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そもそも流出した「パナマ文書」はどこにあり、誰がアクセスできているのか? その2

2016年04月27日

そもそも流出した「パナマ文書」はどこにあり、誰がアクセスできているのか? その2


 昨日の続きです。「パナマ文書」といっても21万余のオフショアカンパニー所有者(Beneficial Owner)の実名とか、その非合法も含めた活動内容など「最も重要な部分」がどこにあり、誰によって管理され、誰によってその利用方法が決定されるのかなど、一切が不明なままです。

 1970年代など古い時代の情報や、単なる法人名や住所、Nomineeに過ぎない役員名や株主名が公開されてもほとんど何の役にも立ちません。ICIJの会員ジャーナリストは、このほとんど何の役にも立たない情報の分析に動員されているようです。

 ところで昨日付け「同題記事 その1」の最後に書いた、最も重要な部分を含む「パナマ文書」の元データがもう1つあるがどこでしょう?の答えは、もちろんモサック・フォンセカ法律事務所です。データは現金や宝石と違うので盗難にあっても残っているからです。

 コメントに正解も頂いていますが、それだけだと「ほんの駄洒落」です。しかし事件発覚(4月3日)後の4月12日に、パナマ検察と警察がモサック・フォンセカ法律事務所を強制捜査し、最も重要な部分を含めた「パナマ文書」をそっくり押収していったはずです。

 しかも単にコピーしたのではなく、パソコンやサーバーや印刷された関連文書の原本などを「ごっそり」と運び出した可能性があります。検察と警察は丸1日以上もモサック・フォンセカ法律事務所に陣取っていたそうです。つまり最も重要な部分を含む「パナマ文書」の元データや証拠書類「そのもの」が、そっくり押収されてしまった可能性があります。

 一時はモサック・フォンセカがデータを「盗難」されたと被害届を出し、その犯人を捜すための捜査かとも思われたのですが、モサック・フォンセカ自体が捜査対象だったようです。

 一応はパナマも法治国家のはずですが、これは奇異に映ります。パナマ警察や検察が、あくまでも盗難被害者であるモサック・フォンセカをこれほど素早く強制捜査するためには、何か大きな力が働いたと考えるしかありません。
 
 逆にモサック・フォンセカは香港と中国本土に10か所近い事務所があるそうですが、これらに中国当局が何かしらの「捜査」を加えた事実はなさそうです。中国当局こそ、お構いなしに強制捜査・拘束・国外追放などができるはずですが、放置したままです。

 パナマは自国通貨がなく米ドルが流通しているほど「米国に近い国」です。この辺を考え合わせるとやっぱり今回の「黒幕」は米国ということになります。ウィキリークスは、米国国務省傘下の国際開発庁(USAID)の仕業と伝えていますが、そんなところなのでしょう。

 少し違う話ですが、OECDが主導する世界各国が非居住者に対する「金融口座に関する自動的情報交換(AEOI)」が2017年あるいは2018年から順次スタートするようで、日本はもちろんOECD諸国やG20などほとんどの「先進国」が参加を表明しています。

 海外領土などにオフショア金融センターを多数抱える英国、金融立国のスイス、それに何と中国や香港まで参加するようで、明らかに参加しない国はシンガポール、バーレーン、リヒテンシュタインくらいです。また今回の騒動でパナマも参加するようになりました。

 ここでAEOIはオフショア金融センターにおけるオフショアカンパニーが参加国(例えばロンドンや香港)の金融機関に開設する金融口座も対象に含まれるはずですが、AEOI自体が2国間の情報交換を基本としているため、オフショアカンパニーの口座情報をオフショア金融センターに提供する意味がありません。「見返り」がないからで、AEOIはオフショアカンパニーに対しては何の効果もないことになります。

 ところでこのAEOIには、肝心の米国が独自の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)が施行されることを理由に署名せず、実質的に不参加となります。米国では(連邦政府ではありませんが)ネバダ州、ワイオミング州、ユタ州、デラウェア州などは「れっきとした」オフショア金融センターで、そこにオフショアカンパニーでも何でも誘致して資産(ドル資産)を米国に還流させる目的もあるはずです。

 世界中のオフショアカンパニーの資産総額は20~30兆ドル(2000~3000兆円以上)と言われており、その大半がケイマン、BVI、ガンジー諸島など英国領内にあり(ケイマンは一応独立国)、その資産はほとんどがドル資産で物理的にはロンドンにあるはずです。

 ここまで膨らんだオフショアカンパニーの資産を捕捉することが不可能なら(不可能です)、大半がドル資産であるオフショア資産を自国内に取り込もうと米国が考えてもおかしくありません。

 つまり今回の「パナマ文書」を巡る騒動の「黒幕」は米国でしかなく、その最大のターゲットはオフショアカンパニー相手にドルで大儲けしているロンドンを叩くこととなります。

 そう考えると6月23日に迫った英国のEU離脱を問う国民投票で、ジョンソン・ロンドン市長がEU離脱に賛成している理由もわかるような気がします。

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■闇株的見方 » 社会 | 2016.04.27
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