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東芝の資本増強を巡る「それぞれ」の思惑

2017年02月24日

東芝の資本増強を巡る「それぞれ」の思惑


 リクエストいただいている三井住友フィナンシャルグループとりそなホールディングスの系列をこえた傘下銀行再編も、カルロス・ゴーンが社長とCEOを退任すると発表した日産自動車も気になりますが、本日はやはり緊急性のある東芝の続編です。

 東芝は2月14日に予定されていた2016年4~12月期の決算発表をその日になって1か月延期しました。その代わり同日夕方に東芝が独自に発表した予想決算では、米国を中心に原子力事業で7125億円の損失が発生したため4999億円の連結最終赤字となり、2016年12月末現在の自己資本が1912億円のマイナスになっていました。

 理屈の上では東芝はまだ正式の四半期報告書(監査法人の承認が必要)を提出していないため、現時点では債務超過ではなく財務制限条項にも抵触しておらず、80行とも言われる取引銀行も「とりあえず」パニックになる必要はありません。

 そしてその2月14日を挟んで東芝の資本増強方法が大きく「変質」しています。年間1000億円以上を稼ぐ「虎の子」の半導体事業を分社化して外部から資本を受け入れ、これからもどれだけ赤字を垂れ流すかわからない原子力事業を抱えたままという基本構造は変わりません。中国で建設中の原発4基も大幅減損となった米国の4基と同じくらい工事が遅れており、同じくらいの損失が発生する恐れもあります。

 2月14日までは分社化する半導体事業への外部からの資本は20%未満としていましたが、それでも3000億円以上のオファーが複数寄せられていたはずです。東芝が独自に発表した2017年3月末時点の予想債務超過額は1500億円なので、これで「とりあえずは十分」だったはずです。

 ところが2月14日の夕方、綱川社長が半導体事業の過半数以上の売却を示唆し、100%売却の可能性も排除しないと発表してしまいました。確かに買い手が少数株主となるだけの20%未満に比べて、過半数以上あるいは100%売却したほうが半導体事業の魅力(価値)が高くなりますが、それはすなわち半導体事業が東芝のものでも(たぶん)日本のものでもなくなってしまうことを意味します。

 しかしこれでせっかく20%未満でもあったはずの3000億円のオファーは「未来永劫」に消えてしまい、東芝の支配権がなくなってしまう過半数以上の売却でなければ「どこも」手を挙げず、結果的には今後の資本増強の主導権を自ら放棄する「最悪の発表」だったはずです。

 それでは誰が東芝の背中を押したのでしょう?

 それは銀行、とりわけ三井住友銀行、みずほ銀行のメインバンクだったはずです。それだけ多額の資金が東芝に入るため(売却比率が上がるだけでなく半導体事業そのものの価値が上がるため)資本も厚くなり貸付金回収のリスクも軽減されると「勝手に」考えているはずです。

 すっかり「余裕」が出てきたメインバンクは、資本増強そのものは4月に入ってもいいのでできるだけ高く売却するよう東芝に指示しています。半導体事業そのものの価値を当初の試算である1兆5000億円から(だから20%で3000億円だった)、2兆円以上に引き上げているようです。

 その銀行の「余裕」をみてもっと「気が大きくなった」東芝は、今度は分社化した半導体事業の3分の1ちょっとだけを残して支配権を維持し、3分の2近くを「複数社」に分けて売却するという「とんでもない夢物語」を考えているようです。当然に3分の1ちょっとの東芝をこえる比率を1社に売却しないことになります。

 そんな条件で納得する(支配権のない半導体事業を高値でライバル会社と分けあうおめでたい)会社があるはずがありません。半導体事業の価値の2兆円以上というのは、あくまでも1社が半導体事業を支配できるなら競争となって高い価値になるというだけで、東芝が支配権を維持したまま過半数以上を何社かに分けて売却するなら意味がありません。

 さらにもっと「大きな」問題があります。

 従来の分社化した半導体事業の20%未満の売却であれば、東芝は連結ベースでその資産をすべて計上できますが(だから20%未満の売却資金はタダであり資本増強となる)、もし3分の2近くを売却してしまうと、3分の1ちょっとしか保有していない東芝がその資産をすべて計上したままで良いのかは微妙となります。

 いくら3分の2近くを売却しても、その資産をすべて計上できないなら(東芝が少数株主とみなされるとその3分の1ちょっとも資産計上できない)、単に資産が現金に変わっただけで簿価を上回った売却金以外は資本増強とはなりません。
 
 もちろん監査法人が認めればいいはずですが、「あの」新日本監査法人から交代したばかりのPwCあらた監査法人は「なあなあ」では認めてくれないはずです。

 東芝もメインバンクも、その辺を理解しているのか大変に心配になります。それともオール日本で何でも容認される東芝なので、そんな心配も不要なのでしょうか?

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■企業 | 2017.02.24
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ケンブリッジ・アナリティカとは?

2017年02月23日

ケンブリッジ・アナリティカとは?


 昨年(2016年)の政治イベントでの「大番狂わせ」とは、もちろんEU離脱となった6月の英国民投票と、トランプが当選した11月の米大統領選となりますが、そのどちらにも英国データ分析会社のケンブリッジ・アナリティカ(Cambrigde Analytica、以下CA)が深く関わっていたようです。
 
 CAとは選挙に特化したビッグデータ分析を請け負う会社とされていますが、実際はそのビッグデータ(有権者)の行動様式を把握して特殊な方法で各グループに分類し、それぞれのグループに最適な方法で働きかけ、「大番狂わせ」を演出するコンサルタント会社といった方が正確です。

 実際に昨年6月の英国民投票ではEU離脱の急先鋒だったファラージ・独立党党首(当時)のキャンペーンを請け負い、確信犯的なウソを含む放言と毒舌で想定外のEU離脱を演出し、直後に(ウソの責任を追及されないように)さっさと辞任させてしまいました。

 11月の米大統領選ではヒラリーを当選させないためのキャンペーンを請け負い、当初は無名のテッド・クルーズを支援していましたが、(そうでなかったらもっと早かったはずの)撤退を受けて共和党大会直前の2016年6月にトランプに「乗り換えた」ようです。

 また本選では実際にトランプを当選させるため、例えばテレビ討論でヒラリーを嫌な女と思わせるように、それぞれのグループに分類した有権者ごとに、違った細工を中継映像に刷り込むようなこともやっていたようです。

 CAの生命線は、この有権者の行動様式を正確に把握してグループに分類するところですが、それではこの分析のためのデータをどこから入手しているのでしょう?

 実は極めて簡単で、ソーシャルメディア(SNS)各社からユーザーの同意なしに「購入」しています。

 そして数あるSNSの中で最も「価値のある」情報はフェイスブックの「いいね」だそうで、ある人が10個の「いいね」をどこにつけたかがわかるとその人の行動様式がその平均的な同僚以上に把握でき、70個で親しい友人以上に、150個でパートナー(奥さんとか)以上に、300個で本人以上(?)に把握できてしまうそうです。

 つまり気軽にフェイスブックで「いいね」を押すと、それが貴重な情報となってCAに限らず行動様式分析に使われ、その先で膨大な収益を生み出していることになります。その最大の恩恵はもちろん供給元のフェイスブックにもたらされているはずで、もし最初からそういう目的でフェイスブックを創業し「いいね」を考案していたなら、マーク・ザッカーバーグは「悪魔級の天才」となります。
 
 話を戻しますが、このようなSNSの情報を使った分析手法は、ケンブリッジ大学心理統計センターにいたポーランド人のミハエル・コジンスキー博士が2013年に開発したOCEANという心理統計モデルであるはずです。

 「はず」というのは、その頃コジンスキーに英国の選挙マネジメント会社・SCL(Strategic Communication Laboratories)が接近したのですが、コジンスキーは胡散臭いので断っています。断られたSCLは同じケンブリッジ大学のアレキサンダー・コーガン教授と共同で開発したと公表していますが、中身はどう見てもコジンスキー博士のOCEANです。

 つまり完全にパクられたわけです。そしてCAはこのSCLから派生しています。

 そしてこのCAの最大のスポンサーは、クォンツ型ヘッジファンドの雄・ルネッサンス・テクノロジーズCEOのロバート・マーサーであるといわれています。

 天才数学博士のジェイムス・シモンズが1982年に創業したルネッサンス・テクノロジーズは、運用開始以来の年平均リターンが38%と「すさまじい」ヘッジファンドです。あのウォーレン・バフェットでも年平均リターンが20%と言われています。また東京市場でも暗躍しており、2015年8月4日付け「東京市場で存在感を増すルネッサンス・テクノロジーズ」で取り上げてあります。

 さてそのルネッサンス・テクノロジーズを率いるマーサーは超保守派として知られています。最初からトランプを支援していたわけではありませんが、実際にトランプ政権でも同じ超保守派のスティーブ・バノン(CAの役員でもあります)をホワイトハウス首席戦略官に押し込み、トランプの基本政策に大きな影響を与えています。

 そしてCAは、来るべきオランダ総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ総選挙に向けて密かに活動を開始しているようです。スポンサーがマーサーである以上、CAは必ず超保守的政党あるいは候補者を支援することになります。

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■闇株的見方 » 社会 | 2017.02.23
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