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東京電力の国有化議論が早くも出てきた理由

2011年03月30日

東京電力の国有化議論が早くも出てきた理由

 本日(3月29日)も東京電力がストップ安となり、引け値が566円となり、時価総額も9000億円程度になってしまいました。

 今後、福島の原発の後処理や、巨額の補償などで、会社の存続も危うくなるとの心配が出てきているからです。

 いやというほど報道されているので、地域の独占企業である東京電力のお役所的な体質や、官民癒着の電力行政、特に原子力発電行政については、ここでは改めて書きません。

 しかし、何で国有化の議論が早くも出てきたのかを考えてみましょう。

 当然、これから出てくる議論は、「この責任をどこに取らせるか?」と「巨額の補償金額をどこからひねり出すか?」の2点です。分かりやすく言えば、首と金を誰が出すかということです。
 
 まあ、首の方は東京電力の首脳陣何人かで済ませ、原子力発電行政を東京電力と一緒に進めていた役所は当然責任を取りません。

 じゃあ、金の方ですが、この財政難の中、国家が巨額補償を肩代わりするということもありません。
 それでは、全額を東京電力に負担させれば本当に潰れてしまうため、ここで国有化の話が出てくるのです。

 結論を先に言いますと、国有化ということは、真っ先に切り捨てられるのは株主だということです。つまり、「この責任を取るのは」結局株主だけなのです。

 東京電力は直近の決算書では2兆6600億円ほどの株主資本があります。まず国有化となれば100%減資をして、この株主資本は全て召し上げとなります。

 また負債として、社債が4兆5000億円と、借り入れ(全額銀行のはずです)が3兆円あります。

 このうち社債はほぼ全額が公募債のため、これは切り捨てられません。

銀行借り入れの減免はあるかもしれませんが、とりあえず補償などの資金需要は銀行借り入れで賄わなければならないため、減免はしないと思います。

 電力事業そのものは、地域独占企業なので、値上げしようが停電しようが誰も文句は言えません。だから仮に国有化したとしても、値上げすれば必ず営業利益は出るため、銀行返済が滞ることはありません。

 また、設備投資が滞って電力が不足しても、いつまでも順番に停電させていれば済むため、設備投資負担を軽減させてでもキャッシュフローを増やすことは可能です。

 要するに、銀行は追加融資に応じても、損失が出ることはなさそうです。

 つまり、株主以外は誰も責任を取らないということなのです。

 東京電力の首脳陣何人かの首を差し出しても、別に補償資金が捻出されるわけではなく、天下り先の増えた役所が焼け太るだけです。

 本誌で何度も書いているように、日本は株式市場が不当に虐げられている国なのです。
 
 早くも出てきた東京電力の国有化議論も、その現れなのです

 そういえば、東京電力は昨年9月に2億5000万株も1843円で発行したのですけどね。


平成23年3月30日

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