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中国の外貨準備と金(きん)

2015年04月22日

中国の外貨準備と金(きん)


 4月8日付けで「中国外貨準備をめぐる怪」を書いたのですが、そこに「中国は金を買って秘匿しているのでは?」とのコメントをいただきましたので、本日はこの話題です。

 4月8日の記事を書いた直後に、中国の3月末時点の外貨準備が3兆7300億ドルだったと発表されました。昨年6月末時点が過去最高の3兆9900億ドルだったので、たった9ヶ月で2600億ドル(6.5%)も減少しており、いろいろと憶測を呼んでいます。

 また中国の2月末時点の米国債保有が1兆2237億ドルだったともFRBから発表されており、同時点の日本の1兆2244億ドルを下回りました。米国債保有は外貨準備だけでなく民間保有も含まれていますが、中国では基本的に民間の対外投資が禁じられているため、すべて外貨準備が保有する米国債と考えられます。

 一方で中国の金の公的保有は(自己申告ですが)1054トンで、これは米国の8133トン、ドイツの3395トン、IMFの2814トン、イタリアの2451トン、フランスの2435トンに次ぐ6番目となります。その後はスイスの1040トン、日本の765トンと続き、ECBも502トン保有しています。

 米国、ドイツ、イタリア、フランスでは、これらの公的保有の金が外貨準備の7割前後もありますが、中国ではわずか1.1%しかありません。日本でも2.4%あります。

 つまり中国の外貨準備とは、金の割合が少ないうえに、米国債の割合が33%程度と「異常」に少ないことになります。そこで「中国は金を大量に買って秘匿しているのではないか?」や「米国債を売却して金を買っているのではないか?」との推測も出てきます。

 中国の米国債保有のピークは昨年5月の1兆3160億ドルなので、そこからやはり9か月で923億ドル(7.0%)減少していますが、これは外貨準備の減少幅(6.5%)と大差はありません。つまり米国債だけを売却して(例えば金を買っている)ということもなさそうです。

 しかしここまでの数字は公的保有の金で、民間が保有する金とは違います。

 中国はインドと並んで国民の金選好が大変強く、2014年の民間需要(民間の装飾用と退蔵用の金取得)は、インドが842トン、中国が813トンでした。その次が米国の179トンなので、インドと中国の民間需要は突出していることになります。また2013年は中国が1317トンとインドを大きく上回っていました。

 ただこの中国の2013年の1317トンには、米ドルを借りて金を買う・その金を担保に人民元を借りる・その人民元を高利回りの理財商品で運用するという裁定取引分がかなり含まれていたはずです。その結果は2013年春の中国短期金利の急騰・金価格(銅価格も)急落・理財商品のデフォルト懸念となってしまいました。

 ただ2014年の813トンは実需に近いはずで、インドの842トンとあわせると、2014年の世界の金産出量・2860トンの6割近くを「吸収」しています。

 ちなみに2014年の金の国別産出量は、最大が中国の450トンで、オーストラリアの270トン、ロシアの245トン、米国の211トン、カナダの160トン、ペルーの150トン、南アフリカの150トン(1970年代は1000トンをこえていた)と続きます。

 極めて大雑把な計算ですが、世界中にある金の総量は178,000トン、うち公的保有が32,000トン、残りが宝飾・退蔵・ETF・産業用などの民間保有で、中国とインドには宝飾・退蔵用だけで60000トンあると推測します。中国よりもインドが少し多いと思いますが、それでも中国内には30000トン近い金があるはずです。

 一応、中国の金の公的保有は1054トンと「自己申告」されていますが、中国内にはもっともっと潤沢に金があることになります。もちろん公的保有と民間保有は違いますが、共産党一党独裁の中国ではあまり関係ないはずです。

 さらに中国では最近、民間銀行(といっても大手は国有銀行のようなものです)に金の取扱いを解禁したようです。民間銀行が中国人に金を販売できるようになったため、ますます中国人による金保有が増えることになります。

 中国の基本的な考え方とは、人民元をドル(あるいはユーロ)と並ぶ国際通貨にすることです。国際通貨とは金(きん)に似た普遍的な価値を国際的に認められる通貨「紙切れ」のことで、この「紙切れ」で世界中から財やサービスが購入できます。

 その中で中国が外貨準備で(あるいは外貨準備の米国債を売却して)金を購入しているとすれば、随分とスケールが小さい話になります。中国の国際金融における目標とはもっと大きなもので、AIIB構想はその「ほんの一端」であると考えておくべきです。

 次回は、意外に知られていない「日本と金(きん)」のエピソードをいくつかご紹介します。


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コメント
中国は確か数年前に「金保有1万トン」計画発表してましたよ
 FRBの株主はアメリカじゃないというのは意外知られていない事実です。ドルの力が強くとも、アメリカ国民のために使われないというのはなんとも言いようのない思いがあります。そして中国の元は共産党のためにあって中国人民のためにない、というのは皮肉としかいえません。
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