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ユーロの問題点 その1

2011年04月21日

ユーロの問題点 その1

 4月17日に行われたフィンランド議会選挙で、反EUを掲げる(特に財政危機に陥ったEU加盟国に対する支援に反対する)政党が躍進し、金融安全網拡充を目指すEUの政策に波乱要因となりそうです。

 事実、先週1ユーロ=1.45ドル台、対円で122円台後半まで上昇したユーロも、今週初めには1ユーロ=1.41ドル台、対円で116円台まで下落しました。
 本日(4月20日)には再び1ユーロ=1.45ドル台、対円でも120円手前まで回復していますが、これは米国債の格付け見直しの影響でドルが弱含んでいるからです。

 また、ギリシャの10年国債利回りも前週比1%弱上昇して14%台半ばになり、ポルトガルの10年国債も9%台半ばまで上昇しました。両国は欧州金融安定基金(EFSF)による支援が決まったのですが、特にギリシャについては財務再編(つまり債務の一部切り捨て)の噂が一層強まってきたからです。

 ここで、ユーロの本質的な問題点について、そのスタート時にさかのぼって考えてみたいと思います。はっきりといえることは、ユーロのスタート時の規律がすっかり失われているのですが、これには構造的な理由があります。

 現在ユーロの構成国は17カ国です。
 1999年1月のスタート時から参加しているのがドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、スペイン、ポルトガル、アイルランド、オーストリア、フィンランドの11カ国、その後参加したのがギリシャ、スロベニア、キプロス、マルタ、スロバキア、エストニアで合計17カ国です。

 不参加の主だったところはEU加盟国では英国、スウェーデン、デンマーク、EU未加盟国でスイス、ノルウェーといったところです。

 さて、ユーロの構成国になるためには以下のような条件があります。
1) 財政赤字が単年でGDPの3%以下、累計でGDPの60%以下
2) 消費者物価指数が構成国で最も低い3カ国の平均を1.5%以上上回らない
3) 長期金利が構成国で消費者物価指数の上昇率が最も低い3カ国の平均を2%以上上回らない
4) 過去2年間、通貨の切り下げを行っておらず、欧州通貨制度の為替変動メカニズムの通常の変動幅を維持していること

これはユーロの構成国となるためには、これだけの条件をクリアーしなければならず、また、また構成国となった後もこれらの条件を維持できるように努めなければならず、これがユーロに対する信任のもとになっているのです。 

 ちょっと見て分かるのですが、ギリシャやアイルランドなど財政赤字がGDPの10%を超えているなど、こういった条件を守れない国が出てきているのです。そもそもギリシャなどは当初から財政赤字の数字を誤魔化して加盟していたようです。

 つまり、ユーロの信任を維持するための規律が緩んできているのです。

 これに対して、財政危機に陥った国に対しては欧州金融安定基金(EFSF)などで支援をするという方向が出ているのですが、なんとなく本末転倒のような気がします。

 そもそもユーロ導入前の為替変動メカニズム(ERM)は、参加予定国が自国通貨を決められた基準値から上下2.25%に維持する仕組みになっていました。
 前述の、ユーロ構成国になる条件の4)がその名残で、ユーロの新加盟国は、2年間はユーロに対して自国通貨を一定の範囲に維持しなければならないようです。

 ところが、ユーロ導入前の為替変動メカニズム(ERM)では、自国通貨の価値を維持するために、それぞれの国が財政赤字、インフレ率、貿易赤字を責任もってコントロールしなければならなかったのです。

 逆にいえば、ユーロの構成国それぞれが、自国通貨の価値を維持する努力をすることが、それらの国の通貨が統合されるユーロの価値を維持することに他ならなかったのです。

 1992年当時、自国経済が比較的弱かった英国は、本来は金利を引き下げ、通貨を切り下げて、輸出増加などの景気刺激策をとるべきだと思われ、常にERM離脱(つまり通貨切り下げ)の噂が出ていました。
 そうは言ってもERMにとどまると宣言した英国政府に対して、ソロスが100億ドル相当のポンド売りを仕掛けて、結局ERMを離脱させたことは有名な話なのです。

 しかし、ERM離脱によって金利を引き下げ、ポンドを切り下げた英国は、結果的に自国経済対策を優先でき、その後2008年の金融危機前まで長期の経済発展を謳歌するのです。

 その後、同じ様にスウェーデンとデンマークもERMを離脱し、いまだにユーロに参加し手いません。しかし、これは今のユーロの問題点を考えるにあたり、非常に示唆に富む話なのですが、続きはまた明日書きます。

平成23年4月21日

平成22年11月16日付け「ユーロの話」
平成22年11月18日付け「ソロスの錬金術  その1」
も、ご参照ください。

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