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急拡大していた平成25年度の貿易赤字

2014年04月22日

急拡大していた平成25年度の貿易赤字


 本日(4月21日)、本年3月と平成25年度の貿易収支が発表されました。

 本年3月の貿易収支は1兆4463億円もの赤字となり、21ヶ月連続の赤字であるとともに昨年3月の3568億円の赤字から大きく拡大しました。

 本年3月の平均為替は1ドル=102.30円で、昨年3月の1ドル=94.08円から8.7%の円安でした。ところが本年3月の輸出金額は昨年3月比で1.8%増の6兆3826億円でしかなく、輸出数量は2.5%も減少していました。それに対して輸入金額は昨年3月比で18.1%増の7兆8289億円もあり、輸入数量も11.6%増えていました。

 つまりこの1年で8.7%円安になっていたにもかかわらず、輸出数量が昨年3月から2.5%減少していたことになります。円建て輸出もあり生産拠点の海外移転もありますが、円安が輸出を増加させる効果は全くなかったわけです。

 一方で輸入数量は昨年3月から11.6%増えていますが、輸入金額が昨年3月から大きく増えた品目は、原油の18.7%、液化天然ガスの14.0%、半導体等電子部品が45.9%です。確かにエネルギー関連とスマートフォンなどの電子機器の輸入増が大きかったことになります。

 平成25年度全体をみてみましょう。

 平成25年度の貿易赤字は過去最高の13兆7488億円となり、前年度(平成24年度)の8兆1577億円から68.5%も増えました。また前々年度(平成23年度)は4兆4220億円の赤字で、要するに3年度連続の貿易赤字で、しかも赤字幅が急激に増えていることになります。

 それ以前では平成22年度が5兆3321億円の黒字、平成21年度も5兆1870億円の黒字でした。金融危機のあった平成20年度は7648億円の赤字でしたが、その前年の平成19年度は10兆1553億円も黒字でした。つい6年前の話です。

 平成25年度の輸出総額は70兆8564億円と3年ぶりに10.8%増加したのですが、輸出数量は0.6%しか増えていません。つまり円安で外貨建ての輸出価格が上昇しただけともいえます。

 ちなみに輸出金額の過去最高は、金融危機前年で世界経済が過熱気味だった平成19年度(2007年度)の85兆1133億円で、それが金融危機直後の平成21年度(2009年度)には59兆78億円まで落ち込みました。輸出金額は為替水準よりも世界経済の好況・不況に左右されていることになりますが、仮にこれから世界経済が好況になっても日本企業の輸出競争力が維持されているかは大いに疑問視されます。

 一方で平成25年度の輸入金額は、前年度比17.3%も増加して史上最高額の84兆6053億円でした。やはり年度でみても輸入金額は原油が18.4%、液化天然ガスが18.2%増えており、為替水準に関係なく日本に価格競争力が一切ないエネルギー関連の輸入増加が大きかったことになります。

 つまり輸出では「円安メリット」がほとんどみられず、輸入では「円安デメリット」が大きく出たことになります。日本の貿易収支をみる限り「円安」はデメリットでしかなかったことになります。

 貿易赤字はGDPを押し下げます。日本の名目GDPは480兆円程度なので、単純に考えると2.8%ほど名目GDPを押し下げていることになります。

 さて新年度(平成26年度)がスタートしていますが、ここから大きく円安になることはなさそうです。そうなるとエネルギー価格が大きく上昇しなければ輸入金額はそれほど増えることがないはずで、また輸出金額は為替水準ではなく「世界経済の拡大と日本企業の輸出競争力の低下のどちらが大きいか」で変化するはずです。

 つまり為替水準が変化しないとしても、貿易赤字が減るかどうかは不明となります。

 結局、貿易収支については「ほぼわかり切っていた」ことを改めて確認しただけでした。

 国際収支統計(経常収支や金融収支)の発表は連休明けの5月12日です。経常収支の平成25年度の赤字転落は何とか回避されているはずですが、経常収支と金融収支について解説すると「決まって」いろいろと異論をいただきます。じっくりと考えて説得力のある解説をしたいと思っています。


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コメント
なぜ輸出量が増えないのか
なぜ円安なのに輸出数量が増えないのか?
恐らく価格競争製品は既に海外生産に移転していて、価格に左右されない製品が国内に残っているという事なんだろう。

円安政策の利害得失を短・中・長期で再検討し、国家としての総合戦略を立てねばならない。
 金融と実体経済は別です。金融は円安になればその影響はすぐでます。
 しかし、実体経済はそうはいきません。円安になったから突然工場の国内回帰はできないし、円高により潰れた輸出系中小企業は突然復活したりはしないのです。
 円安による貿易の好循環は、何年も続けなければ結果は得られません。
 金融とは違い、人の生活はそう簡単に変えられないのです。 本日の記事はその点の一切を考慮していないのが気になりました。 日本は長い間円高だったのですから。
財務省は決済通貨比率(税関統計からでしょうが)を公開してますので、それで実質為替差を求めてみました。
結論は変わりません。

円安に振れれば振れるほど、貿易収支は悪化するという
「悪い円安」基調だということですねえ。


http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/tuuka.files/tuuka25sh.pdf
日本はお先真っ暗ですねえ。。。
どうしてこうなったんだろう
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