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東芝の半導体分社化について考える

2017年02月01日

東芝の半導体分社化について考える


 東芝は昨年末に公表した米国の原発エンジニアリング会社・ストーン・アンド・ウェブスター(S&W)買収に伴う損失が6800億円に膨らむようで、2017年3月期末の債務超過転落が避けられなくなりました。

 何をさておいても資本増強が必要となる東芝は、1月27日に主力の半導体フラシュメモリ事業を3月末までに分社化すると決定しています。

 このメモリ事業の価値を1兆5000億円と想定し、その20%未満の株式を売り出すようです。東芝全体の時価総額が1兆267億円(1月31日の終値の242円で計算)しかないため、資本増強としては効率が良さそうに見えます。

 何でこれが資本増強になるのかといえば、このメモリ事業に係る資産は東芝本体に帳簿価格のまま取り込まれていますが、それを分社化して収益性も勘案して「時価評価」すると(それが1兆5000億円だそうですが)帳簿価格を大幅に上回るはずです。

 それだけだと連結決算では何も変わらないため、その分社化したメモリ事業子会社の一部(20%未満)を外部に売り出すと、残る80%強は依然として東芝本体が所有しているためその資産は100%東芝の連結決算に取り込まれたままです。つまり東芝に入る売り出し資金(理論的に3000億円)はすべて「タダでもらったこと」になり、返済義務がないため資本増強となります。

 逆にそのメモリ事業子会社の20%未満の株式を取得した投資家(あるいは事業会社)は、そのメモリ事業子会社の持ち分利益(20%未満)が得られるだけで、メモリ事業子会社の(もちろん東芝本体も)機関決定に全く参画できません。
 
 単なる非上場株式の少数株主でしかないからです。またメモリ事業子会社の持ち分利益といっても、本社経費の負担割合などに手を加えればいくらでも圧縮できてしまいます。

 そんな状態で3000億円も「どうぞご自由にお使いください」と差し出す投資家(あるいは事業会社)がいるとも思えず、さすがに東芝もその辺は理解しているようで調達予定額も2000~3000億円となっています。たぶん2000億円を死守すれば2017年3月期末時点の債務超過だけは回避できるのでしょう。

 直感的に考えて大変に安直で、自分勝手で(唯我独尊で)、その場限りで、危機感が全く伝わってこない資本増強策です。

 東芝のフラッシュメモリ事業とは、東芝というより日本のIT企業に残された数少ない世界的競争力を備えた事業です。

 NAND型(スマートフォンやメモリカードなどに使われる)フラッシュメモリの世界シェア(2015年)は、サムスン電子の30.8%に次ぐ世界2位の19.4%で、サンディスク(米国)の15.6%、マイクロンテクノロジー(米国)の14.7%に先行しています。

 ここで純粋に資本調達額(増強額)だけを考えるなら、このメモリ事業を「丸ごと」売却してしまうことで、たぶん2~3兆円の間で「取り合い」になるはずです。

 もちろん日本の技術を(たぶん)海外に売り渡してしまうことになり、残る東芝も大赤字の(これからもどれだけ赤字が膨らむかわからない)原子力事業だけの会社となってしまい、せっかくの増強した資本も原発補償(それも米国など海外の補償)で食い潰されてしまう国策上も全く意味のない方法となります。

 ただ国策上といえば、日米原子力協定があるため日本企業は原発製造を止めるわけにはいかず、東芝もウエスティングハウスを見捨てるわけにはいきません。

 そこで発想を変えて原子力事業の方を分社化し、メモリ事業が中心となった(たぶん今の東芝よりもう少しまともな会社になった)東芝が大規模なリストラを条件に2兆円程度の資本増強を行い、そこから1兆円程度の「持参金」を捻出して原子力事業を完全に切り離し、最終的には三菱重工や日立の原子力事業も含めて国家管理にしてしまうべきと考えます(アレバなどを支援している余裕はないはずです)。

 ここでいう資本増強とは、公募増資と、金融機関による債務の株式化と、公的ファンドによる優先株引き受けなどの組み合わせとなります。異例の大幅資本増強となりますが、いままでのように東証が過保護に扱えばいいだけです。
 
 もちろん東芝が完全に生まれ変わることが条件となりますが、2015年の不正会計を受けて東芝の経営陣はすでに過半数が社外取締役となっています。しかしこういう危機に際しても「他人事」のようです。

 じゃあ誰が経営すればよいのか? 世界中から公募すべきと考えます。もちろん日本人も対象ですが、学者や官僚や銀行出身者や自称経営のプロなど社外取締役予備軍は要りません。

 本誌は日産自動車や三菱自動車に限らず「簡単に日本企業を外資に売り渡す」ことには大反対ですが、資本(支配権)をオール日本で確保しているなら外国人の経営までは反対していません。優秀ならインセンティブ付き「やや高給」で雇えばいいわけです。

 もし1999年時点で日産自動車をルノーに売り渡さず、オール日本で資本を大幅増強して企業体質を一新し、その経営者としてルノーからカルロス・ゴーンをスカウトしていたなら、少なくとも本誌がいちいち「噛みつく」必要のない日産自動車になっていたはずです。

 現在は1999年当時と違い「資金だけは有り余っている」ため、東芝の方向が明確に示されれば大幅資本増強でも可能なはずです。あとは優秀な経営者を「雇ってくる」だけです。

 東芝はこのままではどうせロクなことになりませんが、少なくともオール日本にとってマイナスばかりとならない方向に進んでほしいと思います。

 つい長文になってしまいました。

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■企業 | 2017.02.01
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