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REITは利回り商品ではない

2014年08月07日

REITは利回り商品ではない


 不動産投資信託(REIT)の価格が上昇しています。東証REIT指数は8月5日に本年高値の1622.79をつけ、アベノミクスへの期待が盛り上がっていた2013年3月27日の1700.91に近づいています。

 本日(8月6日)は反落して1612.76となりましたが、ここのところ10年国債利回りに代表される長期金利が一層低下しているため、少しでも高い利回りを求めてREITに資金が流入していると「解説」されています。

 間違いではありませんが、あまり正しい「解説」でもありません。

 確かに東証に上場している不動産投資信託(REIT)の直近の平均予想分配率(予想利回り)は3.4%で、0.52%程度の10年国債利回りに比べて「はるかに魅力的」にみえます。

 これらREITの分配原資は、投資家から集めた資金に「ほぼ同額」の借入れ資金を加えて取得した不動産からあがる家賃収入と不動産の売却益となります。

 つまりREITとは、あくまでも運用の巧拙が問われる不動産投資信託であり、しかも借り入れによるレバレッジが掛かっているため、REITの中で予想分配利回りの高いものが「魅力的なREIT」とは限らず、ましてやREIT全体として10年国債利回りに比べて「はるかに魅力的」とも限りません。

 つまりREITは利回り商品ではなく、そもそも利回りで比較すべきものでもなく、極論すれば「借り入れでレバレッジが掛かった不動産投資そのもの」なのです。

 もちろん小口の資金でも投資でき、通常の不動産売買のような煩わしさもなく、手軽に不動産投資ができるメリットはあります。

 REITは2001年9月から取引が始まり、東証REIT指数の最高値はサブプライム危機が近づいていた2007年5月31日の2612.98、最安値がそのわずか17か月後の704.46でした。つまり東証REIT指数は17か月で4分の1近くになってしまったのです。

 いくらなんでも不動産価格全体が短期間に4分の1近くになったわけではなく、レバレッジが掛かっているので不動産価格の下落以上にREITが値下がりしたことと、取引所取引なので換金売りが集中して「思わぬ安値」になってしまったことなどが考えられます。また金融危機時に破綻してしまったREITもあります。

 またREIT価格が下落すると予想分配率は当然に上昇します。金融危機時直後の2009年2月には平均の予想分配率が8%近くもありました。

 それでは現在のREITの予想分配率の3.4%は、投資するタイミングとしてはどうなのでしょう?

 繰り返しですがREITは利回り商品ではなく、国債利回りより「はるかに高い」といっても何の意味もありません。

 大変に大雑把な計算ですが、投資家からの資金と借入資金が「同額」と仮定し、借入金利を1%、運用報酬・各種管理費・租税公課などを合計0.8%と仮定すると、不動産からの収益(家賃収入と値上がり益)は3.0%しかないことになります。

 投資家からの資金を100とすると、借入れを100加えて200不動産を取得するので収益は6となり、運用報酬等の1.6と金利の1を支払うと、残りが3.4となります。

 いくら都心の割高な新築高層ビルに投資したとしても、収益が3%しかないことはありません。つまり不動産を「とんでもなく割高に購入している」か「運用報酬等がとんでもなく高い」か「魔術のようにどこかで収益が消えてしまう仕組みがある」のどれかでしょう。

 本誌は今までREITに投資したことがなく、投資したいと思ったこともなく、投資チャンスとは金融危機時のようなパニック時しかないと考えています。実際に金融危機時にも投資しなかったのは「パニック時にうまく運用してくれる」とも信じられなかったからです。

 「食わず嫌い」かもしれませんが、いまさら直そうとも思っていません。


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コメント
こんにちは。減価償却が大きく関わると思います。減価償却後の収益は確かに3%くらいになるところもありそうですね。あとは税制の特殊性。私もREITは買うべきとは思ってません。
理屈がおかしいですが。
現在Jリートの利回りが異常に低くなってしまっているのは、単にリートが市場で買われすぎて、市場価格が高くつきすぎてしまっているからです。
市場価格がバブル化しているだけの話です。
参考になりました。不動産投資の代替としてJ-REATを検討していたのですが、考えが変わりました。
反論
このコメントに返信をお願いします。
REITは株です、理屈を言っても無意味です。
香港やシンガポールでは現物不動産の利回りが1%から2%ななっているそうです。ネット収入➗購入価格 で計算した利回りです。

REITが株である以上、人気投票に他ならず、理論的に説明しようと云う発想自体が無意味だと思います、あるのは現実だけです。

不動産投資は、売却益が出なければ負けです、嘘だと思う人は自分で計算すればわかります。REITは一斉売却によりファンド精算しないので、わかりずらいだけです。

運用会社の能力とは、物件取得能力とファイナンス能力です、不動産自体の運用能力は、再委託先とダブっているので、実態は余剰人員です。

いつも楽しみに記事読ませて頂いております。
なるほど、と思う記事もあり、とても勉強になります。
どうもありがとうございます。

ただ、今回の記事に対しては、ちょっと残念な気がしました。REITや株式などは最終的には理論では動かないので、なので論理的に説明するのであれば、

「理屈で完全に成り立っていないものを、論理的に説明しようとする姿勢、その前提条件がもうすでに論理的に破綻している。もうその時点から論理性が崩れている」

という風になるので、これはアナリスト的な視点(筆者様)と、ご自身で身銭をきって投資(あえて言うなら投機)に参加している方(コメント書かれている皆様)との認識の違いだと思いますが、私自身もそうですが、周辺で実際に投資でお金を稼いでいる人間からすると、

どうしてもこのようなアナリスト的な方の記事は片手落ちの記事のようにしか思えない、実際に会社を経営したことのない学生が、実際の企業の経営者相手に、経営理論を得意顔で語っているようなのと似ている気がするので、それがちょっと残念でした。

普段、記事をものすごく楽しみしている人間の一人なので。なので余計にそれを思いました。

以前の記事で雪国まいたけの記事を取り上げて下さって、あれすごく面白くて、また雪国まいたけで違う流れが起きたので、ああいったのを取り上げて頂けないでしょうか?

企業分析とか、その部分の内部事情と考察の仕方とかは面白いので、投資や投機の説明になるとどうしても片手落ちの記事が目に付くので、

「餅は餅屋」でそういった方面のことの記事を取り扱って頂けたらありがたいです。

どうぞよろしくお願い致します。



REITをねらいます
闇株さんのブログを楽しみにしております。
最近REITに魅力を感じ、今年の投資の中心に据えようと考えましたので、遡って読ませていただきました。
先月取引所で開催されたJ-REITの説明会で親近感を覚えてからの判断なのですが、株式と比べるとREITの方がローリスクであることがポイントです。
株式の方は企業が相応の利益を計上することで配当金が得られるし、株価の上昇が期待できるのですが、REITの方は現状相場を前提にすると、
①賃料収入はよほど需給バランスが崩れないかぎりは収入見込みがあり3%超えの分配金水準は株式配当より高めである。
②NAV(株式のPBRに相当)が1倍前後の銘柄もあり、ローリスクと考えられる。
③今後の不動産の需給を見越すと賃料収入の増加、不動産売却益の増大を通じ利益が増え、分配金増、価格上昇に繋がりそう。
ここで、闇株さんの分析による「分配金が3%であることの疑問」については参考になります。
J-REITの説明では、「一般の不動産会社との比較ではREIT法人のオペレーションコストは極端に安く収入の大半を分配金に回す」
でしたので、不動産会社の株式購入よりREITの方に分があると判断したのですが、どうやらREIT法人のコスト、利益配分にはもう少しからくりがあるようですね。
コメントで指摘されていたように減価償却についてはJ-REIT説明会でも説明がありました。
決算報告書を分析すれば分かるのでしょうか?
いづれにしても私は年末、年始でREITを相当数仕込みました。
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