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ウクライナ政変とデフォルト危機

2014年03月03日

ウクライナ政変とデフォルト危機


 先週は「人民元の急落」や「ビットコイン消滅」などがありましたが、世界の金融市場にとって(日本の株式市場にとっても)最も影響が大きいと懸念されるのがウクライナの経済危機です。

 2月22日に親ロシアのヤヌコービッチ政権が崩壊して、親EUの暫定政権が発足しました。しかしプーチン大統領は、ロシア人が多く軍事上重要なクリミア自治共和国に対する軍事介入も辞さないようです。

 最大の問題は、ウクライナを巡りロシアとEU・米国が対立していることだけではなく、ウクライナは1400億ドル(うち国家分は375億ドル)もの対外債務を抱えてデフォルト寸前であることです。

 ヤヌコービッチ政権時に約束されていたロシアからの150億ドルの金融支援(ウクライナ国債の引き受け)は、当然に見送りとなりました。

 政権の交代後、ウクライナの対外債務総額は報道される毎に大きくなっており、たぶん現在の暫定政権では誰も正確に把握していないはずです。またウクライナ通貨のフリブナは年初の1ドル=8.2フリブナから一時1ドル=10.6フリブナまで急落しており、ドル建・ユーロ建の対外債務は日々膨らんでいることになります。

 ウクライナの2013年の経常赤字はIMFの推計で128億ドル(GDPの7.3%)もあり、頼みの外貨準備は危機ラインとされる150億ドルを割り込んでいるようです。またウクライナ経済は公式統計には現れないアングラ経済の比率が5割ともいわれ、ますます実態が把握できないことになります。

 さて親EU政権となったウクライナから金融支援を要請されているEU・IMF・米国は、驚くほどスピード感・危機感に欠けています。

 EU諸国(特にオーストリアとイタリア)の銀行はウクライナ国債を大量に保有しており、当然に早急な措置が必要となります。ところがウクライナ入りしたアシュトンEU外交安全保障上級代表は、調査のための専門チーム派遣を約束しただけで、しかも「IMFが支援に合意すれば融資を検討する」と完全に他人事です。

 さらにその場合でも、融資額はヤヌコービッチ大統領(当時)が反故にしたEUとの連合協定にあったわずか6億ユーロ(8.4億ドル)を示唆しただけです。

 そのIMFも、そもそも2008年9月に164億ドルの緊急融資(実行は106億ドル)、さらに2010年7月に151億ドルの緊急融資(実行額不明)に踏み切っており、これ以上の融資ができる状況ではありません。

 ラガルド専務理事も調査チームの派遣を約束しただけで、「(ウクライナ経済は)現時点では危機的な状況ではない」「まず必要な金額を見極める必要がある」と懸命に予防線を張っています。

 米国では、オバマ大統領が「いかなるロシアの軍事介入も代償を伴う」といつものように息巻いたもののプーチン大統領に完全に無視され、肝心の金融支援はルー財務長官が「IMFを中心とした国際支援を要請するように(ウクライナに)提案した」だけです。

 つまりEUもIMFも米国も全く他人任せで、誰も自らが金融支援するとはいっていません。つまりウクライナの暫定政権はヤヌコービッチ大統領を追い出したものの、期待していた金融支援についてはEUやIMFや米国との間に大変な距離があることになります。

 これにウクライナの政治と経済情勢が日々悪化している状況を考え合わせると、ウクライナが実際にデフォルトする可能性は、考えられているより「はるかに高い」となります。

 ただ日本株がウクライナ情勢に直接反応するのではなく、いつものようにNY株式や欧州株式に悪影響が出れば「それをみて反応する」ことになります。とりあえずは先週末(2月28日)のNY市場や欧州株は上昇しており、日本株もとりあえずは影響されないはずです。

 ただ日本に対しては、そもそもウクライナに対する支援原資のないIMFが、必ず資金提供を求めてきます。IMFは財務官僚にとって「大切な天下り先」なので気前よく応じてしまうはずです。民主党政権時にも欧州債務危機に備えるIMFに600億ドル(当時の為替で5兆円)も資金提供してしまいました。

 今回も「別に日本にとってはあまり関係のない」ウクライナのために、日本の税金が気前よく使われることになりそうです。


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コメント
質問です
伺いたいのですが、こういう事態の時、日本はIMFに資金提供するのではなく、直接ウクライナに資金援助、つまるところ、ウクライナ国債を買い支えるという事は出来ないのでしょうか?

もはやIMFより一つ一つ親日国家が増えていく方が、国家の国益となると思うのですが。デフォルト寸前とはいえ地理的に重要な地域でありますし、IMFに媚びを売るより遥かにましではないでしょうか。
スラブの伝統
やはり旧ソ連国境以東の白ロシアもウクライナも絶望的に伝統的民族的にロシアそのもので指導者を見ればよくわかります。間違ってEUに属したいと云うときは、もう一回ロシアを破綻させたとき3者御一緒にという以外考えられません。それまではドブに金を捨てるようなもので、EUも自滅しかねない。その前にまた日本がかつあげされるか心配ですが。この辺りは民族の子宮というような所で最後にとり残された民族はスラブ(奴隷)民族と呼ばれるほど自前では国家が作れない伝統のある地域ですが、ピョートル大帝によりロシアにまともな国家意識が初めて生じたものの、その後はまたしてもどなたかの共産国家の実験場となってしまいました。図体だけは大きい胎児をいきなりメルモちゃん化したようなものです。つまりここは今だに子宮内で本質的にはまだ生まれていないようなものなのだから、本当は欧米諸国にもう一度国を作り直してもらえば良いのですが、いちど生じてしまったロシアの未熟古代民族的国家意識が障害です。このギリシャ正教の地はあまりにも西方教会地域とは異質でとてもEUに馴染むとは思えません。ハンザ同盟のあったバルト3国は馴染むと思いますが。これが欧米の本音では?
ハゲ
他国助ける余裕あるなら消費税上げんのやめろ
 ウクライナを直接間接を問わず支援をする意味があるかどうかの議論を別にすると、ウクライナ国債を買っても日本だけを特別視してくれるわけではなく、あっさりとデフォルトしてしまいます。そもそも国債は流通するのでウクライナ国債を買っても感謝はされません。

 IMFを通じた資金提供はIMFが回収してくれるので、IMFへの資金提供が貸付であれば返ってくる可能性は高くなります。

 またこれだけ歴史的に長い関係のあるロシアとEUに割って入って、日本の存在感が大きくなることや親日国家になるなどは考えられません。近いうちに親ロシア に戻るはずで、全く無駄になります。そうでなくてもウクライナは地下経済の割合が大きい「不気味な国」です。(日本では「反社会勢力」と付き合ったとしてメガバンクの頭取まで辞任させられる国ではなかったでしょうか?)

 何れにしてもEUもIMFも米国も立場を有利にしたくて介入しているだけで、自ら資金支援するつもりなどありません。日本は「絶対に無駄なお金は出さない」とはっきりと決めておくべきです。
EUの本音はウクライナをデフォルトさせて、対ロシアの債権を紙くずにしたいのではないでしょうか。
ポーランド首相が「せっかく支援したのにそれがロシアへの借金返済になってしまったら皮肉としか言いようがない」と言ってますし。
どちらにしろEUが金や軍を出すほどの本気ではないように思えます。
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