Archive

闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

えっ、東芝が7000億円の自社株買い?

2018年06月14日

えっ、東芝が7000億円の自社株買い?


 本誌は東芝については、2015年の不適切会計(不正会計のことです)から始まって、2016年末に発覚した米原子力子会社・ウェスティングハウスの巨額損失、債務超過解消のため「虎の子」の半導体事業の売却など、数えきれないほどの記事を書いてきました。

 そして6月12日付け「東芝が半導体事業会社を売却」で一連の東芝シリーズが完了し、主要事業が無くなってしまった東芝については、改めて取り上げることもないだろうと考えていました。

 ところがまだまだ「続き」があったようです。東芝は本日(6月13日)午前11時(立会中です!)に「株主還元の方針に関するお知らせ」なるIRを発表しました。

 要は半導体事業会社の売却完了で9700億円もの利益と、1兆4500億円ものキャッシュができたので、さっそく7000億円ほどの自社株買いをして株主価値の向上に努めるというものです。

 その中には自社株買いの総額については、天然ガスの液化に関する加工委託契約や証券訴訟等、今後顕在化しうるリスクの規模を保守的に(多めにという意味だと思いますが)見積もり、また構造転換等に必要とされるコストや今後の安定配当の実現などを勘案して、7000億円が妥当であるとの解説がなされています。

 この天然ガスの液化事業とは、株式市場では総額1兆円規模の損失が出ると囁かれているシロモノですが、これまで東芝サイドから今後顕在化しうるリスクとの認識が示されたことはなく、不正会計等による株価下落の弁済を求める損害賠償請求も昨年末で1396億円となっており(発表されていませんがもっと増えていると思われます)、それに構造転換や安定配当のためともなれば、できるだけ手元資金を厚くしておくべきであることは誰にでもわかるはずです。

 だいたい2017年3月末時点における5529億円の債務超過を解消するために、海外のヘッジファンドや「物言う株主」に6000億円もの第三者割当増資を強行せざるを得ず、営業利益の9割を稼いでいる半導体事業をわざわざ日米韓連合に2兆円で売却してしまう必要に迫られたはずですが、早くも「すっかり忘れてしまった」ような大盤振る舞いとなります。

 その理由としては、昨年(2017年)12月に払い込まれた6000億円の第三者割当増資を引き受けた海外ヘッジファンドや「物言う株主」が揃って巨額の株主還元を求めており、とくに6月27日の定時株主総会では三井住友銀行出身の車谷(くるまたに)会長兼CEOの取締役選任に反対するなどの観測もあるからと考えられます。

 この日本の株式市場では史上3番目の大きさとなる7000億円もの自社株買いが発表されると(繰り返しですが株式市場は立会中でした)、東芝の株価は316円から後場の始めには一時351円と11%も上昇し、先週末比21円高の337円で終わりました。

 もちろんその恩恵は東芝の全株主に及びますが、東芝の株価は2015年の不正会計発覚前は500円をこえていたため、まだ多くの株主が損失を抱えたままであるはずです。しかも昨年(2017年)12月に海外のヘッジファンドや「物言う株主」だけが応じた第三者割当増資の払い込み価格は262.8円でした。

 ここで本誌は自社株買いを含む株主還元がいけないと言っているわけではありませんが、今回の東芝に関しては現在に至る状況や、まだ潜在的に残る数多くのリスクを考え合わせると、仮に海外のヘッジファンドや「物言う株主」に詰め寄られても、手元資金として絶対に確保しておかなければならない資金であるはずです。

 ところで2018年3月末の東芝の株主資本は、前年度末の5529億円のマイナスから、1兆3360億円も改善して7831億円のプラスとなり、債務超過を解消しています。

 半導体事業会社の売却代金の2兆円は、9700億円の利益と1兆4500億円のキャッシュを東芝にもたらすようです。2017年3月末現在で東芝は債務超過でしたが税務上では損失が確定しておらず赤字ではなかったため、仮に2018年3月以前に売却が完了したなら3400億円ほどの税金がかかるはずでした。
 
 実際には2018年3月期に、増資で入った6000億円でウェスティングハウス関連の保証分を6500億円支払い損失を確定し、さらに同じくウェスティングハウスが正式に破綻したため東芝の出資分や債権などが税務上も損失となったため、合わせて4458億円も税金費用が減少していました。

 したがってこの半導体事業売却にかかる税金も2500億円ほどで済むはずで、アドバイザーへの報酬支払いの1200億円を差し引いてもキャッシュが1兆6300億円残るはずです。売却直前に東芝が半導体事業会社から吸い上げた1180億円の特別配当や、東芝自身が半導体事業会社に再出資した3505億円も計算に入れると1兆3975億円となります。

 会社発表の1兆4500億円とは微妙に違いますが、こんなところなのでしょう。


ダイヤモンド版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから
インフォカート版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:1 | TrackBack:0
■企業 | 2018.06.14
関連記事
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

05月 | 2018年06月 | 07月
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム