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闇株新聞 the book
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2018年02月28日
本日(2月27日)の日経平均は236円高の22389円(終値、以下同じ)となりました。1月23日に24124円と26年ぶりの高値となったところから、米国長期金利の突然の上昇で2月14日には21154円まで2970円(12.3%)も下落しましたが、そこから1235円(下落幅の41%)の回復となります。
当の米国株市場は史上最高値となった1月26日の26616ドルから2月8日までに2756ドル(10.3%)下落しましたが、昨日(2月26日)は25709ドルと、すでに下落幅の67%の回復となります。
今回の米国株急落の最大要因となった米国長期金利(10年国債利回り)は、昨日の段階でもまだ2.87%と高水準ですが、今回は不思議なことにドル安となっています。リーマンショック以降の「常識」であった「金融が引き締め気味の国の通貨が強い」が壊れ始めているようです。
したがって依然として金融緩和・量的緩和を継続している日本の通貨(円)がじりじりと強く(円高に)なっています。2016年9月に導入された長短金利操作付き・量的質的緩和により、日銀保有国債の年間増加額が予定の80兆円から最近は30兆円台まで減少していますが、それでも国債利回りが上昇しているわけではなく、円高の直接的な理由ではなさそうです。
本日(2月27日)午後10時前後の円相場は1ドル=107.04円ですが、2月16日には一時1ドル=105.55円と、昨年(2017年)の最円高となった9月8日の1ドル=107.58円をあっさりと突破し、2016年6月の英国のEU離脱決定直後の(瞬間的でしたが)1ドル=99.0円、あるいは同年11月にトランプが米国大統領に当選した直後の1ドル=101.18円に次ぐ「円高」となりました。
さらに最近は、従来の常識であった円高=日本株安にもなっていません。確かに2月上旬は米国長期金利急上昇=米国株急落=日本株も急落となりましたが、円相場はどちらかといえば円高気味でしたが、その円高気味が日本株を急落させた理由でもなさそうでした。
ところで現在の日銀の金融政策は、黒田総裁が再任されたことや副総裁や審議委員に「リフレ派」が追加されたこともあり、基本的には金融緩和・量的緩和は継続されることになり、間違っても量的緩和の出口戦略が議論されることはないはずです。
そもそも日銀の金融政策の目的は「物価を安定的に年率2%のペースで上昇させる」ことですが、これもそのまま継続されることになりそうです。
日銀が言う2%の物価上昇とは、どの物価統計であるかも明らかにされていませんが、たぶん生鮮食品を除いたコアの消費者物価指数の前年同月比であるはずで、本年1月は0.9%上昇となっていました。何も除かない総合では何と1.4%も上昇しています。
このままであれば国民所得や平均賃金が「ほとんど伸びない」ままで、物価だけが日銀のいう年率2%も上昇し続けたら、それだけ消費が落ちることにならざるを得ず日本経済は「大不況」になってしまうはずです。
また今度こそ2019年10月から消費税が10%まで引きあげられ、増加分の2%分はやはり消費が落ちることになり、あわせて「もっと大不況」になってしまいます。
日本経済における円安の効果といえば、確かに一部の輸出企業の収益は拡大することになりますが、それ以外は円建ての資源高や輸入品(食料など)高となり、円安メリットが一部の輸出企業を除いてほとんど日本国内に残らない典型的な「悪い円安」であり「悪い物価上昇」となります。
つまり日銀の金融緩和・量的緩和とは、ここまで「たまたま」物価が2%上昇することがなかったため、その弊害がよくわからなかっただけです。
そして冒頭に書いたように、ここのところ中央銀行の金融政策と為替の連動性が薄れているため、ここは遠慮せずに「こっそりと」ではなく堂々と量的緩和を縮小させ、国債利回りが上昇するならその自然な動きに任せ(国債利回りをはじめとする金利水準が自然に上昇することはそれだけ資金需要が出始めている大変に好ましい状況です)、そして自然にもっと円高になっても慌てないことです。
昨年(2017年)通年では、海外投資家が日本の中長期債(ほとんどが国債のはずです)を累計で11兆円以上も買い越していました。海外投資家の日本の株式やファンド持分への投資は1.8兆円の買い越しでしかありませんでした。
海外投資家がまだ残存年数が9年くらいまでマイナス利回りの日本国債を11兆円も買い越した理由は、国債の値上がりや利回りではなく「円高狙い」でしかなかったはずです。
本日は書きたかったところの半分も書けていないため、次回も続けますが、要するに結論は現在の日本にとっては「円高メリット」が意外に大きいということです。
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2018年02月25日
2月26日(月曜日)の夕方に、予定通り配信します。
予定内容です。
メインテーマ 1 株式市場が回復し始めたと思ったら、今度は「円高」がきた その2
先週の続きですが、先週よりも(主に)米国株はより上昇し、「長期金利上昇」も数ある「まだまだおとなしい灰色のサイ」が一頭増えただけだったようです。その代わりに「円高」が一向に修正されず、日本株の上値をだんだん重くしているようです。
今週はその辺をより詳しく掘り下げていきたいと思います。紙面に余裕があれば、仮想通貨の「これから」についても書き加えたいと思います。
メインテーマ 2 株式市場における今後の「勝ち組」「負け組」 2018年・春版 その3
今週も、リクエスト頂いた企業も含めて、解説していきたいと思います。何度も「後回し」となっているヤマトHDをはじめ、日産自動車か東芝あたりを予定しています。
もちろんリクエストもお待ちしています。質問コーナーにお寄せください。
お勧め「書籍」「映画」「絵画」
まだ決めていません。
今週の相場観
今週の株式・為替・国債・商品など各市場の動きについて考えます。
質問コーナー
できるだけすべてのご質問にお答えするつもりです。本日(2月25日)深夜まで受け付けています。
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