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ポンドの行方を歴史的に考えてみよう

2016年10月12日

ポンドの行方を歴史的に考えてみよう


 10月2日に英国のメイ首相が2017年3月末までにEU離脱を正式に通告すると表明しました。離脱交渉では移民制限策と域内無関税の単一市場への参加継続のバランスをどう図るかが焦点のようです。

 「いいとこどり」を許さないEU首脳国と、シティの優位性も含めてできるだけ「いいとこどり」したい英国との思惑の差はかなりあります。また来年(2017年)は仏大統領選挙や独総選挙もあり、規定の2年など「あっと」いう間に過ぎてしまいそうです。

 その辺の影響もあったのか日本時間の10月7日午前8時頃(欧州時間だと真夜中!)、ポンドが突然に急落しました。直前の1ポンド=1.2613ドルから、たった数分間で一時1ポンド=1.1841ドルと6.1%も急落しました。

 その急落分はまた短時間で大半が回復されて1ポンド=1.24ドル台に戻ったのですが、ポンドは本日(10月11日)も続落して日本時間午後8時現在1ポンド=1.2255ドルとなっています。1985年以来31年ぶりのポンド安水準です。

 レーガン大統領(当時)が「強いドル」を標榜した1985年2月に1ポンド=1.05ドルという歴史的安値となりましたが(円も1ドル=260円台だった)、同年9月のプラザ合意でドルは急落したため(円は1986年末には1ドル=120円になった)、ここ30年くらいは1ポンド=1.4~2.1ドルの大きなレンジ内で取引されていました。

 6月23日のEU離脱決定で、その30年来の大きなレンジを下に(ポンド安に)突き抜けたわけで、それなりに為替市場では歴史的なイベント(出来事)だったことになります。

 ポンドが10月7日に急落したことも、本日(10月11日)も続落していることも、30年来の大きなレンジを外れたエネルギーが発散されているからと考えるべきです。チャート的にも1985年2月の1ポンド=1.05ドルまで全く抵抗線がなく、それほど遠くない時期にその辺まで下落する可能性も出てきます。

 ポンドは対円でも本日午後8時現在1ポンド=127.20円となっています。同時点のドル円は1ドル=103.85円で歴史的には円高でも円安でもありませんが、ポンドは1995年4月の超円高時(一時1ドル=79.75円となった)のポンド安値・128.21円とほぼ同水準です。ポンドの対円最安値はやはり超円高に最初のギリシャショックが重なった2011年9月の116.81円です。

 逆にその後に最円安(1ドル=125.86円)となった2015年6月のポンド高値は251.07円で、現在はすでにその「ほぼ半値」です。つまりポンドは対円では、まだ116~251円の大きなレンジ内にいますが、円が対ドルでもっと円高になれば(たぶん来年の話です)ポンドもその下値(ポンド安)を突破する可能性もあります。

 もっと古い話になりますが戦後のブレトンウッズ体制でポンドは基軸通貨から外れ、当初は1ポンド=2.8ドル=1008円で固定されました。またしばらくしてから1ドル=4.2マルクで固定されたため1ポンド=11.76マルクだったことになります。ちなみに1999年1月のユーロ発足時には1ユーロ=1.95583マルクで固定されたため、当時は理論的に1ポンド=6.013ユーロだったことになります。

 本日午後8時現在では1ポンド=1.2255ドル=1.1074ユーロ=127.20円なので、ポンドは対ドルでブレトンウッズ体制スタート時の43.7%、対ユーロ(対マルクのことです)で同じく18.4%、対円で同じく12.6%でしかないことになります。

 つまり第二次世界大戦後の英国は、ポンドが基軸通貨から外れてローカル通貨の1つになる過程でひたすら他通貨に対して下落し続け、それでも基軸通貨国の特権である巨額の経常赤字を出し続けながら(2015年は1234億ドルと米国に次ぐ赤字)、それでも発展途上国のような高インフレに悩まされることなく生き残った「奇跡のような国」となります。

 それは第二次世界大戦後も、特別な関係である米国、広大な旧植民地だった英連邦諸国、それに1973年に加盟してからのEU諸国それぞれとの関係を、絶妙な国際政治バランスで維持してきた「したたかな国」でもあります。

 そしてロンドン(シティ)の銀行・金融仲介・運用機能と、旧英国領のオフショア・金融センターの秘匿性が吸い寄せる国際通貨・ドルとユーロと(少しの円)が生み出す巨額収益で潤ってきた「他人の財布で稼ぐ国」でもあります。

 欧州経済も不振なのでポンド安でもインフレとなる心配もなく、またポンド安となればドルやユーロが落とす巨額収益がますます膨らむため、そんな英国は遠慮なくポンド安をEU離脱交渉の「有力な武器」として使うはずです。

 つまり考えれば考えるほど「もっとポンド安」なのです。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.10.12
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