側)金利は当然にプラスです。これは日銀でも同じはずで、日銀の政策金利も正確に言えば下限がマイナス0.1%、上限がプラス0.1%のはずです。これをマイナス金利とだけ強調するため混乱が起きることになります。

 ユーロ圏ではこれら金融政策の効果もあってか、実質成長率は2014年通年が0.9%、2015年通年が1.5%と「それなりに成長」していますが、本年2月には消費者物価上昇率が前年比0.2%の下落と5カ月ぶりのマイナスとなり、さらに本年1月末にはドイツバンクの巨額赤字と経営危機説が流れるなど、確かに一層の金融緩和が必要と考えられます。

 1月21日の理事会で3月の状況を予測して追加緩和を明言したドラギ総裁も「たいしたもの」ですが、ここで追加緩和といってもマイナス金利幅拡大か、ECB(あるいはユーロ圏各国の中央銀行)による資産購入拡大か、その組み合わせしか考えられません。

 ところでECBのマイナス金利とは、銀行の法定準備を超過するECBへの預金すべてに下限金利のマイナス0.3%が適用されているはずです。2月26日現在のECBのバランスシートには、銀行からの預金が7860億ユーロ(97兆円)計上されていますが、この大半にマイナス0.3%が適用されているはずで、確かに欧州の銀行の収益を悪化させています。

 ちなみに2月29日現在の日銀は銀行から259兆円もの当座預金残高を預かっていますが、日銀がマイナス金利導入を発表してから1週間もたって「やっと白状」したようにマイナス0.1%が適用される残高はわずか10兆円で(しかもその半分以上がゆうちょ銀行)、210兆円ほどにはこれからもプラス0.1%が支払われ続ける「誇大発表」されたマイナス金利導入でした。

 ところがこの10兆円のマイナス金利だけで、1000兆円もある発行残高の85%に相当する10年までの国債利回りを含む短期金融市場全体がマイナス金利になってしまいました。

 これはひょっとして「瓢箪から駒」で、ECBの金融政策は景気刺激と銀行収益の維持という一見矛盾する目的を果たすことを求められているため、例えば下限金利をマイナス0.4%とかマイナス0.5%に下げて、それを適用するECBへの預金残高を大幅に減らしてしまっても、同じように金利低下(マイナス幅の拡大)効果が期待できるかもしれません。

 日銀の「誇大発表」されたマイナス金利でも、市場の金利低下効果は「絶大」だったからです。ECBがこれを真似するかどうかは、ちょっと興味があります。

 ところで日銀は「異次元」量的緩和を2013年4月から実施し、2014年10月に追加量的緩和に踏み切り、2016年2月からマイナス金利を導入しました。ECBと日銀では量的緩和とマイナス金利の順番が違いますが、相乗効果で金利低下効果「だけは」拡大することは間違いないようです。

 じゃあこれが景気刺激策になるのかというと、残念ながらそうとは限りません。追加緩和前の3月7日時点でもドイツ国債利回りは、2年がマイナス0.55%、5年がマイナス0.36%、10年がプラス0.20%、30年がプラス0.97%となっています。

 ちなみに同日の日本国債利回りは、2年がマイナス0.22%、5年がマイナス0.20%、10年がマイナス0.05%、30年がプラス0.68%となっており、イールドカーブの傾きがだいぶ違います。

 これは政策金利(短期金利)のマイナス幅はドイツの方が大きく、日本経済の方が潜在成長率(期待収益率)は低いため、こういうイールドカーブになっています。ここでECBが更なる利下げに踏み切れば、このイールドカーブがもっと立ってしまうことになり、日本でもドイツでも経済が回復しそうなイールドカーブではありません。

 いずれにしても3月10日の決定と、その直後の各金融市場の動きに注目することにします。何しろ我々は、歴史上にもなかった金融政策の「証人」でもあるからです。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.03.09
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