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日銀政策決定会合のウラを読む

2016年11月01日

日銀政策決定会合のウラを読む


 日銀は本日(11月1日)まで開催されていた政策決定会合の結果を正午前に発表し、前回(9月21日)の会合で導入されていた長短金利操作(イールドカーブコントロール)の維持を7:2で決定しました。

 具体的には、短期金利は日銀当座預金に(実際はほんの一部にですが)マイナス0.1%を適用し、長期金利は10年物国債金利(発表のママですが、利回りのことです)がゼロ程度で推移するよう長期国債の買入れを行うというものです。

 反対した審議委員は証券界出身の佐藤委員と木内委員の2名で、佐藤委員は「10年金利の目標をゼロ程度とすることは期間10年までの金利をマイナス圏に固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼす」として、木内委員は「国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利はプラス0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがある」として、それぞれ反対しました。

 ただ両名の指摘には、長短金利をこの水準で維持する最大の弊害は経済活動に対するインセンティブが全く得られず経済を一層低迷させかねないとの観点が抜け落ちており、木内委員の国債買入れペースの拡大につながるとの懸念はむしろ逆で、経済が一層低迷するととくに長期金利が低下してしまうため買入れが減少することになるはずです。

 実際に日銀は9月30日以降の国債買入れのうち、残存年数5年以上~10年以下の月6回の買入れを1回当たり4300億円から4100億円に、10年以上~25年以下の月5回の買入れを1回当たり2000億円から1900億円に、25年以上・月5回の買入れを1回あたり1200億円から1100億円にそれぞれ減らしており、合計すると残存年数5年以上の国債買入れ額を月間で合計2兆2000億円も減らしています。このままだと年間で26兆円以上も買入れが減ることになります。

 今回の決定会合発表文では、日銀保有国債残高を年間約80兆円増加させると繰り返しています。日銀保有国債の年間償還額が減少している可能性もありますが、少なくとも日銀の国債買入れ額に限ると(残存年数が5年以上~40年を中心に)明確に減らしています。

 本誌は、日銀の国債買入れ額を大幅に減らすことを以前から主張しているため、これは「好ましい動き」ではあります。そこへ前回の決定会合では長期金利をゼロ程度に誘導し、「指値オペ」まで導入して、長期金利が跳ね上がる場合の措置を拡大しているようなメッセージを市場に送っていました。

 前回の決定会合では、いくら何でも「国債買入れを減らしますよ」といってしまうとさすがに市場は混乱するため、わざわざ長期金利操作目標を設定して「長期金利(長期国債利回り)が跳ね上がる可能性を排除していたことになります。

 そして今回の決定会合でも、それを踏襲していることになります。

 しかしそれでも問題があります。短期金利をマイナス0.1%に、長期金利(10年国債利回り)をゼロ程度に誘導すると、長短金利差(利鞘)も長期金利の絶対水準も限りなくゼロに近くなるため、先ほど書いたようにどこからも経済活動のインセンティブが出てこなくなり、日本経済がますます低迷してしまうことになります。

 そうなるととくに長期金利(長期国債利回り)が一層低下するはずですが、そこで日銀は5年以上の国債買入れをさらに減らすはずで、結果的に金利水準がずっと今のままで固定されてしまうことになります。つまり経済状況を読み取る「生きた指標」がなくなり、まるで中国株式(上海総合指数)のような管理された国債市場となってしまいます。

 ところで2012年末にアベノミクスがスタートしたとき、それまでどちらかといえば非主流派だったリフレ派が急に台頭し、浜田宏一氏や本田悦朗氏が内閣参与、岩田規久男氏が日銀副総裁にそれぞれ「重用」されました。今から考えると黒田総裁も「重用」された代表だったことになります。

 これは確かに民主党政権や白川日銀総裁時代の閉塞感を払拭するためには「正しい選択」だったと考えますが、問題はリフレ派の各氏はリフレ理論で「重用」されたため、いつまでたってもリフレ理論にしがみつき、弾力的な政策変更ができなくなることです。

 そこで前回の決定会合で披露された「総括検証」とは、金融政策の主導権がリフレ派から日銀プロパーの事務局に移った結果だと考えます。日銀プロパーとは、金利も市場もすべて日銀が思うままに管理できるという「唯我独尊」の世界で、まさに「総括検証」をよく読むとその「唯我独尊」に満ち溢れていることがわかります。

 それはそれで困ったことなのですが、その辺はまた別の機会に解説します。

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■闇株的見方 » 経済 | 2016.11.01
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