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オリンパス事件の光と影 その5

2014年03月14日

オリンパス事件の光と影 その5


 オリンパスの「簿外損失」は1992年3月末に約500億円、1996年3月末に約900億円、2003年9月末に約1200億円と膨らんでいったはずです。それぞれ実現損と評価損が半々くらいだったようですが、オリンパスは毎年3月末と9月末に実現損については実現益を無理やり計上し、評価損を抱えた投資残高の大半を「簿価」で外部に飛ばしていました。

 ところがオリンパスは1998年に朝日監査法人(当時)から、特金による資金運用が不透明であると指摘され早期解約を求められてしまいます。さらに2001年を目途に時価会計が導入されることにもなりました。これらによってオリンパスの損失隠しは格段に難易度が増し、特に「簿外損失」に相当する金額の大半をオリンパスが簿外で調達してファイナンスする必要が出てきました。

 そこでオリンパスは1998年にリヒテンシュタインのプライベートバンク・LGT銀行に350億円を預けて日本国債を購入し、その国債を担保に300億円の融資を受けて「簿外損失」をファイナンスしています。

 オリンパスの決算ではLGT銀行へ預けた350億円で購入した国債が資産計上されているのですが、その国債を担保に融資が行われていることは監査法人に隠されました。LGT銀行・東京駐在員事務所長(日本人のU氏)の協力がなければ不可能だったはずですが、このことは全く問題視されていません。

 また2000年にはシンガポールのコメルツ銀行に300億円を預金して、その預金を担保に融資を受けて「簿外損失」をファイナンスしています。2000年に担当者のチャン・ミン・フォン氏が同じシンガポールのソシエテ・ジェネラル銀行に移籍すると取引を移管し、2004年には預金額は600億円となり(上限いっぱいの)融資で「簿外損失」をファイナンスしていました。

 このときもオリンパスの資産には銀行預金だけが計上され、その預金を担保に融資が行われていることは監査法人に隠されました。これも日本では全く問題視されなかったのですが、担当のフォン氏は2012年12月にロサンゼルス入りしたところをFBIに逮捕されました。

 容疑は証券詐欺の共同謀議で、「共同」となっているため別に「主犯」がFBIのターゲットになっていることになります。常識的にターゲットはオリンパス本社で、このフォン氏と日本で逮捕を免れた佐川肇氏が「オリンパスにとって不利な証言を山ほど」しているはずで、今後は身構えておく必要があります。

 話を戻しますが、オリンパスはこれらの「簿外損失」を主に2つの方法で表に出します。

 1つは2006年から2008年にかけて、電子レンジ調理容器製造などの本業とは関係がなさそうで売り上げもほとんどない国内企業3社を総額734億円で買収し、その大半が迂回されて「簿外損失」の解消に使われました。またオリンパスはそのうち557億円を2009年3月期に減損処理していますが、そうでなければ20年かけて償却されるはずでした。

 もう1つは2008年に英国医療機器メーカーのジャイラス・グループを9億3500万ポンド(当時の為替で2117億円)で買収し、その際にジャイラスの優先株を買い戻すなどの名目でケイマン籍の会社に合計6億8700万ドル(同687億円)を支払い、やはりその大半が「簿外損失」の解消に使われました。これらの金額はジャイラスの取得金額に加算されており、これも20年かけて償却されるはずでした。

 しかしこのジャイラスに関する一連の処理には、あずさ監査法人(旧朝日監査法人)が難色を示し、2009年3月期には155億円の特別損失計上を余儀なくされました。あずさ監査法人は契約期間が満了となる2009年7月に契約を更新されず、新日本監査法人と交代することになりました。

 しかし、とにもかくにもオリンパスが1980年代後半から延々と抱えていた「簿外損失」は、今後の償却負担は残るものの2010年3月期決算には完全に処理されていました。当時はこれらの巨額買収や、不自然に膨らむ無形資産(のれん代)などの問題点を指摘したアナリストやマスコミは皆無でした。

 2011年7月にFACTAが指摘したのですがほとんど注目されず、同年10月のウッドフォード解任も事実だけが淡々と報道されていました。

 日本のマスコミが突然「蜂の巣をつついたような騒ぎ」になるのは、同年10月下旬に英国Financial Times(FT)が大変に不正確な記事を掲載してからです。このFTの記事が出なければ日本のマスコミが大騒ぎすることもなく、そもそもオリンパス事件は存在していなかったような気がします。

 次回はオリンパス報道を巡る日本のマスコミの問題点から始めます。その問題点は現在も全く改善されていません。


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コメント
当時のことを考えると、同じような飛ばしのケースは結構あり、隠し通してきた企業がオリンパスしかないというのも不思議な気がします。禿鷹的なコンサルが斡旋しているならなおのこと。いまさらですが第2のオリンパスの可能性はないのでしょうか?
委員会の責任
今回もコンパクトに問題点と現状をまとめてわかりやすかったです。
委員会は監査法人や外資系アナリストの問題は完全に棚上げしたようですね。
もういまさら新たに動きそうな気配は皆無のようです。
問題を放置しチェック機能を果たしていないのはいかがなものかとおもいます。上場維持を支持した東証や大手銀行融資やソニーの提携など含めなんらかの政治力が働いてるのは間違いないでしょう。

闇株新聞としては続編として特にケイマン諸島などを介したファンドの作成方法
やFBIの動きと野村OB裁判の行方を深く切り込んでほしいと思います。
ゴリラさんがおっしゃってるように
委員会は指南役の顧客企業リストを徹底的に調査すべきだと思いますね
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