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やっとはじまった地方銀行再編

2014年11月11日

やっとはじまった地方銀行再編


 日本で最も再編が遅れている業界は地方銀行です。再編する必要がないほど優遇されている業界なのでしょう。

 現時点で全国銀行が116行ありますが、その中に地方銀行が64行、第二地方銀行(主にかつての相互銀行)が41行あります。この地方銀行と第二地方銀行を合わせて「地方銀行」と呼びますが、合計で105行もあります。

 10月末現在、全国銀行の預金総額(CDを含む)が670兆円、貸総額出が446兆円です。その中で地方銀行105行の預金総額(CDを含む)が308兆円、貸出総額が220兆円です。

 つまり地方銀行は、その名の通り地方経済に果たす役割が大変に重要ですが、かといって105行も必要なはずがありません。もともと各都道府県に原則1行の地方銀行と相互銀行が設置されていた名残ですが、同じ日本で同じような行政システムの中で105行もの地方銀行は多すぎで、もっと積極的に規模と効率を求めて合併・統合を進めるべきです。

 都市銀行は10年以上も前に再編が(うまく機能しているかどうかは全く別問題として)ほぼ完了しています。

 最近になって、その地方銀行にようやく再編の動きが出てきました。

 11月4日に横浜銀行と東日本銀行(東京)が、11月7日に肥後銀行と鹿児島銀行が、それぞれ共同持ち株会社を設立して経営統合すると報道されています。

 また10月には東京都民銀行と八千代銀行(ともに東京)が共同持ち株会社・東京TYFGを設立して経営統合を完了しました。

 共同持ち株会社を設立する方式なので「合併」ではなく、それぞれの銀行名は残り、地方銀行の105行は減りません。

 過去には2004年9月に北陸銀行と北海道銀行が共同持ち株会社・ほくほくFGを、2007年4月には福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現・熊本銀行)と親和銀行(長崎)が共同持ち株会社・ふくおかFGを、それぞれ設立して経営統合したなどの例があります。体力のある銀行が不良債権に苦しむ銀行と合併・統合する救済型も目立ちます。

 つまり体力のある地方銀行同士が規模と効率を求めて戦略的に合併するとか(共同持ち株方式ではダメです)、やはり体力のある銀行が別の体力のある銀行を敵対的にTOBするなど、聞いていて期待したくなるような再編が全くありません。

 地方銀行は持ち株会社を含めて85行も株式を公開しているので、TOBでも株式交換でも可能です。

 しかし先週の横浜銀行と東日本銀行や、肥後銀行と鹿児島銀行のニュースが出たので、今ごろ全国の地方銀行では「当行も出遅れないようにできるだけ穏便な地方銀行を見つけてはやく経営統合を決めてしまおう」とか「金融庁に妥当な経営統合相手を紹介してもらおう」とか「経営統合でも当行が主導権を握れる相手にしよう」などと、ひそひそ話し合っているのでしょうね。

 要するに積極的な業容拡大や経営効率の向上のための経営統合など「どうでもよく」、ひたすら体面と保身のための経営統合がこれから続出するような気がします。

 もちろん何の意味もありません。

 旧大蔵省(金融庁)の顔色をうかがう必要があるのでしょうが、もっと期待したくなるような合併や、敵対でも何でもTOBが出てきてほしいものです。

 米国では中東部の地方銀行を統合して巨大化したネーションズ・バンクが、最後にはバンク・オブ・アメリカまで合併して社名にしてしまい、全米大手銀行の一角となっている例があります。

 もっともバンク・オブ・アメリカは金融危機時にメリルリンチを500億ドルもの高値でジョン・セインに「掴まされて」経営危機となり、公的資金(TARP)のお世話になりました。また最近もメリルリンチのMBS不正販売で166億ドルもの巨額罰金を支払うハメになるなど散々ですが、少なくとも地方銀行を統合してバンク・オブ・アメリカとなったあたりまでは「大成功モデル」でした。

 日本でも有力地方銀行が数行合併し(繰り返しですが経営統合ではダメです)、大胆なコストカットで経営効率を上げれば、メガバンクに十分対抗できる「巨大地方銀行」が誕生するはずです。とりあえずは期待してみましょう。


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コメント
復習したい事件
もう懐かしい話ですが、ジョン・セイン程の人物が金融危機のどさくさに紛れてあれほどの犯罪的行為を行ったのに、FRB、同窓のポールソン等の大物からもほぼ見逃されたのはなぜでしょう。共謀なのか、それとも忙しかったのでリーマンのように次の機会に江戸の仇を長崎ででも討つつもりだったのでしょうか。また三井住友銀行とわかしお銀行合併の超ウルトラCの闇株解説を聞きたいものです。
りそな銀行が台風の目になるなどと言われているようですが、どうなると思いますか?
業界関係者です。
合併は救済型を除いて、自行より大きな所の傘下に入ろうということは絶対にないですね。
そもそも地銀・信金程合併する効果のない業界は少ないのですよ。
一般の事業会社であれば、合併後人員整理して効率は上がりますが、地銀の場合人員整理は明らかな救済型を除きできないので(行員に甘いから)、ただシステム統合に莫大な費用がかかるだけで効率は上がりません。また地銀の場合、メガと違い出行する先が無いので(大手は除き)、余程のトラブルを起こさない限り行内の管理職でいい給料をもらい続けます。真剣に自行の業績を考えている行員(経営陣も含め)がどれだけいるんですかね?もちろん最低限の利益は上げないとですが、あとは金融庁対策と自身の出世・保身だけです。
結局、今回の浜銀の件はとりあえず、統合はするがあとは全て今まで通りにしていきましょうという内容だと思いますよ。
同一県内の地銀同士ってどうなんでしょう。主要な店舗ってかなり被ってますよね。すると余剰人員をどうするか。単なるリストラでは合併はしないだろうし。合併にかかるシステムコストをかけてまでやるメリットがあるかどうか。銀行が少なくなって金利競争がなくなり結局、顧客が損して終わりでは意味がないし。

では都県外の地銀とはどうか。確かに今回の横浜銀行と東日本銀行は地域的にも被らず効果が期待できる。しかし都内に入ると優良先は都市銀行との金利競争、まさに低収益。そしてすでに地方銀行は都内には拠点を出店済という事実。

地方銀行や信用金庫は都市銀行がフォローできない零細企業や個人事業主を顧客とする社会的役割も考えると業容拡大で都市銀行を目指すのもどうかと。

こんな風に考えると、今後は過疎地域の他県同士の合併が少し進むぐらいな気がします。

本日の日経で「経営統合」→「経営統合を検討」になっていましたね。

何かご指摘いただければ有り難いです。

>>名無しさん

上から3つ目の通りすがりです。
私が答えていいのかわかりませんが、とりあえずお答えします。
ほとんどご意見いただいた通りです。もしや同業者?(笑)
あえて指摘させていただくとしたら、合併により金利競争がへり顧客にデメリットということについて・・・
基本的に銀行や金融庁がお客様目線になることはありませんので、金利が上がる事は「良いこと」になります。
というのは金融庁の検査内容は今年からガラリとかわり、日経に出ている通り以前は不良債権を洗い出す検査でした。今年からは今後さらに金利低下や過疎化が進んで生き残れるのか?リスクに応じた金利をとれているのか?といった収益重視の検査となりました。実際、対応に当たった方に聞いたところ、新聞の報道の通りとのことです。
実態は、今どき不良債権を抱えている銀行なんてどこも無いんですよ。
とはいえ、金融庁としては、再編はすすめたくてしょうがなく、地銀の1個、2個潰してしまうのは簡単だし、何とも思っていません。
>地方銀行や信用金庫は都市銀行がフォローできない零細企業や個人事業主を顧客とする社会的役割

これまさに重要です。
アッチで断られたけどコッチで成約できたという
金融機関に対する「選択肢」が最重要となります
「ベンチャー創生」「地方再生」がますます遠のくでしょう
ご指摘を求めたものです。

どうもご意見有難うございました。お一人の方は本部に近いセクションのような気がしました(笑)
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