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「イスラム国」の邦人拘束事件

2015年01月28日

「イスラム国」の邦人拘束事件


 日本人として大変気になる事件ですが、報道だけでは物足りないところがあります。

 「イスラム国」とは世界のどの国からも承認されていない自称国家であり、またイスラム教の教義を都合よく利用しているだけのテロ組織です。しかし既存の地域限定イスラム過激派とは比べ物にならない資金力・軍事力・情報発信力を備えた大変に厄介な組織です。

 今も拘束されている邦人1名の救出を巡り情報が乱れ飛んでいますが、そんなに単純なものではありません。
 
 まず「イスラム国」が、ヨルダンで大規模な自爆テロを引き起こした女性死刑囚との「人質交換」を主張しているとされますが、「人質交換」は国際法上認められた戦争状態にある国家間の交渉事です。

 「イスラム国」は国家ではなく、もちろん日本や当事国のヨルダンも国家として認めていないため、そもそも成り立たない交渉事です。つまり「イスラム国」を国家として認め、「イスラム国」の各種テロ行為を戦争(日本は自ら憲法で禁じていますが国際法で認められた国家の権利です)と認めてしまうことになります。

 「イスラム国」が本当に人質交換を求めているなら、その目的はまさにこの点であり、米国が強硬に反対している理由もやはりこの点です。そもそも自爆テロに失敗して捕まった女性死刑囚など、「イスラム国」にとって別に取り戻す価値もないからです。

 それでも日本の官邸が大変期待している理由は、当事国のヨルダン国王・アブドラ2世が大変に親日家であり安倍首相がつい先日1億ドルの円借款を供与したからではなく、国王がヨルダンで圧倒的な人気と指導力があり国内世論をまとめられるからです。

 アブドラ2世は、イスラム教の開祖・ムハンマドの血筋を引くハーシム家の出身だからです(直接ムハンマドの子孫であるかどうかは異論があります)。

 そもそもイスラム教とは、メッカの商人だったムハンマドが610年頃に突然「神」のお告げ聞き、その指示に従って布教を始めたもので、今では中東や北アフリカ、東南アジアなどに16億人もの信者がいます。

 ムハンマドの死後、ムハンマドが聞いた「神」のお告げを編纂したクルアーン(コーラン)が、今も世界のイスラム教徒の「すべて」となります。

 先日パリの出版社が襲撃された理由は、このムハンマドを風刺画に登場させたからといわれています。もちろんテロ組織の勝手な理由ですが、それでもムハンマドの血筋を引くアブドラ2世はヨルダンだけではなく世界のイスラム教徒にとって大変重要な存在なのです。

 直接ムハンマドの子孫とされるのは1979年のイラン革命後に帰国して熱狂的に迎えられたホメイニ師で、現在ではモロッコ国王のムハンマド6世となります。だからヨルダンやモロッコは「アラブの春」など無関係な「絶対的に安定した王国」なのです。

 先日新国王が誕生した(といっても79歳のサルマン国王ですが)サウジアラビアや、カタール、UAEの王室は、イスラム教に多額の喜捨(寄付)を行う最大のスポンサーなので、やはり国内のイスラム教徒から圧倒的に信頼される「安定した王国」となります。

 イスラム教では「神」のもとですべてのイスラム教徒が(国王も)平等と教えるのですが、やはり金の力はどこでも絶大なのです。

 そう考えていくとイスラム諸国では、ムハンマドにゆかりのある指導者(国王)や多額の喜捨を行う国王がいる国は「安定」していますが、それ以外たとえば軍人やただの政治家が指導者の国は「大変に不安定」となります。

 イラクのフセイン、チュニジアのベンアリ、リビアのカダフィ、エジプトのムバラク、そしてイラクでフセイン後に米国の後押しで政権についたマリキがあっさり倒され、唯一残るアサド(クーデターで政権を握った軍人の父から譲位された眼科医)も時間の問題のようです。

 そして「イスラム国」の指導者・バグダディーはムハンマドの子孫を自称し、イスラム世界全体を指導する「カリフ」も自称し、「大変に不安定」なイラクとシリアに自称国家を建設してしまいました。これがイスラム教のバランスなのでしょう。

 邦人拘束事件も、いろいろな角度から考えてみる必要があります。

 「イスラム国」、イスラム教、イスラムの世界について、今週から有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」で連載を始めています。よろしかったら読んでみてください。


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コメント
中東人質事件
以前の同様な渡航者へのバッシングを避けるために自己責任という言葉はほとんど使われませんし皆事柄上口を噤んでいます。助けるべく救われた邦人もいましたが今回はどうなんでしょうか。外務省が渡航自粛勧告しても行ってしまうのでレベルアップしていると思っていましたが進んでおらず効果的な強制はないのでしょうか。そもそも反政府勢力に武装参加する日本人は守れませんし、経緯を聞くとフリージャーナリストがその知見と分別を捨てて全責任をとると公言して行っている以上政府に負担をかけるのは本意ではないでしょうが、それ以上に他国や世界に脅威を与え個人の責任どころの問題ではなくなりました。彼には能力的に予想できたはずですが。現野党の対応には呆れますが、政府でなく二人を批判する野党(誰もが言いたくない時の橋元さんあたり)があれば今後一番役にたつ気がするのですが。さすがに政府は口が裂けても言えないので。言えたらケネディ級ですが。
フランスでわ突入作戦で人質に死者を出しましたが脅しにわくっぷくわしないと言う姿勢を貫きました.日本わ人命が特に底辺層が大事されていないからこそそれを覆い隠すために人命人命と叫ぶのだと思います。
27日米国市場でわマイクロソフトわ時価総額の360億ドル約4.1チョウ円失われた.日米株価バブルとみるがコレ以上の損失を出す企業もでるのでわ。
ほんと、真面目にどうして欲しいんでしょうね?
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