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悪しき前例となりそうなリソー教育の粉飾決算

2014年02月20日

悪しき前例となりそうなリソー教育の粉飾決算


 2月17日に配信した有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」の「発表された決算から解説が必要な会社」で、日産自動車、ソフトバンク、楽天などと共に取り上げたのですが、考えれば考えるほど「奇怪な粉飾事件」なので、もっと詳しく解説することにしました。

 表題の「悪しき前例」とは、教育に関わる企業が長期にわたって悪質な粉飾を重ねていたことではなく(別に驚きません)、見事に刑事責任も上場廃止も回避できた「素早い行動」が、悪しき前例になりそうという意味です。

 リソー教育(東証1部・コード4714)のIRを、時系列で追ってみます。

 2013年6月18日  460,000株の公募増資と140,000株の自己株処分を欧州中心の海外市場で行うと発表。主幹事はDeutsche Bank AG(London)で、6月27日に発行価格(処分価格)が7893円と決まり、概算で44億円を調達。同年9月1日付けで1:10の株式分割を実施。

 同年9月2日  創業者で大株主(32.9%)の岩佐実次氏が代表取締役社長をサラリーマンの専務取締役に譲り、兼務していた代表取締役会長に専念すると発表し即日実施(就任)。決算日(2月末)でもなく全く唐突に「後継者育成を図るため(IRより)」の交代。

 同年11月下旬 (リソー教育のIRではなく)證券取引等監視委員会の任意調査をうけた可能性。

 同年12月16日  「不適切な会計処理の疑義に関する調査のための第三者委員会設置に関するお知らせ」のIR。委員長は元名古屋高検検事長、3人の委員の内2人が元・前地検検事正、残る1人が公認会計士。

 2014年1月6日  2014年2月期・第3四半期(2013年9~11月)報告書の提出遅延を申請。同年1月9日に承認(2014年2月14日まで)。

 同年2月10日 第三者委員会調査報告書の受領(後述)。

 同年2月14日 第三者委員会の調査報告にもとづく再発防止策(4日で作成したそうです)、2014年2月期・第3四半期業績修正、配当予想の修正、および決算短信、過年度(6年分)の有価証券報告書等の訂正報告書提出および決算短信等(訂正版)公表など盛りだくさんのIR。最も注目すべきは昨年9月に就任したばかりの代表取締役ら3人のサラリーマン役員が「経営責任を明確にするため」同日付で辞任し、創業者で大株主の岩佐実次氏・代表取締役会長が社長を兼務。

 これもIRにはありませんが、岩佐氏は報酬4か月分を「自主返納」して経営責任を明確にしたそうです。

 さてその第三者委員会の調査報告書では、粉飾は6年半にわたり連結累計で83億円の売り上げ、83億円の経常利益、58億円の純利益を不正に計上していたとあります。

 つまり利益率がほぼ100%の売り上げを不正計上していたことになり「明確な悪意を持った粉飾決算」となります。そして調査報告書では明確に「違法配当」「有価証券報告書虚偽記載」「有価証券の虚偽募集(2013年6月の増資その他)」「有印私文書偽造」の刑事犯罪に該当すると指摘しておきながら、奇怪なことに岩佐氏については「全く関与していなかった」、その他の取締役については「黙認していた可能性がある」としか認定していません。

 経営陣でもない「誰か」が、単独で長期にわたり粉飾決算を実行していたそうです。

 そもそも昨年11月下旬に証券取引等監視委員会が「どのような経緯」で任意調査を行い、何を見つけてどういう行動をとっていたのかが全く不明ですが、そこからリソー教育が素早く自主的に第三者委員会を設置して調査を依頼し、上場維持のための期限ギリギリに上記の内容の調査報告書を受領し、大急ぎで決算短信や有価証券報告書の訂正報告書等を提出し、社内処分を済ませて岩佐氏が代表取締役社長に復帰したわけです。

 「腑に落ちない」ことはともかくとして、これで上場廃止を回避し、証券取引等監視委員会はあとから比較的軽微な課徴金を勧告するだけで、刑事責任を問われる可能性もなくなりました。課徴金は行政処分で新たに刑事事件化することはありません。

 元検察庁幹部を戴いた第三者委員会の自主的設置など、リソー教育の「素早い行動」を参考に粛々と公表・反省すれば、何事もなく済んでしまう「悪しき前例」となりそうです。

 それから東京証券取引所も2月10日の午後になって突然「粉飾決算に関する報道の真偽等の確認のため」にリソー教育株を一時売買停止にしました。それまで多数の関連するIRを承認していたことは「忘れている」のでしょうね。


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コメント
推定無罪
第三者委員会の報告書を読みましたが、この程度の内部管理制度・体制でも上場できるともなれば、真面目に内部統制を行うのがバカバカしくなる有り様です。

A会長(報告書の表記)は「本件売上の不適正計上に関与し、あるいは認識していたとは認め難い」とされますが、積極的な証拠が収集できず、消極的な傍証(合計すれば五件)からしてノットギルテイという判断ですので、所詮第三者委員会の立ち位置がどのようなものか容易に想像がつきますし、聞き及ぶに「予めこの程度の調査で・・」というやりとりをおこなうのが通例らしい。

死人に口なし、部下が罪をひっかぶる・・・とは、ありげな和の風景です。
事実は小説よりも奇なり
会長以外の社員全員で粉飾していたというのが事実。役員は黙認ではなく「示唆」
監査法人に行政処分勧告。
リソー教育は8日、不適切な会計処理により2014年春に金融庁に課徴金納付を命じられた問題について、不正に関わった前社長ら3人に損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしたと発表した。 

あらまあ。。
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