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財政制度等審議会の「SF小説」

2014年04月30日

財政制度等審議会の「SF小説」


 あまり真面目に取り上げるべきテーマではありませんが、「SF小説」のつもりで読んでみてください。

 表題の財政制度等審議会とは、2001年の中央省庁再編に伴い旧大蔵省にあった5つの審議会を統合して発足したもので、予算編成や国の財政全般のあり方を検討する「財務大臣の諮問機関」です。

 要するに消費増税のための「シナリオ」を作成するところで、吉川洋・東京大学大学院経済学研究科教授を会長に、28人もの有識者・財界人・専門家で構成されています。

 その財政制度等審議会が4月28日に、国と地方を合わせた債務残高が2060年度(46年後です!)に今の6倍をこえる8157兆円に達するとの試算を示しました。

 試算では、2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を均衡化させるとの現在の政府の財政健全化目標が達成できたと仮定していますが、基礎的財政収支とは歳出から国債の元利払いを除き歳入から国債発行を除いて算出する財政収支で、2013年度でも23兆円ほど赤字だったはずで、誰も本気で実現するとは思っていません。

 つまり諮問機関なので政府の決めた財政健全化目標を「達成できるわけがないだろう!」とはいえないからですが、だとすると「本音ベース」では2060年度の債務残高がもっと膨らむことになります。1垓(がい)円とか、かつてのジンバブエのインフレ率みたいな数字になるのでしょうか?

 それから試算では、実質で2%、名目で3%の成長が2060年度まで続くと仮定しています。物価上昇目標が2%のはずなので計算が合わないのですが、物価上昇目標の2%は日銀が「勝手に」設定しているだけで、諮問する財務大臣は「こうおっしゃっている」ということなのでしょう。

 試算では2060年度の債務残高の8157兆円は、その時点のGDPの397%(この比率は現在の1.6倍)としているので、2060年度のGDPは2054兆円もあることになります。2013年度の名目GDPは480兆円ほどなので、前提の名目3%成長が2060年度まで続くとすると確かに「似た数字」にはなります。

 しかし20年前である1993年度の名目GDPが490兆円、1997年度では523兆円もあり、この20年間は縮み続けていた日本経済が、名目とはいえ次の46年で4.27倍の2054兆円になるというのは「SF小説」です。

 もっと不思議なのは、2020年度までに財政健全化計画が達成でき、2060年度まで実質2%、名目3%で成長するという「バラ色の世界」が達成できると仮定した日本経済で、なぜ2060年年度に国と地方の債務残高が8157兆円まで膨らむのかが、全くわかりません。

 「SF小説」にしても、もう少し現実に思えてしまう内容でないと、読んでいて面白味がありません。だったら2060年度には日本は破綻して国土がなくなり、日本人は月か火星にでも移住しているといってくれた方が「そうなのか」と思ってしまいます。

 だいたい8157兆円もの債務残高となれば、国債発行残高が(地方債も入れて)8000兆円にもなります。国債発行残高が8000兆円に膨らむということは、とりあえず「誰かが」8000兆円もの国債を引き受けているということです。でないとその前にデフォルトしているからです。

 日本の個人金融資産が1600兆円あるといっても個人金融負債もあり、だいたいゼロに近い預金・国債利回りではそこから増えません。日銀が保有国債を現在の「異次元」ペースである年間50兆円増加を46年間続けたとしても2300兆円です。まあ日銀当座預金を2000兆円くらいにすれば可能かもしれませんが、それでも全く足りません。

 つまりどう考えても4000兆円くらいは「ダース・ベイダー」にでも引き受けてもらわなければなりません。

 まあ増税強硬派の吉川洋会長が書いた、果てしなく消費増税をしなければ地球(日本)が滅びるという「SF小説」ですが、残念ながら「何が怖いのかもよくわからない三流のオカルト小説」になっています。

 吉川洋氏については2012年6月28日付け「官僚組織の三種の神器」で取り上げてあります。時間があったら読み返してみてください。


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コメント
トンデモ本(いわゆる破綻本)の「有力」な「材料」にされるでしょうね
日本の諸問題
消費税は15%までは既定路線。下手をすると20%も視野に入れておくべし。
国民皆保険は後期高齢者も含めて一律30%以上ひょっとすると35%から40%になってもおかしくない。
年金も繰り上げと支給減額も覚悟すべし。
さもなくば国家財政破綻待ったなし。。。でも毎日は平々凡々と過ぎていきます。。。
突然飛び込んできました
このニュース。
街でインタビューしていました。
ご丁寧に?保育所のような場所にも出かけて赤ちゃんを抱いた若い母親2人にも聞いていました。

その労力のかけ方の割に、数字の根拠の説明や分析は全然なかったような。
こういう数字のニュースの場合、BBCとかドイツとかは計算の説明をしているように思います。
それと、事実部分と感情を一緒くたにしないというか、ヘンな効果音や声色での脅し、テロップ「消費者が悲鳴…」とか使いません(BS1ニュース見る限り)。

ここの所のニュースによれば、南海トラフ地震で大量の死者がでて、富士山噴火で首都機能が壊滅して、貿易赤字で経済ダメ、財政破綻…。
それもすぐ来るかのような危機感満載です。
免れたい人は国外脱出ですね。1日でも早くマスコミ陣も海外転職したらいいです。

年金支給年齢の引き上げは他の国も避けられないようです。70才とか言い出した国も。
国の借金1024兆円
財務省は9日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国(政府)の借金が2013年度末時点で1024兆9568億円になったと発表した。12年度末から33兆3557億円増え、過去最大を更新した。税収不足を補うために大量の新規国債の発行を続けた影響で、借金が膨らんだ。

 4月1日時点の日本の総人口1億2714万人(総務省推計)を基に単純計算すると、国民1人当たり約806万円の借金を抱えていることになる。
借金の内訳は、国債が32兆2895億円増の853兆7636億円と過去最大となった。金融機関などからの借入金は6454億円増の55兆5047億円。
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