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ライツイシューの審査を強化するそうです

2014年04月15日

ライツイシューの審査を強化するそうです



 東京証券取引所が、ライツイシューの新たなルール整備を検討しているようです。

 ライツイシューとは、企業がすべての株主に新株予約権を無料で割り当て、権利行使期間が終了するまで新株予約権が取引所で取引され、権利行使(払込み)の意思がない株主にも新株予約権の換金機会が与えられる仕組みです。

 株主が権利行使しなかった新株予約権を第三者が全額権利行使するタイプを「コミットメント型」、そのまま消滅となるタイプを「ノンコミットメント型」と呼びますが、現在まで発行された23例のうち「コミットメント型」は3例だけです。

 東証が検討しているルール整備とは、この「ノンコミットメント型」のライツイシューに対しても事前審査などを義務づける方向のようです。

 そもそもライツイシューとは、全ての株主に対して公平に新株予約権を割り当てるため、東証や財務局の事前審査も株主総会の承認も必要なく、どんな財務内容の悪い会社でも取締役会決議だけでどんな条件(発行株数や発行条件など)でも発行できてしまいます。

 これは「コミットメント型」でも同じですが、こちらは残余の新株予約権を権利行使する第三者(普通はアレンジ証券会社です)が必ず事前審査するので、東証が新たに事前審査する必要がないということです。

 ということは大変に財務内容に問題のある会社でも(要するに危ない会社でも)、ライツイシューで自由に資金調達ができていたことに、東証が「ようやく」気がついたのでしょう。それだけ「首をかしげたくなるライツイシュー」がありました。

 本誌でも何回か取り上げていますが、昨年8月30日付け「ライツイシューは駆け込み寺か?」だけでも読んでみてください。

 そもそもライツイシューとは、既存株主の利益を損なうことがないとの理由で「当局」が大変に推奨していた増資形態です。公募増資や第三者割当増資を希望しても当局から「ライツイシューにしなさい」といわれたケースもあったようです。

 ここで今まで「放置」あるいは「推奨」さえしていたライツイシューを、やはり問題があるので「ルール整備する」となったのですが、別に当局にとって珍しいことではありません。しかしどうしても「本質的」なところが抜け落ちているような気がします。

 そもそも新株発行を伴う資金調達(エクイティファイナンス)は規制すべきものではなく、最小限のルールだけで会社(取締役会)が決定すべきものと考えます。その評価は株式市場が下すものだからです。

 新株が発行されると、いずれにしても株価は下落します。それを回避するため(特に既存株主の利益を損なわないため)に凝らされる各種ルールは不要であるだけでなく、かえって別の弊害が大きく出てきてしまうこともあります。

 ライツイシューにしても、既存株主の利益を損なわないために「考えに考えて」生み出されたスキームですが、確かに通常の公募増資(特に海外発行部分が大きいもの)に比べて発表直後に株価が下落することが少ないかもしれません。

 しかし公募増資では、発表直後に海外で貸株を使った空売りが行われて株価が下落するのですが、その時点で新株が発行されることによる需給悪化を勘案した株価であることは「確かに問題」ですが、新株が発行される時点で「需給均衡点」に株価が到達していることになります。

 これに対してライツイシューは、既存株主を中心に「何となく期待感で新株を保有したまま」となっているケースが多く、その後に悪材料が出るとビックリするほど株価が下落することがあります。つまりいつまでたっても「需給均衡点」に株価が到達せずに不安定な値動きが続きます。

 つまり「ライツイシューが公募増資に比べて既存株主の利益を損なわない」というのは全くの間違いで、すぐに株価が下落するか長期間にわたって下落するかの違いだけで、既存株主の利益が損なわれていることは全く同じなのです。

 重要なことは「いかに新株発行で調達した資金で将来的に株主価値を増加させるか」で、小手先の規制や指導などは「全く意味がない」のです。


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コメント
ライツイシュー
ライツイシューは、既存株主の価値を損なわないといった話は正しいです。DCF法で考えてみれば一目瞭然なのですが、増資によって得たキャッシュと同額、株主資本価値が増えるのであれば、正しいことになります。分かり易い例で考えれば、100円が適正価値がある企業が、1円で増資すれば、その引き受け手に対し既存株主から新規割当先株主に価値が移転するのは自明の理です。それを防ぐことができるといった意味で大変意義があります。しいていえば、入手したキャッシュと同額以上の株主資本価値を増やす為には、今までと同様のROEを維持するといったことが重要であり、仮に希薄化したとしても既存ROEと限界ROEとの差分だけ価値が減る程度です。更に細かい事を言うと企業規模拡大によるリスク率低減により、ROEが若干低下しても、リスク率低下により株主資本価値が上がるか否かは分かりません。とても影響力ある媒体だと思っていますので、間違った考えを自信をもって仰られそれを真に受ける方が増えることを懸念してしまいます。
ちょっと修正
先日のコメントで一部正確でない部分があったので修正しておきます。先日のコメントはPBRが1倍であることを前提としてきましたが、PBRが3倍であると、増資によって手にした現預金をもとにした利益増加額÷増資額(=限界ROE)は、既存ROEのなんと1/3でも、EPS(一株当たり利益)は変わりません。逆にPBRが0.33で増資されると、既存ROEの3倍も限界ROEは高くないといけないのです。なので、基本的にPBRが1倍超で高ければ高い程、会社の増資はPBRも低くなり、PERも低くなり、結果既存株主の株主資本価値は上がる可能性が高くなり、よって正当化され、PBRが1倍未満の会社は増資によって、既存株主すべきBPSが下がり、折角低いPBRが1倍に近くなって高くなり、PERも高くなり、よって、既存株主の株主資本価値は低下しがちとなります。ちょっと脱線しましたが、増資による既存株主にとっての有利不利の話は、発行価格(ただ、これはライツイシューであればニュートラルになります)と増資後のBPSの変化と、そのBPS変化差分に対する限界利益増額によることになるのです。
ZOOさま

 ご指摘の通りPBRが1倍である限りライツイシューによって1株当たりの帳簿価値は変わりません。

 そのような意味では株主価値は毀損しませんが、記事で主に取り上げたのは株価(株式時価)に関するものです。

 確かに明確に区別しておらず紛らわしいことは事実ですので、再度その辺りを明確にした記事を書くつもりです。

 今後とも宜しくお願い申しあげます。


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