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ここで一気に日産自動車を取り返してしまおう

2015年04月10日

ここで一気に日産自動車を取り返してしまおう


 2014年9月5日付け「そろそろ日産自動車を取り返そうではないか」で、このままではルノーに食い尽くされて「残骸」になってしまう日産自動車を、逆にルノーをTOBで傘下に入れることにより取り戻そうとする「やや過激なアイデア」を提案しました。

 決して絵空事ではなく、フランスでは特権階級でもないレバノン系ブラジル人のカルロス・ゴーンCEO(親会社・ルノーCEOも兼ねる)の放逐を前提にフランス政府と取引すべきという内容でした。ルノーの15%の株主であるフランス政府は、決してルノーの現状に満足していないはずだからです。

 そう思っているうちに今月に入り、フランス政府がルノー株式1400万株を最大12億3000万ユーロ(1600億円弱)で取得し、持ち株比率を15.0%から19.73%に引き上げたと外電が報じています。

 フランスでは2014年の法改正で、2年以上保有している株主には2倍の議決権が与えられるようになったのですが、4月30日に予定されているルノーの株主総会には現行制度を維持する議案が提出されており、フランス政府はこの議案を否決する(つまり2倍の議決権を認める)ために買い増したようです。

 ただし買い増した分は株主総会後に売却してしまうようで、その間の株価下落を回避するプットオプションまで購入しているようです。

 つまりフランス政府はカルロス・ゴーンCEO体制下のルノーについては、株価も業績も「全く信用していない」ことになり、株主としての発言力・影響力を強化するという明確な意思表示です。

 ルノーの直近の株価は1株=86ユーロ前後で、ECBの量的緩和開始の恩恵で年初の60ユーロから4割以上も上昇していますが、それでも直近の時価総額は258億ユーロ(3兆3000億円)しかなく、43.4%を保有する日産自動車の5兆7000億円の6割弱しかありません。

 ルノーが保有する日産自動車株の時価総額は2兆5000億円近くあるため、単純に考えるとルノーとしての価値は8000億円しかないことになります。

 またルノーの2014年通年の純利益は18億9000万ユーロ(2400億円)で、その中には日産自動車の持ち分利益が(2015年3月期の予想純利益4200億円を使うと)1800億円以上も含まれているはずで、ルノーだけの利益は日産自動車からの持ち分利益以外にもさまざまな方法で吸い上げているにもかかわらず600億円ほどしかないことになります。この数字は2013年までは大赤字でした。

 ちなみに日産自動車もルノー株式を15%保有していますが、子会社なので議決権はありません。

 さて今回のフランス政府によるルノー株式の買い増しは、日本にとって(日産自動車を取り戻すのであれば)有利にもなり不利にもなります。

 有利なところは、やはりフランス政府はカルロス・ゴーンCEOに満足していないところです。これはルノーのCEOとしてという意味で、日産自動車はルノーの一部くらいにしか考えていないはずです。また不利なところは、フランス政府の発言力がルノーだけではなく日産自動車に対しても強化されてしまうことです。
 
 ここはやはり「そろそろ日産自動車を取り返そうではないか」で書いたように、カルロス・ゴーンCEOの放逐を前提にフランス政府に対し「日産自動車がルノーをTOBで過半数取得して傘下に入れる(たぶんルノーの株価はかなり上昇する)」「フランス政府が保有するルノー株をやや有利な比率で日産自動車株と交換する(間接的ではあるがルノーへの影響力は維持できる)」「ルノーが保有する日産自動車株は市場で売り出す(ルノーに巨額資金が入る)」など見栄えのよさそうなパッケージを提案すれば、計算高いフランス政府のエリート官僚は乗ってこないわけでもないと考えます。

 そのためにはカルロス・ゴーンCEOがルノーのために日産自動車を食い尽くすことを唯々諾々と容認している(というよりも積極的に賛同することによりゴーンCEOの歓心を買おうとしている)日産自動車の現経営陣を総入れ替えしなければなりませんが、これもフランス政府の協力が得られれば可能となるはずです。

 ルノーの株主総会が4月30日、日産自動車の株主総会が6月下旬なので、時間的には一刻の猶予もありません。ルノーの株主総会に議決権が間に合うのであれば日本政府も公的資金でルノー株を大急ぎで取得して、フランス政府にルノーの株主総会での協力も含む「パッケージ」を提案すべきと考えます。

 日産自動車には10兆円の流動資産があり、また低金利での資金調達も可能であり、現在15%保有するルノー株を過半数に引き上げるTOBは、資金面でもそれほど困難ではないはずです。フランス政府の協力が得られれば、必要な資金はもっと少なくなります。

 日本だけではなくフランスの株式市場にとっても「悪くない話」だと思うのですがね。

 ところで今週から有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」で、「過大評価され続けている不思議な国・フランスの歴史」というシリーズを始めています。昨年の中国シリーズに続き、フランス人の攻略法ですので、よかったらご購読いただき読んでみてください。


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