Archive

闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

積水ハウスが嵌まり込んだ海喜館の怪

2017年08月04日

積水ハウスが嵌まり込んだ海喜館の怪


 大手住宅メーカーの積水ハウスが8月2日午後4時、「分譲マンション用地の購入に関する取引事故につきまして」なるIRを発表しました。

 分譲マンション用地を70億円で購入したものの、所有者側の提出書類が真正なものではなく当該登記申請が却下され、以降、所有者と連絡が取れない状況に至ったというものですが、驚くべきことはすでに購入代金のうち63億円が支払い済みだったところです。

 要は積水ハウスが、その土地の所有者でもなんでもない「なりすまし」が提出した偽造のパスポートや印鑑証明などを見抜けず売買契約を締結し、手付金や購入代金を騙し取られたという典型的な「地面師」の事件です。

 地面師とは、ハコ師(すり)やゴト師(パチンコのイカサマ師)などと同じもう絶滅種に近い古典的詐欺師ですが、実は昨年あたりから結構あちこちで暗躍しています。ただ地面師に新規参入者がいるわけではなく、だいたい昔からの地面師がどこからともなく現れてグループを組み、またどこかへ消えてしまう繰り返しのようです。

 この積水ハウスを嵌めた「地面師」グループも、実はもうほとんど特定されており実名もわかっていますが、捜査の妨害にならないようにここではすべての登場人物をイニシャルとします。また「地面師」グループには弁護士も司法書士も関与しているものですが、通常は「私も騙された」と逃げ切ってしまいます。

 ただ今回のようにここまで綺麗に成功し、しかも購入代金のほとんどを騙し取られるケースはほとんどなく(というより通常の注意力で取り引きを行えば絶対に起こりえません)、もう少し「奥行きが深い事件」である可能性もあります。

 積水ハウスのIRでは具体的な取引内容がほとんど明らかにされていませんが、「舞台」は都内・五反田の目黒川沿いにある約600坪の土地で、数年前まで海喜館という旅館がひっそりと営業していました。土地の形状は長三角形で両側道路が狭く容積率がそれほど大きくならない可能性もありますが、JR五反田駅から徒歩3分で眺望もよくマンション用地として70億円は妥当な価格だと思われます。

 ところがこの土地は過去に何度も「地面師」が暗躍した有名物件でもあり、だから大阪の積水ハウスが巻き込まれたのかもしれません。

 この土地の所有者は海喜館の女将でもあったEさんですが、実はこのE一族はこのあたりの大地主で(一族間の主導権争いも結構有名ですが)、このEさんの自宅もすぐ近くにあります。つまりEさんの「なりすまし」は、本物のEさんのすぐ近くで仕事をしていたことになりますが、積水ハウスがほんの少し確認作業を行っていれば未然に防げたはずです。

 そして本年4月24日、この土地にIKUTA HOLDINGSなる会社が所有権移転仮登記、積水ハウスが2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記を、それぞれ登記しています。当事者が売買契約しているならわざわざこんな仮登記を打つ必要はなく、当時から都内の不動産業者の間では不自然だと言われていました。

 このIKUTA HOLDINGSは実体のない完全なペーパーカンパニーで、なんとその登記住所が某元国会議員の事務所となっていました。これも積水ハウスが通常の確認作業を行っていれば未然に防げたはずです。

 そして決済日の6月1日、積水ハウスは自社の司法書士が登記書類を持ち込んだことだけを確認して、売買代金70億円の大半(たぶん63億円で残る7億円は登記完了後だったはず)を支払ってしまったはずです。これも常識では考えられない支払い条件ですが、この時点の積水ハウスは「なりすまし」所有者の気が変わることだけが心配で(そういう演技をしていたのでしょう)、上記の仮登記が逆に安心のよりどころだったのでしょう。

 そして積水ハウスは6月9日に法務局から登記申請却下の連絡を受け、さらに6月24日には自社が購入したはずの土地が2人の男性に相続登記されている事実を知り、ようやく騙されたとわかったものの公表せず、8月2日にやっとその一部だけをIRしたことになります。

 相続登記ということは本物の所有者であるEさんは(たぶん契約日には)亡くなっていたはずですが、相続した2人の男性もE姓ではなく不気味さが残ったままです。ここもまだ「奥行きが深い事件」である可能性はあります。

 事件そのものは「なりすまし」のK(女性)、主犯格の別K、D、Iなどはすでに特定されており、国外逃亡していてもそれほど遠くない時期に逮捕できるはずです。しかし63億円は絶対に戻ってきません。

 さてここから注目すべきは積水ハウスの今後の対応で、もし「再発防止のための第三者委員会の設置」くらいでお茶を濁して事件の真相をこれ以上公表しないのであれば、逆にもっと「奥行きが深い事件」だった可能性が強くなります。

 何度も書いているように、いくら百戦錬磨とはいっても通常の「地面師」だけではここまで綺麗に仕上げられないからです。

 さて本日は緊急アンケートでリクエストが多かった「積水ハウスが嵌まり込んだ海喜館の怪」としましたが、来週早々にはもう1つの「ビットコインの分裂騒動でわかったこと」も書くことにします。

 たくさんのリクエストありがとうございました。



ダイヤモンド版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから
インフォカート版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:25 | TrackBack:0
■闇株的見方 » 社会 | 2017.08.04
関連記事
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

07月 | 2017年08月 | 09月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム