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日産を取り戻すどころか三菱自動車まで取られてしまった

2016年05月13日

日産を取り戻すどころか三菱自動車まで取られてしまった


 寄せられたコメントから拝借した表題です。日産自動車と三菱自動車は本日(5月12日)それぞれ取締役会を開催し、日産自動車がまさに「電光石火」で三菱自動車を傘下に入れてしまいました。

 三菱自動車は4月20日に、まさにその日産自動車からの「通報」で燃費データ不正が発覚したばかりでした。また両社は2011年から折半出資で軽自動車の共同企画会社を運営しており、日産自動車は燃費データ不正で三菱自動車が受けるダメージを比較的正確に見積もることができたはずです。

 本誌も「日産自動車を早くルノーから取り戻そう」と繰り返していたら、今度は「日産自動車に(正確にはフランス政府とルノーとカルロス・ゴーンに)三菱自動車まで取られてしまった」ことになります。

 本日(5月12日)夕方に発表されたプレスリリースでは、日産自動車が三菱自動車の新株・5億662万株を1株=468.52円で引き受け(投資金額2373億円)新株発行後の議決権の34.0%を保有する筆頭株主になると書かれています。日産自動車は実質的に三菱自動車を傘下に入れてしまうことになります。

 ただプレスリリースには、株式の取得は三菱自動車の株主である三菱グループと株主間契約を結び、規制当局の承認を経て、2016年5月末をめどにアライアンスの正式契約を締結し、2016年末までにすべての手続きが完了する見込みであるとも書かれています。

 つまり6月下旬に三菱自動車の株主総会が開催されるはずですが、そこで株主の承認が必要とは想定されておらず、三菱自動車の株主である三菱グループと根回しをしていたとも思えません。

 つまりこの新株発行は、株主総会で出席者の3分の2以上の賛成で承認される特別決議が必要な「重要案件」であることは間違いなく、また日産自動車が三菱グループに事前に相談していたらこんなにすんなり発表できたはずがありません。

 まさによく言えば「電光石火」、正確に言えば「燃費データ不正のどさくさに紛れて」、さらに多少の推測を入れれば「燃費データの不正を通報するタイミングも含めて最初から仕組んでいた」となります。

 三菱自動車は2000年と2004年に大規模なリコール隠しが発覚して経営危機に陥り、三菱グループの三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行などが3800億円の優先株引き受けを含む総額6300億円もの金融支援を行いました。

 総額3800億円の優先株は(たぶん)一度も配当が支払われたことがないまま2015年までに2700億円が2000億円で償還され(つまり25%の償還損となり)、残る1100億円が普通株に転換され三菱グループが34%の議決権を保有して現在に至ります。2000億円の優先株の償還金は、公募増資などで総額2400億円以上を市場から調達して賄いました。

 しかしここで日産自動車が5億株以上の新株を引き受けてしまうと、三菱グループの議決権は22.4%くらいまで低下し、株主総会の特別決議に対する拒否権もなくなってしまいます。つまり2000年以降、グループを挙げて三菱自動車を支援してきた三菱グループは(投資損益でもほとんど利益が出ていないはずです)、単なる「ちょっと大きいだけの」一般株主になってしまいます。

 そこは「大変に人間ができている?」三菱グループなのでご立腹とはならないのかもしれませんが、普通なら「ふざけるな!」となるはずです。

 三菱グループでは三菱商事が資源開発で大赤字となり、三菱重工は1000億円で受注した大型客船2隻で2300億円以上も損失となり「それどころではない」かもしれませんが、少しは日本のために抵抗してみるべきです。

 日産自動車をルノーから取り返すことに比べればはるかに簡単で、三菱自動車の新株発行を裁判所に差止め請求して6月の定時株主総会における「特別決議による承認事案」にしてしまえば、三菱グループは3月末の基準日に議決権の34%を保有しているため否決できます。

 つまり発表されたように、日産自動車が三菱自動車を傘下に入れることができなくなります。

 ハッキリ言えることは、三菱グループはここで抵抗しておかないと、あとは日産自動車と同じように三菱自動車もフランス政府とルノーとカルロス・ゴーンに食い尽くされるところを見ているだけとなります。燃費データ不正の影響がどこまで深刻であるかは分からなくても、三菱自動車をたった2373億円で売り渡してしまう必要もないはずです。

 三菱重工が大型客船2隻でこうむった損失とほぼ同額だからです。


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■企業 | 2016.05.13
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