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世界の取引所  その1 Chicago Mercantile Exchange

2011年03月11日

世界の取引所  その1
Chicago Mercantile Exchange
 
東京証券取引所と大阪証券取引所が経営統合に向けて協議を始めたようです。 
 
 最近は世界的に、ドイツ証券取引所とNYSEユーロネクスト、ロンドン証券取引所とトロント証券取引所などの経営統合が続き、次はナスダックOMXの動向が注目されており、
そういった流れの中の当然の議論だと思われます。
 
 実際は、どういう方向になるのか全く不明で、いつの間にか消えてしまうかもしれないのですが、これについては今後書く機会もあると思います。
 
 ここでは世界の主要取引所の歴史や活動を御紹介することにより、東証など日本の取引所のあり方へのヒントとなればと思います。まず第一回はChicago Mercantile Exchange (以下、CME)についてです。
 
 シカゴ市は米国中西部、五大湖の近くにある米国第三位の都市です。人口は近郊を入れて約1000万人ですが、1830年代まではほとんど人が住んでいませんでした。もともとニューヨークなど東海岸で活躍の場を得られなかったアイルランド系やスコットランド系の人達が移ってきたようで、今でも東海岸へのライバル心は非常に強い土地です。
 
 1830年代以降、運河や鉄道の完成で近郊の穀物の集積所となり、1848年には穀物取引所が出来ました。最初は穀物の現物の取引所だったのですが、だんだん少ない証拠金でヘッジや投機をしたい人々が集まり、Chicago Board of Trade (CBOT)として世界最大の穀物先物取引所となります。
 
 1919年に、CBOTから卵やバターなどの「生もの」を扱う先物取引所としてChicago Butter and Egg Board が分離独立し、これが後のChicago Mercantile Exchange(CME) です。
 
 それから長い間CBOTが穀物、CMEが「生もの」先物取引所として棲み分けて共存していきますが、歴史も規模もCBOTの方が圧倒的に優勢で、取引所もシカゴ市内の本当の中心にありました。1920年代のシカゴをモデルにした映画「アンタッチャブル」にも出てきます。
 
 両取引所は、1970年代から金融先物に取り組み始めます。まずCBOTでは米国国債20年物(T-BOND)の先物とオプションで圧倒的な出来高を集めます。米国の財政赤字が膨らむにつれ、長期金利のヘッジのニーズが金融機関等から出てきたからです。
 
 CMEの方は、もともと「生もの」の先物取引所だったからか、ユーロダラー3カ月の短期金利先物取引で出来高を集め、その後通貨先物、株式指数先物と広げていきます。特に通貨先物はドルの変動相場制への移行に合わせ爆発的に出来高が増えます、
 
 両取引所とも、今でも多数のトレーダー(それぞれが取引所の会員で、ローカルズとも言います)がピットの中でopen outcry という、手ぶりと発声で膨大な取引をしているのです。現在は電子取引が中心になっているのですが、古典的なopen outcryによる取引も残されています。
 
 シカゴの両取引所は、もともと運河や鉄道が集まり穀物等の集積地となった地の利に加え、もともと東海岸では恵まれなくて移ってきた人々が投機で生計を立てるために集まり、ローカルズとして市場に流動性を供給し(実はこれが成功への最大の理由なのです)、全米有数の穀物先物取引所が出来あがっていきました。そこへ、時代の変革を予想して金利先物、通貨先物、株価指数先物等が矢継ぎ早に始まり、爆発的に伸びていきます。
 技術的には穀物先物でも金融先物でも取引単位や呼値を小口・定型化して、一般投資家(ローカルズ)が参加しやすくしたこともあります。
1980年代から90年代にかけてCBOTのT-BOND先物で、Tom Baldwinという伝説的ローカルズがいました。
 
 CMEで金利、通貨、株価指数などの金融先物を作ったのが「先物の父」と言われているレオ・メラメド氏です。もう80歳を超えているはずですが、今も名誉会長です。
 実はメラメド氏はユダヤ人で、ナチスの迫害を受けて、あの杉原千畝副領事発行のビザで生き延びて米国に渡りました。メラメド氏は今でもこのことを非常に感謝しています。
 
 さて、CMEは2002年、CBOTは2005年に上場したのですが、2007年にCMEがCBOTを吸収合併しました。もともとCMEがCBOTから分離独立したのですが、子が親を吸収したのです。金融先物での商品企画力の差だったようです。
 また、2008年にはNY Mercantile Exchangeも吸収しました。WTI原油先物で有名です。
 
 上場会社でもあるCMEの時価総額は200億ドル(1.7兆円)を超えており、取引所自体の時価総額は香港証券取引所に次いで世界第2位です。ちなみに大阪証券取引所の時価総額は1200億円、東京証券取引は上場したとしたら2000億円程度と言われており、経営統合しても時価総額は3000億円強で、非常に見劣りすることになります。
 
 最後に、シカゴの先物業界で一番有名な日本の金融機関はどこでしょう?
 
 金融機関と言っていいのか分かりませんが、それは堂島の米取引所です。シカゴより100年も早く先物取引を始め、CBOTも先物市場の設計に際し、随分研究して参考にしたようです。シカゴでは三菱銀行や野村証券よりはるかに有名です。
 
 それでは、シカゴ先物業界で一番有名な日本人は?
 
 それは京都大学名誉教授だった伊藤清博士です。随分前に発表した確率微分方程式を使った「伊藤の定理」は、その後フィッシャー・ブラックとマイロン・ショウルズの生みだしたオプション価値算定のブラック・ショウルズモデルの原形となっているのです。
 伊藤博士が後年シカゴを訪れたとき、あまりの歓迎ぶりにびっくりされたようです。博士自身は何年も前に書いた定理が、そんな風に役立っているなど全くご存じなかったようです。残念ながら2008年にお亡くなりになりました。
 
 あとシカゴ・フィルを指揮した小澤征爾氏も有名です。
 
平成23年3月11日

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