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氷山の一角 住友商事の巨額損失

2014年09月30日

氷山の一角 住友商事の巨額損失


 住友商事は本日(9月29日)、米テキサス州の石油資源開発で生産量が想定を大きく下回るため、約1700億円の損失を計上すると発表しました。

 また石炭価格の当初想定の範囲をこえた価格下落により豪州の石炭事業でも減損損失の計上が見込まれ、さらブラジル鉄鉱石事業および米国タイヤ事業でも今後の市況や事業の動向によっては減損損失の発生が見込まれるとして、総額2400億円の損失計上になるとも発表しました。

 その結果、平成27年3月期の連結業績予想を従来の2500億円から100億円に修正し、平成26年9月の中間配当は予想通り25円としたものの、平成27年3月の配当については未定としてしまいました。

 要するに巨額の開発資金などを資産計上していた米国の石油開発事業、豪州の石炭事業、ブラジルの鉄鉱石事業について、生産量や価格の見通しが楽観的すぎたので、それぞれの開発資金などを減損するということですが、その減損額が投入した資金の全額なのか(違うと思います)あるいはその他の事業でも減損損失が発生する可能性があるのか(あるはずです)などは、発表資料からは読み取れません。

 したがって表題の「氷山の一角」となるのですが、実はこれは住友商事に限った話ではないはずです。

 類似の潜在損失は日本の他の商社や資源会社にもあるはずで、さらに世界中(とくに中国)の資源開発でも類似の潜在損失があるはずで、まさに「世界的に氷山の一角」と考えられるからです。

 もちろん資源価格が想定をこえて下落しているからですが、それには大きく分けて4つの「構造的要因」があります。「循環的要因」や「季節的要因」ではないため、じっとしていれば改善するということはなく、いずれ必ず減損に追い込まれることを意味します。

 その4つとは「世界経済の成長率とインフレ率が減速していること」「特に米国の量的緩和効果を過大評価していたこと」「コストを無視した資源開発を行っていたこと」「特に中国の需要を過大に見積もっていたこと」で、すべてここ1~2年で発生した要因ばかりです。

 つまりリーマンショックを含む世界金融危機の影響とは「全く」関係がありません。

 代表的な資源価格としてNY金価格の推移をみておきますと、リーマンショック直後の2008年10月に681ドル(1トロイオンス、以下同じ)まで急落した後、FRBの積極的な量的緩和で2011年8月に1904ドルの史上最高値を記録しました。

 その後は1550ドル~1800ドルのレンジだったのですが、2013年4月に突如1320ドルまで急落し、同年6月末には一時1200ドルを割り込みます。その後も一進一退で先週末(9月26日)も1218ドルとなっています。

 一方で産金コストは2008年(年平均、以下同じ)が700ドル、2010年が850ドル、2011年が1050ドル、2012年が1200ドルと上昇を続けています。

 金はドル以前の基軸通貨なので、FRBの積極的な量的緩和で特に価格が上昇したのだろう?と思われるのですが、実は他の資源価格も似たり寄ったりです。

 つまりリーマンショック後のFRBの量的緩和によるドル安・実物資産高を「明らかに過大評価」していたわけで、その前提で無理な資源開発に走っていたところ、さらに最近は世界的な経済減速とインフレ率の低下に見舞われ、さらなる資源価格の低下となっているわけです。

 最後の「特に中国の需要を過大に見積もっていたこと」は、いつもいうように中国の経済規模や成長率は「明らかに水増し」されており、その水増しされた需要を前提に世界中(もちろん中国自身も含む)が設備投資や資源開発を行っており、世界中が過剰生産・過剰資源開発となっていることです。

 だいたい7%台半ばの経済成長を続けているはずの中国で、消費者物価上昇率が2%台前半、卸売物価指数が30か月もマイナス、電力消費もマイナスなんてことは「絶対に」ありません。

 要するに世界的な資源価格の下落は「構造的要因」ばかりで、今後も住友商事のようは巨額減損が「世界中」で発生すると思われます。

 いろいろな意味で「氷山の一角」なのです。


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コメント
なるほど分かりやすいです
その通りだと思います。
商社はほとんど横のつながりが強いのが特徴です。ですから連想売りで本日はどこの商社も売られました。私は住友は軽微だったがゆえに発表したのではないかと思っています。本当の大損商社はどこかがわかりませんがいずれ発表となるでしょうが商社も大企業一週間以内には次の大損商社が発表すると思われます。
先日報道されたみずほ銀行元幹部の詐欺容疑について解説希望。
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