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今年の株主総会いろいろ その1

2014年06月27日

今年の株主総会いろいろ その1


 2日間お休みしてしまいましたが再開します。今年の株主総会から「特にご紹介したいもの」をいくつか取り上げます。

 本日は、史上まれに見る(というよりもほとんど前例のない)大接戦を演じたソーシャルエコロジープロジェクト(JASDAQ上場・コード6819、以下「ソーシャル社」)です。5月28日付け「毎年恒例となったソーシャル社の綱渡り」にも書きましたが、もっともっと際どい綱渡りでした。

 ソーシャル社を支配するのは元労働大臣のY氏です。イニシャルにしているのは元大臣なので恐れたわけではなく、何か問題が起きてもすべて忠臣の小松裕介社長に責任を押し付けてしまうので、Y氏の名前が表に出ることはないからです。

 毎年恒例となった「取締役総入れ替え」の株主提案は、今年はなんと昨年に窮地を救う増資を引き受けた株主から提出され、さらに驚愕すべきことにソーシャル社は些細な手続き上の瑕疵を理由にこれを闇に葬ってしまいました。繰り返しですが、それが昨年に窮地を救ってくれた株主に対するソーシャル社流の「返礼」です。

 その時点で株主側が定時株主総会で「議場提案」することが予想されたため、ソーシャル社は5月になるとこれも毎年恒例の第三者割当増資(900万株、昨年は500万株)を発表し、その議決権を3月末の基準日に遡って付与して今年も窮地を脱することにしました。

 当然に株主側から「発行差止めの仮処分」が申請されましたが、東京地方裁判所・民事第8部がソーシャル社の「資金が必要です」との主張を受け入れて却下してしまいました。たいていの事業法人は「資金が必要」だと思いますが、とにかくソーシャル社は2年連続で窮地を脱したようにみえました。

 ところが新株は蓋を開けるとなんと200万株しか払い込まれず、慌てたソーシャル社は株主側の議決権行使を差止める仮処分を申請する「奇策」に出ます。バブル時に「光進」の小谷代表らの議決権行使を国際航業が差止めて認められた「唯一の判例」が頼りだったのですが、さすがにこれは東京地裁・民事8部が却下しました(ソーシャル社の負け)。

 あとがなくなったソーシャル社は、Y氏の大号令のもと全社員を全国の株主宅に訪問させ、本業そっちのけで議決権行使書を必死に「掻き集め」ます。今年は全体的に議決権行使率が上昇していたようで、ソーシャル社にも思いのほか大量の議決権行使書が送られてきたようです。

 それでも心配な小松社長は、6月20日に200万株だけ払い込まれた「大切な新株」に議決権を付与すると、その議決権行使書を握りしめて「会社提案に賛成してくれなければ渡しません」と駄々をこね、ついに株主から受領書を貰い同時にソーシャル社の預り証を渡して議決権行使書を持ち帰ってしまいます。これでソーシャル社には白紙(つまり賛成)の議決権行使書が送られてきたことにしてしまう「荒業」でした。

 ちなみに議決権行使書は信託銀行が株主に直接郵送することが厳格なルールです。

 かくして本日(6月26日)午前10時に、ソーシャル社の定時株主総会が始まりました。開始早々、株主側が小松議長不信任の緊急動議を提出し、議長を交代させることに成功します。

 ここで新議長は、小松社長が持ち帰った新株の議決権行使書が「ソーシャル側の議決権」に紛れ込んでいると指摘し、欠席していた株主分を棄権票に振替えさせます。それでも委任状を含めて行使された議決権が総議決権数の75%にも上りました。

 議案は「取締役5名の選出」のみだったので、株主側が独自に「取締役5名を選出する」修正案を提出して採決に入り、ソーシャル側・株主側とも開場前に確定していた委任状を含む獲得議決権に加えて、議場に送り込んでいた「隠し玉」議決権を行使したところ、結果はなんと「ほぼ同数」となりました。

 しかしその中に「ほんのわずかの棄権票」が含まれていたため、双方とも行使された議決権の49%以上を獲得しながら過半数に満たず、「決議なし」となってしまいました。

 つまりこの瞬間にソーシャル社には正式の取締役がいなくなったのですが、臨時株主総会を招集して新取締役が選任されるまで、小松社長以下の旧役員が引き続き業務を執行することになります。

 この臨時株主総会は「いつまで」と明確に規定されておらず、小松社長以下がずるずると居座ることができてしまいます。毎年恒例のソーシャル社の「綱渡り」は、今年は延長戦に入ったことになります。


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「客家人ネットワーク」
中国を支配する、一族郎党


書籍紹介:アンドリュー・ネイサン「中国権力者たちの身上調査」阪急コミュニケーションズ


 中国共産党内部で権力闘争に敗れた人間達が、共産党の内部資料を持ち出し、暴露を行った。その一部訳が本書である。

 その暴露情報を入手し、公表したのが本書の著者アンドリュー・ネイサンであり、米国の対アジア・スパイ養成大学として名高いニューヨークのコロンビア大学の政治学部教授である。第二次世界大戦中の米軍の対・日本軍の暗号解読部隊のメンバーは大部分この大学からリクルートされた。伝統的な諜報大学である。

 本書には中国共産党内部の権力者達の政治思想、保守派かリベラル派か、あるいは、その能力、出自、背後にある財界の勢力まで、かなり詳細に記載されている。中国問題を考えるには必読である。

まずは中国問題の基礎資料として重要な本書では、共産党政府が必死で隠している中国国内でのエイズの凄まじい拡大について明らかにされている。一方、ウイグルでの核兵器実験、原子力発電所事故による被爆者・重病人の多発については本書では言及されていない。本書=共産党の内部資料を持ち出し暴露したのがウイグルの地方政府・行政を預かる共産党幹部関係者である事が、推測できる。

 過去、経済的中心地が伝統的な香港、政府のある中央=北京、広東から、次第に上海へと移行してきた経緯もあり、北京・広東勢力と上海勢力との間で、激しい権力闘争が展開されている事は、良く知られている。

人員だけは多いものの古びた兵器・装備しか持たないと言われてきた中国軍が、凄まじい勢いで欧米からハイテク兵器を購入し装備の最新鋭化を図ってきた事も、良く知られている。

このハイテク化には中国人民軍の古来からの人海戦術=毛沢東主義者達からの激しい抵抗がある。この毛沢東主義は、出身地域・階級による権力闘争=エゴの衝突をカモフラージュし、自己正当化するための「口実」となっている。政府に批判的な者は、毛沢東を信仰していなくとも、毛沢東万歳を叫ぶ事になる。

また中国共産党内部での個々の政治家達の権力闘争に目を奪われ過ぎると、大局を見失う事になる。

江沢民と共に中国の中央政界では「過去の人」となりつつある李瑞環、一方で胡錦濤・前政権によって閣僚ポストに引き上げられた李長春、また江沢民の後塵を拝しつつも国家主席となった李鵬、台湾の李登輝、シンガポールのリー・クワンユー、香港の不動産財閥で現在、日本の東京駅・八重洲口付近の不動産を買い占めている李嘉誠。失脚する者と出世して行く者達。しかし、この李一族は全て親族であり、中国においては「血は水よりも濃い」事になる。

個々の政治家達の進退ではなく、一族のネットワークの継続が、次世代の共産党崩壊後の中国を形成する事になる。
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