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そろそろ日銀を旧大蔵省から取り返そうではないか? その2

2014年10月29日

そろそろ日銀を旧大蔵省から取り返そうではないか? その2


 昨日付け「同題記事」では書き足りなかったので続編です。

 まず日銀を旧大蔵省から取り返そうといっても、日銀の出資証券(株式に相当、資本金は1億円)の55%は財務大臣(旧大蔵大臣)が保有しているので過半数を買い集めることはできません。そもそも日銀の出資証券には議決権がなく、解散時の財産分配権もなく、株主総会もありません。

 日銀の出資証券はJASDAQに上場しており(コード8301)、毎日取引が成立しているわけではありませんが直近値は1株=48350円(10月22日)です。意味がありませんが時価総額は483億円です。また1株=5円の配当をしています。

 つまり日銀はもともと政府(旧大蔵省のことです)のもので、これはどうしようもありません。また政府(旧大蔵省)と日銀のどちらに「通貨発行権」が帰属するのかは難しい問題なので、今回は議論しません。

 要するに日銀の金融政策が、独立しているはずの日銀の意向が反映されるのか、旧大蔵省の意向が反映されるのかが重要となります。日銀の判断が常に正しいとは思いませんが(歴史的には間違っていたことが圧倒的に多い)、かといって徴税権・予算配分権を独占する旧大蔵省があからさまに金融政策まで牛耳ると、やはり弊害が大きくなります。

 日銀の(金融政策における)最高意思決定機関は金融政策決定会合で、出席メンバーは総裁(1名)、副総裁(2名)、それに民間から選出される審議委員(6名)の計9名です。すべて衆議院・参議院双方の同意を経て総理大臣が任命し、任期は5年です。

 現在の黒田総裁、岩田副総裁、プロパーの中曽副総裁は2013年3月20日に就任していますが、審議委員6名はすべて2010年~2012年に就任しており、白川総裁時代から審議委員です。つまり政策決定会合は多数決なので、数の上では総裁と副総裁が交代しただけでは「金融政策は基本的には変わらない」はずです。

 ところが黒田総裁らが就任してから日銀の金融政策は「がらっと」変わっており、そのときに審議委員諸氏の考え方も「がらっと」変わったことになります。要するに風見鶏で、時の総裁の顔色を窺って行動していることになります。

 つまり黒田総裁(岩田副総裁がセットですが)の在任中は、その意向が(つまり旧大蔵省の意向が)何の問題もなく押し通されることになります。

 歴代の日銀総裁は日銀プロパーと大蔵官僚が交互に就任していたのですが、1998年4月1日施行の新日銀法で日銀の独立性が強化され、このタスキ掛け人事は消滅しました。ところが旧大蔵省(2001年の省庁再編で名前は消滅しているので旧大蔵省と呼びます)は、福井総裁時代の副総裁に武藤敏郎氏を就け、福井総裁の次の総裁とするつもりでした。

 ところが2008年3月20日の福井総裁の任期切れに際し、武藤「総裁」を野党・民主党が多数を占める参議院が同意せず、立ち消えになってしまいました。「すったもんだ」の末に副総裁候補だったプロパーの白川氏が総裁となりました。

 ここで旧大蔵省は日銀を「奪い損なった」ことになります。繰り返しですが、総裁だけを(できれば副総裁の1名も)奪い取れば、金融政策決定会合つまり日本の金融政策を「自由にできる」ことになります。

 リーマンショック以降、世界的に金融政策が実体経済や金融市場に与える影響は大変に複雑化しています。つまり「何が正しい金融政策なのか?」が誰にもわからず、「現在の金融政策が今後も正しいのか?」も誰にもわかりません。

 そこで高度な世界金融市場との対話能力と、柔軟かつ大胆な発想と行動力が必要となりますが、唯我独尊の旧大蔵省には最も欠けた能力かもしれません。

 黒田総裁の主導した「異次元」量的緩和は、打ち出されるまでの市場の期待感もあわせて、劇的な円安と株高を演出しました。しかしこれが今後も正しい金融政策なのか?となると、弊害が目立ち始めています。

 最大の問題は、黒田総裁の金融政策とはすべて「旧大蔵省の省益である消費増税のため」だけであり、現在も「2回目の消費増税のため」だけであることです。バレたらバレたで、修正しなければなりません。

 世界が金融政策の軌道修正を模索している中で、日銀だけが現状の金融政策に固執するリスクは、とてつもなく大きくなっています。

 本日は総論だけで終わってしまったので、各論は次回です。


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通貨・FRB
昨日の<日銀券は日銀が返済義務のない永久債務なので自己資本に準ずる>という表現は中銀と通貨の関係の鋭い指摘です。よくわからない通貨の本質を考えてみたくなります。B/Sを頭の中で眺めてみると日銀券という貸方負債に対する借方資産の国債の引受額は、確かに流通通貨額の範囲で収めたいというルールを創りたくなるのも一理あります。買い入れた国債と日銀券は相互の担保に見えてきますし政府の借金がチャラになったようにも見えてきます。要は国債本位制か。債務超過とは何かが解らなくなり、一見無限に引き受けられそうな気もしてきます。この関係を設立の時から行ったのが民間銀行所有組織FRBなのかもしれません。闇株さんが以前書いていた政府に利子貸付するドル紙幣はその担保である米国債を小口化したものということは、借方資産ドル紙幣、貸方負債米国債ということになりそうですがよくわかりませんし、米国債がドル発行限度になるように思えます。量的緩和での米国債買い入れは日銀と同じ資産計上?しかし民間所有組織FRBが雇用を明確に目標としながらも、雇用を目標としない日銀の日本よりいつも失業率が高いというのは不思議です。
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