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日本ハムの新株予約権付社債

2014年03月12日

日本ハムの新株予約権付社債


 3月7日に日本ハム(東証1部・コード2282)が300億円のユーロ円建て新株予約権付社債(以下「本件社債」)の発行決議をIRしました。払込日が3月26日、償還日が平成30年9月26日(4年半債)、転換価格が3月7日の終値1659円を35%上回る2239円となっています。

 全株が転換されれば約1340万株となり、現在の発行済み株数(2億2844万株)が5.86%増えることになります。

 さらに本件社債の全額を三井住友グループのSMBC Nikko Capital Markets Limitedが引き受けて、それをケイマン籍の特別目的会社(Wessex Limited)に譲渡してカバードワラントを発行させて海外投資家(もちろんすべてヘッジファンド)に販売するようです。

 また日本ハムは同じ3月7日に上限300億円の自社株買いを発表し、すでに3月10日に東証立会外取引で1522万株(252億円相当)を買い付けました。

 ポイントを2つにわけて解説する必要があります。大変真面目に資本政策を考えている日本ハムと、大変に邪(よこしま)な三井住友グループのそれぞれについてです。

 まず大変真面目な日本ハムは、平成22年2月にも300億円の新株予約権付社債(以下「旧社債」)を発行しており、転換価格が1309円で本年3月3日が償還日でしたが全額が株式に転換されました。詳しい説明は省きますが、旧社債も本件社債も償還の3か月前にならないと転換されない工夫が凝らされており、実際に旧社債は最後の3か月で全額が転換されています。

 また日本ハムは、旧社債の発行直後から自社株買いを進め、自己株残高がピークで2946万株(総取得コスト約325億円)となっていましたが、旧社債の転換はすべて自己株を交付しており自己株残高が669万株まで減っていました。そこへ新たに上限300億円の自社株買いをスタートさせ、3月10日に1522万株(252億円相当)を買い付けました。

 つまり日本ハムは300億円の旧社債を発行したあと、約325億円をかけて転換に必要な株数以上を「あらかじめ」手当しており、本件社債でも同じように考えて払込み前にすでに大半を手当てしています。

 やや理解に苦しむ行動ですが、日本ハムは大変真面目に負債資本比率の最適化とROEの低下回避を考えています。単純に新株予約権付社債を発行するとROEが低下する恐れがあり、社債発行や銀行借り入れでは負債資本比率を悪化させるからです。

 しかし本件社債の転換に必要な株数を先に手当てすると、株価が低迷して転換が進まずに別途償還資金が必要となるリスクがありますが納得の上のようです。

 その大変真面目に資本政策を考える日本ハムに対し、大変に邪(よこしま)な考えで対応したのが三井住友グループと傘下の日興コーディアル証券(欧州法人)です。

 本件社債を全額引き受ける三井住友グループは、ケイマン籍の特別目的会社を使って新株予約権と同じ経済効果があり、しかも資金負担が最小限で済むカバードワラントを組成してヘッジファンドに販売します。新株予約権付社債のままだと新株予約権と社債部分に分離できません。

 問題はそのカバードワラントをいくらでヘッジファンドに販売できるかです。基本的にゴールドマンがソニーの新株予約権付社債で行ったスキームと同じで、このときも三井住友銀行が全額(最優遇レートで)を資金提供しています。

 ただ日本ハムのボラティリティはソニーよりも低く、しかも時価より35%も高く転換価格が設定されており、日興コーディアル証券の欧州法人ではヘッジファンドに強気な営業ができないことなどを考慮しても、年間1.5%として4年3か月債で額面の6.375%では販売できそうです。

 それに対するコストは三井住友の調達コストだけですが、一応は年利0.5%として4年3か月で額面の2.12%、それに本件社債の発行価格が100.50円なので0.5%の償還損も考慮すると、残る手取りは3.75%、額面300億円なので11億円強が「引き受け手数料以外に」三井住友グループに入るはずです。

 もともと新株予約権付社債は新株予約権の価値が考慮されておらず(新株予約権の概念が導入されたときの設計ミスです)、さらに最近の低金利でますます歪みが大きくなっているので、大変真面目に資本政策を考える日本ハムを邪(よこしま)な三井住友グループが利用してしまったようです。

 まあ、またゴールドマンに儲けられてしまうよりはマシと考えるべきでしょう。


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コメント
マレーシア航空機蒸発とTPP
現在の航空機が遠隔で操縦出来るって事は知る人ぞ知るです。
高度を下げ、速度を落とし、機体が損傷する事も無く海底に沈んでしまってるでしょう。

軍事的テクニカルではたやすい筈だ。

TPPも表舞台から誰も知らない所で決着する事になるのでしょう。

TPPと航空機蒸発
関係無いようで密接な関係

暗黒の時代だ。
資本政策
本来の株式・社債・会社法の体系は、変動相場制によるマネー経済の肥大を受け、資本に金融工学を適用しデリバティブ化・オプション化・ハイブリッド化・M&A化を施し、実際には金融業界内での別体系として運用されるようになってしまったので、大真面目な資本政策は時代遅れのカモネギとなってしまうわけです。タックスヘイブンという不法の楽園があり国家間の金融技術の格差も大きい。おまけにCDSという業界内賭博も規制されるどころか、たとえ国家がたおれようが業界を救うという救いのなさです。この手の素質はアングロサクソンの血統なのか。CDSの清算と償却は終わったのでしょうか。彼らには借りを返すという発想すらありません。注入金額だけだと思っているようです。どう考えても資本(調達)についてアマチュアの産業界とのある程度の切断などの規制(復活)が必要か。違法でない詐術と言ってられませんね。既に業界のルールが違うはずです。金融業界を救う取引税では社会が救われません。そして中銀・国家・銀行保有の今はもうなかったかのようなあの不良資産の評価損は資産価格の上昇で公表できそうなのか。ストレステストは信用できませんが。御教示いただければ。
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