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国債の日銀引き受けについて

2011年04月04日

国債の日銀引き受けについて

 東日本大震災の復興財源の確保について、与党民主党内で「復興国債」の日銀引き受け議論が出ています。

 「東日本大震災害復旧・復興委員会」の基本法案の素案にはっきりと書かれています。
 同委員会は3月22日に設置され、委員長は岡田幹事長、副委員長が仙石・輿石・玄葉・直嶋の各氏と民主党の重鎮がそろっているのですが、ここで日銀による国債引き受けの議論がでるという経済音痴と国際感覚のなさは、驚きを越して背筋が寒くなります。

 まず、大前提として今回の大震災の復興のため巨額の財政資金が必要となることは明白で、かつ日本経済を沈没させないためにも財政支出をためらってはいけません。
 また、巨額の復興財源を、増税などで現世代のみが負担することは無理があり、国債増発により次世代にわたって負担していくことも当然のことです。

 問題は、ここで唐突に国債の日銀引き受けの話が出てきたことです。

 現代では、先進国はどこでも中央銀行による国債引き受けを禁じており、日本も例外ではありません。これは歴史的にみて、中央銀行による国債引き受けは、裏づけのない紙幣が大量に印刷されることになり、第一次世界大戦後のドイツなどハイパーインフレを引き起こした事例がたくさんあるからです。
 だから中央銀行による国債引き受けは世界的に「禁じ手」で、間違っても政権担当者が口にしてはならない言葉なのです。

 なぜなら、そういう国からは海外資金が逃げ出し、日本で言うなら円・株・債券の大暴落を招くからです。

 日本では、財政法第5条で日銀による国債の直接引き受けを(政府に対する貸付も)禁じているのですが、これには但し書きが付いており、国会の承認があれば可能と書かれており、これが今回の議論の根拠になっているようです。

 しかし、この但し書きは、日銀保有の国債が償還を迎えたとき、1年を限度に国会の承認を受けた限度に限り借り換えを認める(つまり1年未満の短期国債に限って借り換えを認める)ケースに限定されており、乱用できるものではありません。

 ここで重要なことは、日銀は現在、月額1兆8000億円(年額21兆6000億円)の国債を市中から買い入れています。
これ以外に、昨年10月と今年3月の震災直後の2回にわたり量的緩和を行い、別枠で国債等を10兆円買い入れることを決定しております。(このなかに1兆円のETFとREITが含まれます。3月16日付けの「日銀の追加金融緩和」をご参照ください)

 これら日銀による国債買い入れは、主に銀行や証券会社の保有する国債を買い入れることにより、おもに銀行が受け取った資金で貸し出しを増加させ、経済を活性化させることを目的としています。

 2010年度の国債の新規発行額が44兆円程度なので、実はその半分は日銀が吸い上げているのです。もちろん日銀の買い入れ対象はすでに発行されている国債なので、「新規国債の日銀引き受け」とは明確に区別されているのですが、実際的な経済効果はほとんど変わりません。

 米国でも昨年11月の量的緩和で、総額6000億ドル(約50兆円)の国債を中央銀行であるFRBが買い入れることになっています。
 ユーロでもECBが財政危機を引き起こした国の救済と言う意味に限定していますが、国債買い入れを行っています。

 つまり、中央銀行による国債買い入れは世界的に(緊急避難的という意味ではありますが)行われており、誰も特別な非難はしていないのです。
 ですから、ここでわざわざ国際的に危険な「日銀の国債引き受け」を検討する必要はまったくないのです。

 ここで日本が検討しなければならないのは、日銀による国債買い入れの増額であり、もうひとつはより重要なことなのですが、日銀が買い入れた国債代金を受け取った銀行がこの資金を強制的にでも市中に供給する仕組みを作ることなのです。

 日銀には短期国債を除く長期国債の保有額を日銀券発行残高以下に抑える、というルールがあり、それでいくと長期国債の買い入れがあと20兆円くらいしかできません。これも確かに対外的には守ったほうが良いルールです。
 
 銀行は、日銀がいくら国債を買い上げてくれても、また日銀がいくら資金を供給してくれても、今まで一切貸し出しの増加に結びついていません。
 しかし、日銀が国債を買い入れてくれた場合、その買い入れ代金で新たに国債を引き受けることは、いくら銀行でもできると思われます。

 したがって、仮に復興国債を10兆円発行し、日銀が市中から10兆円の国債を買い入れ、銀行等がその買い入れ代金で復興国債(当然入札で発行される)を引き受ければ、効果は同じことになり、かつ「日銀引き受け」でもなんでもないのです。

 それでも言うことを聞かない銀行には、一定期間内に日銀の国債買い入れに応じた分と、あらたに国債を引き受けた分の差額にペナルティーを掛ければよいのです。(実際は、これを匂わせるだけで十分です)
 もちろん、市場で国債を購入したり売却したりの数字は除外するので、相場観で弱気の銀行は市場で売却すればよいだけです。

 新たな「日本売り」を誘発する恐れのある「日銀の国債引き受け」を議論する必要は全くないのです。


平成23年4月4日

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コメント
疑問
借換債が毎年20兆円あるんだけど、これも引き受けと同じじゃないのだろうか?

それと主張している長期国債買いきりOPと財政政策と引き受けで変わることといったら印象だけなので、別にどちらでも構わないと考えられる

日本売りが悪いのではなく、デフレを解消しないことと円高が悪いのだから

株価は後からついてくるし
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