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現在のドル円相場は「安定ゾーン」

2016年06月30日

現在のドル円相場は「安定ゾーン」


 「ドル円相場予想はまだか?」とのコメントをいただいていました。ドル円を含む為替相場や日経平均を含む世界の株式市場については、メルマガ「闇株新聞 プレミアム」でほとんど毎週のように解説していますが、本誌では昨年(2015年)12月16日付け「そろそろ円安終了?」を最後に久しく書いていませんでした。

 そこで本日の記事となるのですが、こんなに毎日のように乱高下しているドル円相場が何で「安定ゾーン」なのだ?と思われるかもしれません。

 リーマンショック以降のドル円相場は、民主党政権と白川日銀総裁時代の閉塞感と消極的な金融緩和に東日本大震災(2011年3月11日)による本邦投資家の海外資産処分も重なり、明らかに「行き過ぎた円高」の時代でした。

 ドル円相場は2011年10月31日に一時1ドル=75.32円の史上最高値となり、2012年11月14日夕刻に野田首相(当時)が突然に衆議院解散を口にして実質的に自民党・安倍首相が実現すると明らかになった時点でも1ドル=80.24円の「行き過ぎた円高」でした。

 そこから2012年12月26日に正式に第二次安倍内閣がスタートし、積極的な経済対策と金融緩和への期待が盛り上がり、2013年4月4日にはその期待感も大幅に上回る「異次元」量的緩和が導入され、「行き過ぎた円高」が急激に修正されていきました。

 ドル円相場は2014年1~8月には1ドル=100.74~105.42円のレンジで比較的安定していました。つまり「行き過ぎた円高」が急激に修正され「安定ゾーン」に入っていたと考えます。

 しかし2012年10月~2014年3月の18か月で、本邦投資家は海外株式を7.6兆円、海外中長期債を1.9兆円それぞれ売り越し、逆に海外投資家は日本株を18.2兆円も買い越していました。

 つまり対内・対外証券投資では大幅な「円買い需要」が発生する中で「行き過ぎた円高」が急激に修正され、本邦投資家による海外資産の売り越しが止まり、買い越しに転じたころの2014年1~8月にはドル円が「安定ゾーン」に入っていたことになります。

 ところが2014年10月31日に日銀が「全く余計な」追加量的緩和に踏み切り、また同日にGPIFも「もっと余計な」資産構成比率の大幅変更に踏み切り、そこから本邦投資家の「狂ったような海外資産買い」が始まり(実際はその少し前からフライング的な買いが始まっていた)、ドル円は2015年6月5日に一時1ドル=125.86円と明らかに「行き過ぎた円安」になっていきました。

 2014年4月~2015年3月の1年間で、本邦機関投資家は海外株式を13.2兆円、海外中長期を14.7兆円それぞれ買い越し、海外投資家も依然として日本株を6.3兆円買い越していましたが、対内・対外証券投資は差し引きで大幅な「円売り需要」が発生して、円安を加速させていたことになります。

 そこから後は2015年8~9月と2016年1~2月の2度の中国ショックと、2016年2月からの「ものすごく余計な」マイナス金利導入でドル円は完全に壊れ、「行き過ぎた円安」が急激に修正されて現在に至ります。

 つまりリーマンショック以降のドル円は、民主党政権時代の「行き過ぎた円高」が安倍政権の発足と「異次元」量的緩和で急激に修正され、2014年1~8月に「安定ゾーン」に入っていたところに、2014年10月からの追加量的緩和などで「行き過ぎた円安」となり、それが2度の中国ショックとマイナス金利導入で急激に修正され、現在は再び「安定ゾーン」に入っていると考えます。

 つまりこれからしばらくの(数か月の?)ドル円は、同じく「安定ゾーン」だった2014年1~8月と同じ1ドル=101~105円(より厳密には100.50~104.50円?)の「安定ゾーン」に戻っていると考えます。

 ドル円に限らず相場というものは「買われ過ぎ」の後にすぐ「売られ過ぎ」となることはなく、逆に「売られ過ぎ」の後にすぐに「買われ過ぎ」になることもなく、その間に「安定ゾーン」がしばらく続くはずだからです。

 ところで英国のEU離脱となった直後の6月24日には1ドル=99円となったのですが、これは予想外の結果で市場にパニック的なストップロスが集中したからで、短時間で1ドル=102円台に戻っていました。

 近いうちにもう1度くらいは100円割れをトライするような気がしますが、すぐに反発して1ドル=101~105円(あるいは100.50~104.50円)の「安定ゾーン」に戻り、しばらくはそのレンジ内であると考えます。

 つまり英国のEU離脱という予想外のニュースにも関わらず(瞬間的には突き抜けたものの)、ドル円は「安定ゾーン」にあると改めて確認できたような気がします。

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■為替・金融 »  | 2016.06.30
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たまには世界の株式時価総額推移を眺めてみよう

2016年06月28日

たまには世界の株式時価総額推移を眺めてみよう


 英国のEU離脱決定直後の6月24日には、「たった1日」で世界の株式時価総額が3.3兆ドル(330兆円)も吹っ飛んでしまいました。その結果、世界の株式時価総額が64兆ドルになり、実にその5%が「たった1日」で吹っ飛んだことになります。

 リーマンブラザーズが破綻した2008年9月15日には、「たった1日」で1.7兆ドルが吹っ飛んだのですが、それは当時の時価総額の4%弱に相当しており、6月24日の暴落はその規模も下落率もリーマンショック当日以上の破壊力だったことになります。

 リーマンショック以降の世界の株式時価総額を月末ベースで比較すると、ボトムが2009年2月の30兆ドルで、ピークが2015年5月の70兆ドルとなります。

 つまりリーマンショック以降は世界的な金融緩和・量的緩和・マイナス金利が動員されたため、世界の株式時価総額は2009年2月の30兆ドルから2015年5月の70兆ドルまで40兆ドルも膨らんでいたことになります。

 40兆ドルも膨らんだこと(つまり倍以上になったこと)も問題ですが、その後の世界的な経済減速、とくにこの間の世界経済を牽引していた中国経済の大幅減速、さらには原油をはじめ資源価格全般の大幅下落などにもかかわらず、世界の株式時価総額はピークから6兆ドル(8%)しか減っておらず、まだ64兆ドルもあることのほうがもっと不気味です。

 一応その間に世界経済も拡大しており、世界の名目GDP総合計は2009年通年の60兆ドルから2015年通年には73兆ドルまで拡大していました。

 つまり2009年から2015年までに世界のGDPは13兆ドル(22%)増えていますが、その間に世界の株式時価総額はピークまで40兆ドル(133%)も増えており、明らかな世界経済の減速となった現時点でもピークから6兆ドル(8%)しか減っていません。

 この間の日経平均は、2009年3月10日の7054円からピークとなった2015年6月24日の20868円まで上昇し、NYダウも2009年3月9日の6547ドルから史上最高値となった2015年5月19日の18312ドルまで上昇していました。

 暴落した6月24日の日経平均は14952円とピークから28.3%の下落ですが、NYダウは17400ドルと史上最高値から5.0%の下落でしかありません。

 日経平均の下落幅が大きいように見えますが、最近の円高もありドルベースに引き直すとこの間は13.2%の下落でしかありません。

 ちなみに世界の経済活動の実態をより反映する商品市況のCRB指数は、リーマンショック後の2009年2月に200.16のボトムをつけた後、2011年5月には370.72まで上昇したもののそこから下落に転じ、2016年1月には154.84の安値となってしまいました。株価が暴落した6月24日は188.59となっています。

 つまりリーマンショック以降、世界経済(名目GDP総合計)は2015年までに13兆ドル(22%)増え、世界の株式時価総額は2015年のピークまで40兆ドル(133%)増え、世界の経済活動の実態を反映するCRB指数はリーマンショック時の水準を下回っていることになります。

 つまり世界経済の成長率と、世界の株式時価総額の変化と、世界の経済活動を反映する商品市況を比べると、全くの「ちぐはぐ」であることがわかります。

 先日の英国EU離脱も、それだけ見れば単なる英国の政治問題にすぎなかったはずですが、そこで株式市場が大きく反応(暴落)したことは、この「ちぐはぐ」が少しずつ修正されているのかもしれません。

 別にここで「世界の株価バブルが弾け始めた」などの安直な悲観論を展開しているわけではありませんが、たまにはこのように世界を大きく俯瞰することも必要と感じるため、こういう記事になりました。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.06.28
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