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「日本は1万円札を廃止せよ」

2017年08月02日

「日本は1万円札を廃止せよ」


 表題は本日(8月1日)付け日本経済新聞朝刊のOpinionに掲載されていたハーバード大学のケネス・ロゴフ教授のご託宣です。

 ロゴフ教授は同じハーバード大学のラインハート教授との共著「国家は破綻する」で過去800年の金融危機を分析したことで知られており、世界には数多くいる「目立とうとして過激な説を披露する類(たぐい)の学者」ではないと本誌も理解しています。

 そこで日経新聞の記事から教授の指摘されるポイントを2つだけ取り出し、大変に僭越ながら本誌の主張も(反論も含めて)付け加えます。

 まず1つ目は「日本では国民1人当たり77万円の通貨流通量(日銀の紙幣発行残高のことと思われます)があり、家族4人とすれば一家に300万円以上の現金があることになる。米国でも1人当たり4200ドルになる。つまり(日米とも)大量の現金の在りかがよくわからず、また高額紙幣の割合が非常に高い(日本では1万円札が90%、米国でも100ドル札が80%)。ここから推計できることは高額紙幣の多くが非合法な経済活動に使われている」とあります。

 ここでドルは基軸通貨なので米国だけでなく世界中に持ち出されており、一部は非合法な経済活動にも使われているはずです。しかし円の高額紙幣は(1万円札は)ほとんどが日本国内にあるため(一部は北朝鮮、韓国、香港、マカオなどに持ち出されていますが)、確かにどう考えても経済活動に不要な高額紙幣(1万円札)が大量に発行されていることになります。

 そしてそのかなりの部分は、ロゴフ教授の言う非合法な経済活動に使用するためではなく、脱税した後に表に出せずに秘匿されているはずです。いまだに大量の旧1万円札が発行されたままであり(永久に失効しないそうです)、またどこかの倉庫いっぱいに1万円札が積み上げられているとの都市伝説もよく耳にします。

 直近の日銀の紙幣発行残高は100兆円で、これは日本の名目GDPの19%に相当します。一応金融システムも決済システムもそれなりに整備されている日本で、GDPの19%もの現金が必要なはずがありません。この比率はユーロ圏で10%、米国では7%、中国でも9%くらいです。また100兆円のうち90兆円が1万円札だとすると、その半分近い40兆円くらいが秘匿されていると考えてもおかしくありません。

 これに対してロゴフ教授は「財政赤字に苦しんでいる日本は高額紙幣の廃止によって税収増の効果も期待できる」と主張されていますが、これは僭越ながら甘すぎます。なぜなら日本で秘匿されている高額紙幣(1万円札)は、脱税した後で表に出せないもので、仮に1万円札の新規発行を止めて市中から吸収しようとしても「炙り出せない」からです。

 これは以前に主張したことがありますが「一定期間限定で自主申告して(例えば)30%の税金を納めれば過去の脱税は罪に問わない」とでもすれば、税収が上がるだけでなく秘匿されていた現金が表に出てくるため消費に回るかもしれません。脱税がバレれば重加算税の対象になるだけでなく懲役刑にもなるため、これは大変に寛大な措置となるはずです。

 それに国税庁長官名で(最近国会に呼ばれていた方が昇格されたはずですが)感謝状でも贈れば完ぺきとなります。またその一定期間終了後は、脱税に対する刑罰をさらに重くすればより効果が出ます。

 もう1つのロゴフ教が指摘されるポイントは「次なる金融危機に備えるためにも中央銀行はマイナス金利を本格的に検討すべきだ。日本を例に挙げるまでもなく量的緩和政策は金利政策ほどの効果がないが、大幅なマイナス金利は預金者への大幅なマイナス金利とすることができ(例えばマイナス4%とか)、それだけインフレ予測も出てきて景気対策にもなる」というところです。

 ここでいうインフレ予測とは、世の中の金利がマイナス4%なら、物価がマイナス2%でも2%のインフレ効果となると仰っているようです。確かに量的緩和政策に金利政策ほどの効果がないことは明らかですが、効果のある金利政策とは金利の絶対水準が高いところから「思い切って」利下げを行う必要があり、現在のように金利水準が低くなると大幅なマイナス金利まで「思い切って」利下げを行う必要がありますが、その障害となるのが大量の現金(高額紙幣)であるため、それを廃止してしまえばよいとの主張のようです。

 大幅なマイナス金利がインフレ予測を高めて景気対策となるかはともかくとして(本誌はそう思いませんが紙面がないので割愛します)、大量の現金(高額紙幣)を廃止すれば大幅なマイナス金利にするための障害がなくなるというところは「明らかに」違います。

 なぜなら日本で秘匿されている高額紙幣は、大幅なマイナス金利となれば「大変な高利回りで増え続ける」ことになり、ますます秘匿される高額紙幣が増えることになるからです。

 せっかくのロゴフ教授のご託宣ですが、結局のところ現在の日本においては「1万円札を廃止する」メリットは何もなく、秘匿された高額紙幣を「炙り出す」方法を本気に考えた方がはるかに効果的であると考えます。


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■闇株的見方 » 経済 | 2017.08.02
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