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2016年06月17日
NY時間の昨日(6月15日)まで開催されていたFOMCは、大方の予想通り政策金利であるFF翌日物誘導金利を0.25~0.50%で据え置きました。
一夜明けた本日(6月16日)まで開催されていた日銀政策決定会合は、これも大方の予想通り現在のマイナス金利付き量的・質的緩和を、現状のまま据え置きました(午後零時前に発表)。
つまりFOMCも日銀政策決定会合も大方の予想通りだったにもかかわらず、本日(6月15日)の東京市場ではとくに日銀の結果発表を受けた午後の取引開始から円高・株安が加速し、日経平均は大引けで485円安の15434円となりました。
日経平均の本年安値(終値)は人民元安、上海株式、原油価格安が重なった2月12日の14952円ですが、その日の「円高」は1ドル=110.93円まででした。
本日の円相場は午後4時前に一時1ドル=103.58円、対ユーロでは午後10時過ぎに1ユーロ=116.10円(まだ下落中)、対ポンドも午後4時前に1ポンド=146.40円まで「円高」となりました。
対ドルの103円台は追加量的緩和前の2014年8月以来、対ユーロの116円台は最初の「異次元」量的緩和前の2013年1月以来、対ポンドの146円台も2013年4月以来です。
本誌は以前から、民主党政権と白川日銀総裁時代は閉塞感と消極的な金融緩和で「行き過ぎた円高・株安」であり、安倍首相の登場と黒田日銀の「異次元」量的緩和で「適正水準」に戻ったものの、2014年10月の余計な追加量的緩和で完全に「行き過ぎた円安・株高」となり、2度の中国ショックを経て2016年1月のマイナス金利導入で「完全に壊れた」と考えています。
つまり「異次元」量的緩和と追加量的緩和の間である2014年1~8月の1ドル=101~105円が「円の適正水準」であり、日経平均が円相場の影響を最も受けるなら同じ期間の13900~15700円が「日経平均の適正水準」と考えています。
ただ現在も「さらに異次元となった」量的緩和は継続されており、消費増税もとにかく2019年10月まで延期され、マイナス金利導入に伴う長短金利の急激な低下で株式や海外資産への投資も続くと考えられるなどの理由から、円相場も日経平均も「それぞれの適正水準」の円安・株高の上限までくれば大丈夫と考えていました。
しかしその最後のヨミだけが甘かったようで、円相場も日経平均も「それぞれの適正水準」のレンジ内に入り込んでしまいました。
これは今も燻っている中国経済速懸念や英国EU離脱、それに予想通りだった(つまりサプライズがなかっただけの)日米金融政策に対する市場の反応などを考慮すると、日本だけでなく世界の金融市場が予想以上に神経質に(臆病に)なっていると認識を改める必要があります。
本誌は評論家でも相場予想紙でもなく、このように世界各市場の変化を感じ取りながら各市場の相場予想を「微修正」して今後に備えます。
今回のFOMCを見て改めて「まずい」と感じたところは(以前からも同じような懸念は持っていたのですが)、イエレン議長が依然として年内2回の利上げを想定していることと、FOMCメンバーの政策金利(FF翌日物誘導金利)中値予想平均が、徐々に低下しているとはいえ依然として2016年末が0.875%、2017年末が1.625%、2018年末が2.375%、長期予想が3.0%と、これから数年間にわたって利上げを想定したままであることです。
米国だけでなく世界経済が一層低迷するなかで、世界の金融市場が(とくに各国の長期金利が)それを先取りしている中で、イエレン議長をはじめとするFOMCメンバーが「全く市場からかけ離れた学者の集まり」になってしまっています。
これはFRBが今後の世界経済と金融市場の変動に対して機敏に動けないことを意味し、米国だけでなく世界経済と世界の金融市場に対する「大きなリスク」となります。
それに加えて政策決定会合後の黒田総裁は、いつものように「2%の物価上昇目標実現のために躊躇なく追加緩和策を発動する」と繰り返しています。これにはマイナス金利幅の拡大も想定されており、本日の10年国債利回りがマイナス0.21%まで低下したように、マイナス金利政策こそ国内の金利低下、物価下落、景気一層低迷など「強烈なデフレ効果」であることをいまだに理解していないことになります。
これは今に始まったことではありませんが、今後の日本経済と金融市場における「最大のリスク」となります。
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