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ローランドMBOを考える

2014年07月18日

ローランドMBOを考える


 浜松市に本社がある電子楽器最大手のローランド(東証1部上場・コード7944)は、7月15日に経営陣による自社買収(MBO)が成立したと発表しました。

 ローランドのMBOとは、ローランドの三木社長と10%弱の株主であるタイヨウ・ファンドが設立した「買付会社」が、ローランドの発行済み株数(議決権ベース)の82.92%を買い付けて成立しました。

 今後は臨時株主総会で種類株を導入して全株式を取得して上場廃止となり、「買付会社」がローランドと合併するはずですが、ローランドの84歳になる創業者・梯(かけはし)氏が「会社をファンドに売り渡すのか?」と三木社長らと激しく対立していました。

 すこしわかりやすく解説します。

 MBO価格は1875円でしたが2014年3月末現在の1株当たり純資産は1969円あり、しかも40%を保有するローランドDG(東証1部上場・コード6789)の含み益を勘案すると3000円以上になります。

 今回のMBOで必要となる417億円は、325億円をりそな銀行が融資し、残る100億円前後をタイヨウ・ファンドがエクイティ出資します。しかしローランドには2014年3月末現在で211億円の現預金があり、さらに7月3日には保有するローランドDG株式のうち20%をローランドDGに自社株買いさせてすでに114億円を回収しています。

 「買付会社」は全株式を取得したあとでローランドと合併するため、りそな銀行からの325億円はすぐに返済でき(だからりそな銀行でも融資できた)、実際は「買付会社」を支配するタイヨウ・ファンドはわずか100億円の出資でローランドをすべて手に入れるのです。

 すでにコストは「タダ」を大きく下回っています。つまり創業者の梯氏が嘆いたように「会社をファンドに売り渡した」のではなく、まさに「現金をつけて謹呈した」のです。

 さらにローランドは、20%を現金化したあとでも優良会社・ローランドDGの議決権の25%を保有し(自社株には議決権がないからです)、それにタイヨウ・ファンドが保有していた議決権を合わせると37%となり、拒否権を維持して影響力を残すことになります。

 さてこれがMBOと呼ばれるのは、ローランドのサラリーマン社長である三木氏が「買付会社」の代表だからですが、「買付会社」にはこれからタイヨウ・ファンドが100億円出資するため、実際にはタイヨウ・ファンドによる買収(つまり乗っ取り)です。

 タイヨウ・ファンドとは「ハゲタカ」でも「アクティビスト」でもないとの触れ込みで、実際にローランド株式を7年間保有していますが、仕切っているのが「米国でも評判の悪い乗っ取り屋」のウィルバー・ロスです。あの「犯罪的な」日本長期信用銀行の買収でも暗躍していました。

 じゃあそのタイヨウ・ファンドが、どうして「タダ」を大きく下回るコストでローランドを「かすめ取る」ことができたのでしょう? 
 それはローランドの取締役会とくに「買付会社」の代表でもあるサラリーマンの三木社長が「機関決定」してしまったからです。つまりいくら10%弱の株主でしかないタイヨウ・ファンドが「傍若無人」な要求を行っても、取締役会とくに代表取締役が株主全体の利益を優先して軽率な行動をとらなければ、何もおこりません。

 逆にいえば、取締役会とくに代表取締役が暴走すれば、一部株主のどんな「傍若無人」でもまかり通ってしまいます。サラリーマン社長の三木氏が、どんなニンジンを目の前にぶら下げられたのかはわかりませんが、見事に「暴走」してしまったのです。

 ここで82%以上の株主がMBOに応じたのだから、それはそれで「暴走」ではなく、株主全体からも支持されたのではないか?と考えられるかもしれません。

 これは支持されたのではなく、実質的な純資産を大きく下回る1株=1875円でも売却したくなるほどの「無能な経営者」だったからだけです。

 ローランドの業績は、2014年3月期こそ4.7億円の純利益でしたが、それ以前の4期は純損失でした。それぞれ優良会社であるローランドDGの持ち分利益を取り込みながらの「体たらく」だったわけです。

 タイヨウ・ファンドはインタビューで「優秀な経営者である三木社長がいたからMBOに踏み切ることができた」と持ち上げていましたが、本音は「こんな無能な経営者がいてくれたおかげでこんなに株価が安くなり、しかもこんなに有利なMBOまで機関決定してくれて、大変にラッキーだった」となるのでしょう。

 創業者が無能なサラリーマンを代々後継社長に選んでしまうと、こんな悲劇が起きてしまうのです。


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コメント
たしか、連続赤字の時、三木さんは経営者じゃないですよ。無能とは言い過ぎでしょう^o^13年度決算で黒字化を導いた経営者ですし。
4期連続赤字の4年間経営者じゃありませんでしたが、ずっと取締役でしょう?
13年度決算の黒字化は、円安のお蔭で、経営手腕とは無関係ではないですか?
もともとローランドは海外での売上が大きい会社ですし
闇株さんの記事はとてもわかり易かったです。
電子楽器に興味の無い方はわかりづらいでしょうが、発端は完全に経営者の失策です。あらゆる電子機器が高性能低価格化してるなか、ローランドは高性能、高価格を維持。でも今や電子楽器はパソコン、タブレットのソフトウェア的に取り込まれてしまう時代でもあり、もともとニッチな市場でもあり、今は高価なハードウェアはなかなか売れない時代なんです。独自技術があると言いながら、それを活かした新製品が全然出て来なかった。世界的不況がシンクロして海外市場を含めて物凄く落ち込んだ、という様に見えます。同業でもドンドン新製品を出して広く人気を博している企業もあるわけで、”大手””優良”にあぐらをかいて、時代の、消費者の求める"低価格品"や"素人向け"を全く手がけなかった、つまり時代を読めなかった、その慢心が業績を悪化させ、ファンドにつけ込まれる隙を与えたのでしょう。さらに創業者はローランド創業時のエピソードでもわかる様に、策士です。裏切りで作った会社が裏切りで乗っ取られる因果応報という気もします。楽器好きから見ると、そう見えます。
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