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ユーロの問題点  その2

2011年04月22日

ユーロの問題点  その2

 昨日に引き続きユーロの構造的な問題点を書いて見ます。

 本日(4月21)もユーロはドルに対して続伸し、1ユーロ=1.46ドル台半ばに入っています。とりあえず、フィンランド選挙前の水準も更新しています。

 さて昨日書きましたように、1999年1月にユーロは、財政赤字やインフレ率などの条件を満たした11カ国でスタートしたのですが、実はそれまで構成国にとって一番厳しかった条件は為替変動メカニズム(ERM。自国通貨を基準値から上下2.25%に維持する)を守ることだったのです。これを守るためにはインフレ率、財政赤字、貿易赤字などを各国が厳しくコントロールしなければならなかったのです。結果そのコントロールができた11カ国でスタートしたユーロは、世界中から信任され、価値も維持できるはずだったわけです。

 その間、英国などのように、自国経済がこれらの規律を守るには弱すぎた国はERMを離脱し、自国通貨を切り下げて金利も引き下げて、かなりの経済成長を遂げました。

 そして、1999年1月1日にユーロはスタートしました。初値は1ユーロ=1.1792ドル、対円では132円くらいでした。

 ところが予想に反し、その後ユーロは下落を続けます。2000年10月26日には1ユーロ=0.8252ドル、対円でも90円割れになってしまいました。
 
 その理由は、ユーロがスタートしてしまうと、構成国はすべて同じ通貨を使うため、今まで一番厳しかったERM(自国通貨を基準値から上下2.25%に維持する)を守る必要がなくなり、とたんに緊張感がなくなってしまったのです。

 つまり、ユーロがスタートすると、構成国にとって自国通貨の維持にまったく注意を払わなくてもよくなったため、いきおいインフレ率や財政赤字などにも注意を払わなくなってしまったのです。
 つまり、ユーロのスタート前の規律が緩んでしまい、その結果ユーロが下落し始めたのです。これはユーロの構造的欠陥なのです。

 その後、ユーロの導入により一部の構成国が今までより格段に安い金利で資金調達ができるようになり、ユーロ圏全体の経済が発展し、ユーロは長期的に反発します。皮肉なことですが財政規律より、高成長によってユーロは評価されていったのです。

 リーマンショックの直前の2008年7月には1ユーロ=1.6038ドル、対円では170円直前までの高値となりました。

 リーマンショックのときは、ヨーロッパの銀行の不良資産が巨額になったことや、世界中で積みあがったユーロのポジションの反対決済などで、わずか3ヶ月のうちに1ユーロ=1.24ドル台、対円での112円台までの急落となりました。

 その後の経済停滞でギリシャやアイルランドやポルトガルなど財政赤字が急増した国が増えてしまったのですが、とりあえず欧州金安定基金(EFSF)で支援する方向がでており、米ドルが量的緩和で弱含みなこともあり1ユーロ=1.45ドル台、対円でも120円前後となっています。

 結論としては、ユーロはスタート時に比べ、その価値を維持する仕組みが大いに損なわれているのです。それでもユーロはスタート時に比べて対ドルでは上昇しているのです。まあ、ドルが弱い理由も山ほどあるのですが、その結果世界的に資金がドルからユーロにかなり流れていることになり、問題が後に残ることになります。

 最後に、ギリシャやアイルランドなどはどうすればよいのでしょうか?

 極端なことをいうと、一時的なユーロの離脱を考えるべきだと思います。そうすれば実質為替が切り下げられ、金利も引き下げられるため、一定の復帰の条件を決めて離脱すべきなのです。しなければ、ユーロの枠組みの中では自力回復が不可能で、いつまでたっても財政再建が出来ません。

 技術的には、ギリシャとアイルランドを(必要ならポルトガルも)ユーロの構成からはずし、旧通貨(多分ギリシャはドラクマ、アイルランドはアイルランド・ポンド)に戻し、変動相場とします。その間はユーロの構成国が15カ国になるだけで、理論的にはユーロの価値は変わらないのですが、多分強くなると思います。

 ユーロ構成国からの支援は予定通り続けるのですが、ユーロ建てでの支援ですので、ギリシャやアイルランドにとっては返済時に為替リスクが発生します。しかし、これは通常のIMFの支援などでも同じことなので、その分規律が生まれると思います。

 すでに発行されているユーロ建てのギリシャ国債やアイルランド国債は、今から自国通貨建てに換えるわけにはいかないためユーロ建てのままです。しかし償還の時は割高になったユーロで償還するため、ギリシャやアイルランドの負担増となるため、規律が生まれると思います、

 今後国債を出すときはユーロ建てと自国通貨建てを選べばよいのですが、ユーロ建ての方が多分、発行条件が有利になるはずで、ユーロ建ての発行が続くと思います。

 結局こうすることにより、規律が生み出され、ギリシャやアイルランドが自力回復すれば、その時の為替の時価でユーロに復帰すればよいのです。

 退出と復帰のルールを作ることが、結果的に規律が生まれ、ユーロの価値を守ることになるのです。

平成23年4月22日
 

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コメント
ユーロ離脱
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政治的に無理だ。
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