Archive

闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

「土曜日の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)」とは?

2017年03月31日

「土曜日の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)」とは?


 トランプ政権最大の問題点とは、いつまでたっても行政執行体制が整わず内政・外交ともに停滞してしまうことです。最近になってようやくそう認識されるようになりました。

 当初はトランプ大統領に政治経験がないため、なかなか各省庁の幹部候補に「適材」を見つけられないからと思われていましたが、最近になって「どうも身内と側近だけによる完全密室政治を標榜している」となってきました。

 トランプ政権では、ホワイトハウス幹部も各省庁長官も「身内と(自称を含む)側近だらけ」で、数少ないまともな長官であるマティス国防長官、ティラーソン国務長官は、いまだに希望する副長官や次官クラスの選任を認められていません。

 さすがに「米国内でも反発がでてくるだろう」と思っていたら、FBIのコミー長官が3月20日の下院情報特別委員会の証言で「トランプ氏の選挙陣営とロシアの関係について、昨年7月から捜査している」と明らかにしてしまいました。

 このコミー長官といえば、昨年11月の大統領選直前になってヒラリー・クリントン候補の国務長官時代の私用メール問題を再捜査すると公表し、数日後には捜査終結としましたが、クリントン敗戦に少なからずの影響を与えたはずです。

 FBIも大統領指揮下にある行政機関ですが、コミー長官は「その功績?」でトランプ政権でも続投となっていました。ところがコミー長官はここで「私がヒラリー・クリントンの私用メールの再捜査を指示したが、同時にトランプ選挙陣営とロシアとの関係も捜査しており、昨年の大統領選において特定の候補(トランプのこと)に有利となるよう働きかけたわけではない」と言っていることになります。

 すでにトランプ政権を巡る微妙な風向きの変化を感じ取っているようです。そして今度は上院情報特別委員会が米大統領選へのロシア介入疑惑に関し、トランプ大統領の長女・イバンカさんの夫であるクシュナー大統領上級顧問を含む約20人を召喚して調査することになりました。

 これをニクソン政権時の「ウォーターゲート」になぞらえて「ロシアゲート」と呼んでいますが、もちろん現段階ではそこから「ウォーターゲート」のような大事件に進展し、トランプ大統領がニクソン大統領(当時)のように辞任に追い込まれることはありません。

 ただトランプ大統領の身内であるはずの共和党が上下院とも多数を占める連邦議会が、「ちょっといい加減にしたら?」と警告を与えていることになります。まだまだ先は長いようですが、それが「トランプ降ろし?」の最初の兆候かもしれません。

 ところで「暗殺以外に」大統領を罷免する憲法上唯一の方法が弾劾裁判で、過去に第17代のアンドリュー・ジョンソン大統領と第42代のビル・クリントン大統領の2例がありますが、どちらも無罪評決となっています。

 第37代のニクソン大統領は「ウォーターゲート事件」を巡る弾劾裁判で有罪(つまり罷免)が確定的となったため、裁判直前に辞任しています。ところがそこに至るまでの「息詰まる攻防」はあまり知られていません。ひょっとしたら「ロシアゲート」も同じような攻防となる可能性もないわけではないため、参考のため簡単に解説しておきます。

 ウォーターゲート事件とは、1972年6月に首都ワシントンの民主党本部への侵入盗聴事件(再選を控えた共和党のニクソン大統領が対立する民主党の選挙戦略を探らせた)から始まり、徐々に大事件となり再選を果たしたニクソン大統領が1974年8月に辞任に追い込まれたものです。

 当初はホワイトハウスとは全く関係のない「コソ泥」の侵入事件とされていましたが、徐々にホワイトハウス関係者が背後にいることが明らかになり騒ぎが大きくなります。

 ニクソン大統領は「立場上」事件の調査を命じ、1973年6月にリチャードソン司法長官がアーチボルド・コックスを特別検察官に任命します。まもなくコックスはホワイトハウス執務室内の会話を録音したテープがあることを知り、そのテープの提出をホワイトハウスに求めますが拒否されたためワシントン連邦地裁に訴えます。

 ワシントン連邦地裁もコックスの要求を支持しますがニクソンは大統領権限で拒否したため、コックスは連邦高裁に持ち込み再び支持されます。そこでニクソンは連邦最高裁へ上告する代わりに野党・民主党の重鎮・ステニス上院議員の「聞き取り調査報告書」でお茶を濁そうとしますが、コックスがこれも拒否します。

 そこでニクソンはリチャードソン司法長官に圧力をかけてコックスを解任しようとしますが、リチャードソンはこれを拒否して辞職、ニクソンはさらに司法副長官に同じ圧力をかけ再度拒否されると今度は解任してしまいます。

 司法長官も副長官も上院での任命公聴会で特別検察官の職務に干渉しないと宣誓していたからで、ニクソンはそう宣誓していない訟務長官を司法長官代理に任命して、やっとコックスを解任します。それが1973年10月20日の土曜日の夜だったため、「土曜日の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)」と呼ばれています。

 その直後にニクソンは、特別検察官、司法長官、司法副長官の執務室を封鎖し、関係書類もすべて司法長官代理の支配下に置きましたが、その強引な手法が全米の批判を浴び、やがて辞任に追い込まれてしまいました。

 同じような「虐殺(Massacre)」が、また近いうちに見られるかもしれませんね。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:2 | TrackBack:0
■日本 » 政治 | 2017.03.31
無料メルマガ配信(不定期)
↓↓↓
メルマガ購読・解除
 
関連記事

「地獄の扉」を開けてしまった東芝

2017年03月30日

「地獄の扉」を開けてしまった東芝


 東芝は本日(3月29日)、連結子会社・米ウェスティングハウス(以下、WH)など2社が米連邦破産法11条の適用をNY州連邦破産裁判所に申請したと発表しました。

 またこれに伴い2017年3月の連結最終損益が国内製造業としては過去最大の1兆100億円の赤字となり、3月末時点の債務超過額が6200億円になるとの予想も発表しました。2016年10~12月期の決算発表を延期した2月14日時点では、その債務超過額は1500億円と予想されていたため、今回の破産法申請などにより新たに4700億円の「自己資本棄損」となるようです。

 また東芝は明日(3月30日)に臨時株主総会を開き、半導体事業の分社化を決定する予定です。その分社化した新会社「東芝メモリ」の過半を(あるいは100%を)外部企業やファンドに売却する予定ですが、その入札の一次締め切りも本日でした。

 まさに東芝の命運を握るWHの破産法申請と半導体事業の分社化・売却が「もはや後戻りできない状況」となったわけですが、それで東芝は完全に「地獄の扉」を開けてしまったと感じます。

 なぜならWHを維持することが日米原子力協定に縛られる日本政府に対する(少しくらいは米国政府に対しても)東芝の「カード」であったはずです。それがあったから東芝はいくら粉飾決算をしても刑事事件化せず、決算発表がいくら遅れても上場廃止の恐れもなく、いろいろな意味で「過保護」に扱われていたはずです。

 また東芝は、これからも高収益が上がる(少なくともそう考えられている)半導体事業という「もう1枚のカード」もあったため、合わせて政府も官僚組織も金融機関も株式市場も「それなりに重要な存在」と考え扱ってきたはずです。

 つまり東芝はその曲がりなりにも保持していた「2枚のカード」を自ら放棄してしまったわけで、今後は過保護に扱われることも重要な存在と考えられることもなく、単なる「倒産寸前のボロ会社」となります。

 つまり今後は日本政府からも(少しくらいではあったものの)米国政府からも官僚組織からも金融機関からも株式市場からも見捨てられ、もちろんそこから盛り返せる経営陣もいるはずがなく、文字通り「消滅して」しまうだけとなります。

 東芝について最も失望したところは、このWHの破産法申請も半導体事業の過半以上の売却も(当初案だった20%未満の売却をあっさりと変更したことも)、すべてパニックとなった金融機関の主張をそのまま受け入れて進めてしまったところです。オール日本としての損得など全く考えていないだけでなく、東芝の今後すら考えていない「まさにサラリーマン経営者の責任逃れ」で動いてしまいました。

 だから表題の「地獄の扉」を開けてしまった東芝となります。しかし今回のWHの破産法申請も半導体事業の過半以上の売却も、やはり大きな問題が残っています。

 WHの破産法申請は「これでWHは東芝の連結対象から外れるため、ここからの損失拡大に歯止めがかかる」と考えているようですが、そんな単純なものではありません。

 まず東芝がまだ計上しているWHの資産・3000億円、WHへの債権・1756億円、WHへの債務保証・6500億円(本日のIRによる)の計1兆1256億円がすべて新たな損失となるはずです。しかし会計上の相殺はあるはずですが、本日発表の新たな自己資本棄損は4700億円しかありません。

 さらに東芝は、WHの株式の3%をIHIから189億円で、10%をカザフスタンのカザトムプロムから(たぶん)5億4000万ドルで、それぞれ買い取って全額減損しなければなりませんが、それも計上していません。

 さらに米国で建設中の原発4基のうち、サザン電力の2基は工事の遅れによる損失を米国政府が83億ドル(9200億円)保証しており、また4基とも2020年までに稼働できなければ(できません)減税措置を受けられなくなるためその損失も5000億円ほどあり、すんなりと米国電力会社や米国政府がWHの破産で諦めてくれるとも思えません。

 そしてWHは、米国の4基よりもはるかに以前に中国で4基受注しており、工事の遅れによる損失は米国の4基よりも膨らんでいるはずです。

 また本日の破産法申請を受けて米国政府からは早くも「安全保障上の問題がある」との懸念が示されています。つまりどう考えても「ここからの損失拡大に歯止めがかかる」はずがなく、また米国側ともかなりのギクシャクがあるはずです。

 半導体事業の分社化・売却については、日本政府が外為法上の事前申請に該当するといい出しています(これは当然です)。

 つまり「2枚のカード」を自ら放棄した影響が早くも出てきていると感じます。

 もう遅いですが、3月16日付け「これだけは言っておきたい東芝のこれから」に書いたように、WHではなく東芝そのものの法的整理と、WH経営陣の刑事責任追及と、プライスウォーターハウスクーパース傘下のPwCあらた監査法人の解任などを「ブラフ」に徹底的に損失拡大を食い止め、誰にでも売却できる半導体事業は最後まで確保しておくべきだったはずです。

 もはや手遅れになってしまいました。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:17 | TrackBack:0
■企業 | 2017.03.30
無料メルマガ配信(不定期)
↓↓↓
メルマガ購読・解除
 
関連記事
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

02月 | 2017年03月 | 04月
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム