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構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に入るアベノミクス その2

2016年11月25日

構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に入るアベノミクス その2


 昨日付け「同題記事」の続きですが、本日(11月24日)の日経平均は170円高の18333円、円相場は夕方5時頃に一時1ドル=113.53円の円安となりました。

 日経平均は1月4日の本年高値・18450円(終値、以下同じ)に接近していますが、昨年(2015年)の年末が19033円だったところから急落して本年が始まっているため、実質的には本年の高値といえるかもしれません。
 
 日経平均の本年安値は、中国ショックが世界的な株安に連鎖していた2月12日と、英国がEU離脱を決定してしまった直後の6月24日の14952円でした。

 また本年の最円安は、1月29日のマイナス金利導入で「思わず」つけてしまった1ドル=121.68円なので、これはまだかなり距離があります。本年の最円高はその6月24日に一瞬だけあった1ドル=99円で、同じく8月16日の1ドル=99.54円でした。

 さてその背景は昨日も書いたように、米国でもあまり予想されていなかったトランプ大統領誕生でその経済政策期待が先行して株高、長期金利高、ドル高が「いっぺんに」きたため、日本でも米国株高とドル高(円安)に無条件に反応して株高加速となりました。

 9月の日銀「総括検証」で10年国債利回りをゼロ近辺に釘づけることになっていたため、米国の10年国債利回り急上昇(本日も2.35%)に関わらず日本の10年国債利回りが「落ち着いており(本日も0.03%)、日本の株式市場にとって不安材料となっていないこともあります。

 つまり明らかにアベノミクスが行き詰まっていた安倍首相にとっては、まさに「干天の慈雨」のような円安・株高となりましたが、昨日も書いたように日本経済の最大の問題点は実質賃金が低下を続けていることで、これは今回の円安・株高でも改善されるとは思えず、消費不況が一向に改善しないことです。

 これは本誌が急に社会主義者になったわけではなく、結局は日本経済の基礎体力を損ねる結果にしかならないと強く感じるからです。つまり今回の「干天の慈雨」のような円安・株高で、ますますその問題点が改善される可能性が遠のいてしまったことになります。

 いろいろな測り方がありますが、指数化された実質賃金のピークは1997年1~3月期で、現在はそこから14%以上も低下しています。また大企業の限界労働分配率(利益の伸びに対する賃金の伸び率の割合)は2000年頃に1.0を割り込んだままです。
 
 その結果1997年度まで9%をこえていた家計の貯蓄率は低下を続け、消費税の引き上げがあった2013年度はついにマイナス1.3%となり、2014年度でもわずか0.07%です。現在もゼロ近辺にあると思われます。

 直接のきっかけは1995年5月に経団連が出した報告書「新時代の日本的経営」が派遣労働の全面解禁への道を開き、本格的に労働の低賃金化が始まったからです。さらに1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられました。

 そして日本経済の体力は、そのあたりから「目に見えて」落ち込んできます。日本の名目GDPのピークは1997年の523兆円で、2016年は504兆円くらいになりそうですが、まだ1997年のピークを大きく下回ったままです。

 そして家計の貯蓄率が大きく落ち込んで回復の兆しが見えないということは、いずれ1000兆円をこえる政府債務を国内だけではファイナンスできなくなるはずです。だからその前に日銀の当座預金を「せっせ」と積み上げて、旧大蔵官僚の高橋洋一氏が主張するように「返す必要がない」となるわけです。

 その結果、大企業を中心に純資産が積み上がりますが、それだけでは設備投資や、もちろん雇用拡大につながらないことは昨今の日本経済を見れば明らかです。

 またその一部は配当支払いや自社株買いに回りますが、これが消費拡大に直接つながるとも思えません。

 つまり実質賃金が低下を続け、その収益が大企業を中心に積み上がると、結局は日本経済の体力を大きく損ねてしまう結果にしかなりません。

 そしてまもなく5年目に入るアベノミクスとは、その日本経済の基礎体力を大きく損ねる典型的な政策でしかなく、その弊害が目立ち始めたと思ったときに「干天の慈雨」のような円安・株高となったため、また自動的に信任されてしまうことになりそうです。

 かくして日本経済の基礎体力は、5年目に入るアベノミクスのもとでますます失われていくことになります。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.11.25
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構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に入るアベノミクス

2016年11月24日

構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に入るアベノミクス


 トランプが新大統領当選となった直後の、金融市場における最初の反応は米国長期金利(長期国債利回り)の上昇でした。米国10年国債利回りは大統領選直前の週末(11月4日)の1.77%から先週末(11月18日)までたった2週間で2.35%まで上昇し、昨日(11月21日)も2.31%となっています。

 この水準は、年間4回(計1%)の利上げが確実視されていた昨年(2015年)12月の水準より高く、英国EU離脱決定直後の本年7月上旬の1.35%から約1%上昇しています。

 とはいっても現時点でトランプの経済政策に期待してすでに長期資金への需要が急増しているわけではなく、市場が近い将来の米国労働者の賃金上昇・物価上昇・株式や不動産など資産価格上昇・FRBによる複数回利上げ・財政赤字拡大による国債需給悪化などを予測する結果であるはずです。

 この米国長期金利の上昇が即座に為替に反応してドル高(それも全通貨に対してのドル高)となっているわけですが、同時並行の米国株上昇はトランプの「米国優先の経済対策」にストレートに反応したもので、まだ金利上昇とドル高による悪影響は出ていません。

 ここで米国以外の各国の金融市場は、目の前の米国株高、長期金利高、ドル高に「それぞれ勝手に反応している」ように見えます。

 すべての新興国はドル高による資金流出を懸念して通貨が下落しており、トルコと南アフリカを除けば株式も下落しています。

 また欧州各国では、それほど極端ではありませんが通貨安(ユーロだけでなくポンドもスイスフランも対ドルで)、株高、長期金利高となっています。

 そして日本では、トランプ当選となった11月9日に日経平均が16251円(終値)、円相場が一時1ドル=101.18円、10年国債利回りがマイナス0.07%だったところから、昨日(11月22日)は日経平均が18162円(11.7%上昇)、円相場が1ドル=111.06円(NY終値、9日高値から9.7%円安、10年国債利回りがプラス0.03%(0.1%上昇)となっています。

 日銀がコントロールしている10年国債利回りの上昇幅を除けば、日経平均は当の米国株より上昇幅が大きく、円相場はトランプに目の敵にされているメキシコ・ペソよりも対ドルで下落しています。

 もちろん米国株高とドル高(必然的に円安)をみて日経平均が上昇しているわけですが、米国株高と米国金利高・ドル高・新興国経済混乱など基本的に相反するものであり、たまたま日本では米国株高とドル高(円安)が同時にきた「いいとこどり」の株高となりました。

 さらにこれもたまたま日銀が「総括検証」で長期金利をコントロールしているので「本来は株式市場にパニック的な悪影響を及ぼす」長期国債利回り急上昇が食い止められている結果の株高でもあります。

 また9月の「総括検証」で日銀が国債買入れに「指値オペ」を導入していたこともラッキーでした。まさかの米国債利回り上昇で11月17日には2年、5年国債の買入れに「初出動」となり、さっそく利回り上昇(といってもマイナス幅が少なくなっただけですが)を食いとめました。

 さらに付け加えれば、大統領選当日まで「トランプなら極端な円高・株安」と喧噪されていたため、トランプ当選発表の直後も含めて日本株ショート、ドルショート(円ロング)ポジションが積みあがっていた反動も大きかったはずです。

 振り返ってみると「たまたまいろいろな条件がすべて重なり」思いがけない円安・株高となったのが、大統領選から昨日までの東京市場だったことになります。

 一度勢いのついた円安・株高は急に止まったり反転したりするとは考えにくいのですが、トランプの経済政策とは「米国優先」であるため日本経済に恩恵が多いとも思えません。

 また株高・円安は大企業には恩恵となりますが、低下を続ける日本の実質賃金が改善するわけではなく、また円安は輸入物価の上昇を通じて実質賃金をさらに押し下げるため、日本経済低迷の最大の要因である消費不況は一向に改善しません。

 結局アベノミクスは、円安・株高と実質賃金低下・消費不況という構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に突入することになりそうです。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.11.24
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