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日本郵政の株式売り出しを考える

2017年09月13日

日本郵政の株式売り出しを考える


 日本郵政が昨日(9月11日)の引け後に「株式売り出し」と「自社株買い」を発表しました。「株式売り出し」は、2015年11月の新規上場に合わせて4億9500万株(発行済み株数の11%)を1株=1400円で売り出して以来となります。

 今回の売り出しは国内分が最大7億9207万株(万株以下は切り捨て、以下同じ)、海外分が最大1億9801万株、合計9億9009万株となり発行済み株数の22.0%に相当します。

 売り出し価格の決定は9月25~27日の「いずれか」で、払込日は価格決定の4営業日後となるため、最短で9月中に払込みが完了します。

 売り出し等の発表直前となった9月11日の終値が1321円で、通常であれば本日(9月12日)から海外募集分は貸株とセットにヘッジファンドの猛烈な売り叩きが始まり株価が急落するはずですが、さすがに日本郵政となれば「睨み」が効いているようで終値は逆に52円高の1373円となっています。

 売り出しと同時に発表した最大1000億円の「自社株買い」の影響もあるかもしれません。買入れ期間が9月13~22日と微妙に売り出し価格決定に先行していますが、この自社株買いは政府(財務大臣)保有株だけが対象で、市場の需給関係には関係がないはずです。

 今回はこの売り出しと自社株買いを合わせて1兆4000億円ほどが国庫に入り、全額が東日本大震災の復興予算に充てられます。復興予算の総額は4兆円となっています。

 さて現時点の日本郵政の政府(財務大臣)保有分は発行済み株数の80.49%であるため、今回の売り出しと自社株買いで57%前後となります。ここで2015年11月の新規上場時に政府は100%保有していた日本郵政株式の11%を売り出していますが、日本郵政は同時上場したゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式も売り出し、その売出し代金の7300億円に相当する政府保有分(8.52%)を自社株買いしたため、残りは80.49%となっています。

 つまり新規上場時に自社株買いと合わせて1兆4000億円が国庫に入っており、それに今回も1兆4000億円、さらに最終的にNTTと同じように政府保有分を33.4%まで下げるはずで、現在の株価が維持されれば復興予算の4兆円はクリアできます。

 ところで今回はゆうちょ銀行とかんぽ生命の売り出しを行いませんが、そもそも当初の郵政民営化法案では日本郵政の子会社である両社だけを上場させていずれ全株を売り出し、日本郵政は当面上場させないことになっていたはずです。ところが新規上場直前に急遽、日本郵政も含めた親子3社の同時上場となったため、そこに矛盾が残ったままとなります。

 現時点で日本郵政は、ゆうちょ銀行の74.15%(新規上場時の売り出しは9.2%でしたが、その前に1.3兆円で16.67%を日本郵政から自社株買いしているため)、かんぽ生命の89%(新規上場時の売り出しが11%だったため)を保有しています。本日(9月12日)終値で計算した日本郵政の両社の保有分時価総額は合計で5兆7874億円となります。

 これに対して本日の日本郵政の時価総額は(上昇したものの)6兆1785億円しかなく、単純に両社分の保有時価総額を差し引くと3911億円(1株=87円)しかありません。しかも日本郵政は上場会社として株価を維持するために、ゆうちょ銀行とかんぽ生命から合計で年間1兆円以上の代理業務手数料を吸い上げ、年間50円の配当(利回り3.78%、配当総額2250億円)を支払っています。

 もしこれから日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を1株も売り出さないならこれでいいのかもしれませんが、もし当初の予定通り両社の全株をいずれ売却してしまうなら、日本郵政の企業価値は大幅に減少することになります。

 もちろんゆうちょ銀行とかんぽ生命の売り出し代金は日本郵政に入りますが、まず間違いなく政府が何らかの形で吸い上げてしまいます。もし奇跡的に売却代金が日本郵政に残されたとしても、両社の収益や配当は計上できないことになり、その資金はまたオーストラリアの物流会社のように「ロクでもない海外企業の買収」に回されて消えてしまうことになりかねません。だったら政府が吸い上げた方がマシです。

 今から考えると国営企業でありながら日本国民への何の恩恵もないオーストラリアの物流会社を「とんでもない高値」で買収したことも、野村不動産を「勝手に」買収しようとしたことも、すべてゆうちょ銀行とかんぽ生命を売却した後の日本郵政の企業価値を(つまり株価を)維持するための「悪あがき」だったことになります。

 つまり日本郵政のトップも財務省など関係官庁も、これから株式を売り出す日本郵政の企業価値が近い将来に大きく棄損してしまう可能性があることを認識していることになります。

 そんな日本郵政株が、まもなく最大9億9000万株も売り出されます。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.09.13
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