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どうして東芝はそんなに死に急ぐ?

2017年06月30日

どうして東芝はそんなに死に急ぐ?


 過激な表現を好まない本誌ですが、もはやこう表現するしかありません。またあまり東芝ばかり取り上げないようにするつもりですが、こう次から次へと「驚くべきニュース」が飛び出してくると、やはり取り上げざるを得なくなります。

 東芝は昨日(6月28日)、定期株主総会を開催しました。しかし2017年3月期の決算報告はなく、ただ現取締役陣の再任を承認しただけでした。さすがに再任された取締役陣の任期は、2017年3月期の決算報告を行う臨時株主総会までとなっています。一応は決算報告ができる日がくることを想定しているようです。

 さてこの定時株主総会に間に合わせるために、半導体事業会社売却の優先交渉権を6月21日に「日米韓連合」に与えていたはずですが、当然のように何の進展もありません。

 表面だけでも議決権の過半を維持していることにしたい産業革新機構など日本勢が、ベインキャピタルの出資分の大半を議決権のない優先株にしてもらったわけですが、当然にベインキャピタルは「とんでもない条件の普通株への転換条件」を求めているはずで、おいそれと合意できるはずがありません。優先交渉権を与えてしまったら足元を見てくることは当たり前です。

 またその優先交渉権で、半導体事業会社の分離・売却を差し止めているウエスタン・デジタル(以下、WD)が当然のように態度を硬化させ、最高価格(2兆2000億円)を提示していたブロードコム・シルバーレイク連合やKKRも当然のように降りてしまいました。

 さらに東芝は定時株主総会が終わった直後にWDが半導体事業会社の売却を妨害しているとして1200億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴してしまいました。ここでWDとは、曲がりなりにも東芝と四日市工場を共同運営しており、建設中の第6製造棟も含めてそれなりの投資も行ってきた「仲間」であるはずです。

 つまり権利を主張している「仲間」に対し(その主張が正当なものかどうかはともかくとして)、今まで東芝には何の力にもなっておらず(これからも何の役にも立ちそうもない)産業革新機構のメンツとベインキャピタルのカネ儲けを優先するために、「仲間」を訴えたことになります。

 本誌は日本の事業を海外に簡単に売却することは常に反対していますが、これは全く「それ以前の信義に関わる問題」であるはずです。

 そもそも2018年3月までに債務超過を解消しなければ上場廃止になるというタイミングと、そこから逆算した2兆円という金額と、経済産業省と産業革新機構のメンツと、パニックになっている銀行団を黙らせることを考えただけの優先交渉権となります。

 そこで依然として目途の立たない2017年3月期決算をどうするとか、「仲間」であるはずのWDをどうなだめるとか、そもそも半導体事業会社を売却することが最善の策であるのかなどの議論が、スッポリと抜け落ちたままになっています。

 さらに半導体事業会社の簿価が7000億円ということなので、仮に2兆円で売却できたとすると数千億円規模の税金を支払う必要があります。東芝の「試算」では2017年3月期において5816億円の債務超過だそうですが、企業会計と税務会計は違うものなので「おそらく」売却益の全額が課税対象となるはずです。

 これなども最近になって「えっ、税金がかかるの?」と慌てているはずです。

 本誌が予想する半導体事業売却の最終形とは、WDがギリギリまで差し止めて最後にKKRを抱き込み、徹底的に買い叩いて(たぶん1兆数千億円くらいで)買収してしまうと考えます。

 世界最大級のプライベート・エクイティファンドであるKKRが出てくると、ベインキャピタルなど比べものにならないほど「えげつない」はずで、結局は何のために虎の子の半導体事業会社を海外に売却するのかわからなくなるはずです。

 話題が変わりますが、3月末に米連邦破産法の適用を申請したウェスティングハウス(以下、WH)も、結局は中国で止まっている4基の原発建設も含めた損失はすべて東芝にツケ回されるはずですが、破産後のWHは間違いなくピカピカの会社になります。さっそくインドでの6基の原発建設が復活しているようです。

 WHも3月末に連結対象から外すためだけに破産申請したものの、その3月末の決算も全く目途が立っていないため、いったい何のためにオール米国を敵に回してまでWHを破産申請したのかがわからなくなります。

 それに加えて今回は「仲間」であるはずのWD相手に訴訟しており(それも全く意味のない東京地裁に)、いよいよ表題にある「どうして東芝はそんなに死に急ぐ」となってしまいます。


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■企業 | 2017.06.30
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タカタがやっと民事再生法適用を申請

2017年06月29日

タカタがやっと民事再生法適用を申請


 欠陥エアバック問題で経営が悪化していたタカタは6月26日、国内グループ企業とともに東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されました。また米国子会社のTKホールディングス(ミシガン州)も同日に米連邦破産法11条の適用を申請しています。

 タカタは、スウェーデンのオートリブ社に続く世界第2位のエアバック、シートベルト、チャイルドシートなど自動車安全装置メーカーであり、どの自動車会社の出資も受けない完全独立の経営を守ってきました。

 ところがタカタ製のエアバックが2009年5月に米国で最初の関連死亡事故を起こし、現在までに米国を中心に死者16名、負傷者が180人超となっています。リコール対象のエアバックが全世界で1億個を超え(まだ未回収が4000万個あるようです)、ホンダ、トヨタ、フォード、日産、VWなど自動車メーカーが立て替えているリコール費用総額が1兆3000億円とも言われています。

 これらはもちろん最終的にはタカタの負担となります。また本年1月には米国司法省と10億ドルの和解金を支払うことで合意しており、そのうち自動車メーカー(米国のメーカーだけです)への8億5000万ドルの支払い期限が2018年2月までとなっていることが、今回の直接の「引き金」となったようです。

 タカタの2017年3月期の最終損失は795億円と3期連続の最終赤字となり、3月末現在の純資産が331億円まで落ち込んでいましたが、これは主に受注減による経営悪化でリコール費用の支払いはほとんど終わっていません。

 つまりタカタは遅かれ早かれ破綻することが確定的であり、また負債額が巨額で債権者も多岐にわたることから法的整理が必然となっていましたが、今でも発行済み株式の約6割を所有する創業家および創業家の高田重久会長兼社長が株式価値の残る私的整理に拘り続け、グズグズしているうちに決定的に事態が悪化してしまいました。

 タカタについては昨年発足した外部専門委員会がスポンサー先の選定に着手し、当初は世界最大のオートリブ社、プライベート・エクイティファンドでも世界最大のKKR、カーライルなどが興味を示していましたが、私的整理に拘る創業家の存在に早々と撤退してしまい、最終的に本年2月に中国の寧波均勝電子傘下の米キー・セイフティ・システムズ(以下、KSS)が残りました。

 しかしその「支援スキーム」とは、タカタ負担するリコール費用などすべての債務は切り離し、KSSが設立する新会社がタカタの「健全事業」だけをわずか1750億円で買収するという「ほとんど意味のない」もので、肝心の1兆円を超えるリコール費用などをどう捻出するかなどは全く議論されていないお粗末なものでした。

1750億円くらいなら「あの」産業革新機構でも出せるはずで、民事再生法適用申請をきっかけに白紙に戻してしまうべきです。

 さてタカタとは1933年に彦根で創業した織物会社ですが、1974年から2007年まで社長を務めた2代目の高田重一郎氏の経営手腕が、タカタを世界第2位の自動車安全装置メーカーに押し上げました。

 しかしその子息の高田重久氏はとても「経営者の器」ではなく、経営はスカウトしてきた外国人社長と重一郎氏時代からの番頭役員に委ねられ、2011年に亡くなった重一郎氏の未亡人も経営に口を出す状態となっていました。

 2014年12月にはリコール問題の責任を外国人社長だけに押し付けて解任してしまい、創業家を代表して会長となっていた重久氏が社長を兼任することになり、余計にタカタは迷走を始めることになりました。

 最近でこそ重久氏が記者会見などに出てくるようになりましたが、ちょっと前まではほとんど重要な場面にも登場せず、米国議会の公聴会も欠席していました。

 さてこういう状態でありながらタカタの株価は最近まで500円近く、時価総額も400億円ほどという「不思議な水準」を維持していましたが、6月16日に日本経済新聞が「民事再生法 月内にも申請」と報じたため連日ストップ安の比例配分となり、6月22日にやっと4675万株の出来高を伴い110円となりました。

 ところが翌23日には逆にストップ高の160円(出来高3297万株)となったところに正式の民事再生法適用(週明けの26日)となり、本日(28日)は35円(出来高5922万株)となっています。最終取引日となる7月26日までマネーゲームは続きそうです。

 いずれにしてもタカタは創業家支配が世界第2位の自動車安全装置メーカーを「消滅」させてしまった典型例として記憶に残ることになりそうです。


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■企業 | 2017.06.29
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