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せっかくなので「パラダイス文書」を有効利用しよう

2017年11月10日

せっかくなので「パラダイス文書」を有効利用しよう


 「パラダイス文書」とは、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)とその加盟報道機関によって11月5日に一斉に公表された、タックス・ヘイブン(租税回避地)における取引に関する約1340万件の電子データのことです。

 2016年4月に同じようにICIJとその加盟報道機関によって公表された約1150万件の「パナマ文書」より、文書数では上回っています。

 「パナマ文書」はパナマにあるモサック・フォンセカ法律事務所から流出した電子データが「南ドイツ新聞」に持ち込まれたものですが、「パラダイス文書」はバミューダにあるアップルビー法律事務所など「複数の情報源」から流出しているようで、やはり「南ドイツ新聞」に持ち込まれていました。

 「パラダイス文書」が最初に流出した時期は1年以上前(つまり世間がパナマ文書で大騒ぎしていたころ)だったはずで、ICIJとその加盟報道機関が「じっくり」時間をかけて最も重要な情報である実質所有者(Beneficial Owner)を特定して公表しています。つまりかなり「わかりやすく」なって公表されています。

 「パラダイス文書」にはエリザベス女王やマドンナなど「著名人」も登場していますが、せっかく「わかりやすく」公表されているので、単なる興味の対象とするだけでなく、しっかりと実利的に利用すべきと考えます。

 「パナマ文書」では世界で何人かの政治家が辞任しましたが、そこから税の巨額追徴があったとか(注)、犯罪組織の摘発があったとかは、日本でも世界でもほとんど聞かれないうちに早くも風化してしまいました。先日この「パナマ文書」の公表に関わっていた女性記者がマルタで殺害されており、やはりそれ以上の調査には妨害が入っていたのかもしれません。

(注)早速ご指摘を頂きましたが国税庁は「パナマ文書」の独自調査を行い、これまでに40億円弱の申告漏れを見つけ出しています。

 ここで事業や投資のためにタックス・ヘイブン(租税回避地)に設立した会社を使うことは別に違法ではありません。事業会社が安い労働力を求めて新興国などに生産拠点を移すことと大して変わらないからです。
 
 しかしそこで極端に低い税率や明らかな課税優遇措置がある以外に、事業や投資の拠点をそこに移す「合理的理由」がない場合、意識的な「税逃れ」と考えるべきで「追徴の対象」とするべきです。
 
 「パラダイス文書」でも、アップルがアイルランドにおける低税率(12.5%)だけでなく明らかな課税優遇措置を「今でも」利用していることが明らかになりました。

 アップルとアイルランドといえば、2016年8月にアップルに対する課税優遇措置がアイルランド政府のアップルに対する違法な補助金に当たるとして、欧州委員会が130億ユーロ(1兆700億円)をアップルから追徴するよう(アイルランド政府を)欧州司法裁判所に訴える意向を示しました。

 これはアップルとアイルランド政府が即座に異議を申し立てましたが、今回のパラダイス文書では「その後も」アップルが新たなタックス・ヘイブン(バミューダ)を巻き込んで税逃れを続けていたことになります。

 それではこのアイルランドの低税率と課税優遇措置を使ったアップルの「節税」とは、明らかな税逃れなのかギリギリ許容範囲なのかですが、そもそもアップルがアイルランドに支払っている税率は1~2%のようで、いくらアイルランドが英語圏で人的資源も満足すべきレベルであるといっても、許容範囲を逸脱した「税逃れ」であると考えるべきです。

 一方で日本ではパナマ文書でもパラダイス文書でも、大企業の創業者などが数多く出てきますが、そこは節税以外にタックス・ヘイブンを利用する合理的な理由がなければ(普通はありません)、意識的な税逃れとしてどんどん摘発して追徴してしまうべきと考えます。

 さらにパラダイス文書では、トランプ政権の現職閣僚であるロス商務長官の名前が出ています。繰り返しですが事業や投資にタックス・ヘイブンを利用することは問題ではありませんが、このロス商務長官の「事業」とはロシアのプーチン大統領に近い石油化学会社との取り引きのようで、税逃れ以外に「事業」の相手方がロシアあるいはプーチンに近いことを意識的に隠すためとなり、たぶん辞任に追い込まれることになりそうです。

 またこういうタックス・ヘイブンにおける「事業」では、その活動自体が犯罪に該当するものがあります。パナマ文書でも明らかに「日本における犯罪的な資金集め」に使われた形跡のあるものがいくつかありました。しかし残念ながらパナマ文書がきっかけとなって摘発された犯罪行為は皆無です。

 つまりせっかく公表されたパナマ文書では、明らかに「宝の山」が有効利用されていなかったようです。そこでせっかく公表されたパラダイス文書なので(もう風化しているパナマ文書も含めて)、どんどん税逃れと犯罪行為を摘発するために有効利用すべきと考えます。別にICIJも当局による有効利用に反対しているわけではないはずです。


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■闇株的見方 » 社会 | 2017.11.10
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