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東芝のさっぱり要領を得ないIR

2015年05月14日

東芝のさっぱり要領を得ないIR


 昨日はオリンパスの大変に問題あるIRについて書きましたが、実は同じ日(5月8日)の取引終了後に東芝も「さっぱり要領を得ない大変に不安にさせる」IRを出していました。

 そのIRとは「第三者委員会設置のお知らせ」「業績予想の修正に関するお知らせ」「剰余金の配当(期末)に関するお知らせ」がセットになったものです。

 要するに東芝では、一部のインフラ関連の工事原価が過少に見積もられ、工事損失(引当金を含む)が適時に計上されていない等の事象が判明しており、また更なる調査を必要とされる事項も判明したため、これら事実関係の詳細調査および発生原因究明のために中立・公正な外部の専門家から構成される第三者委員会を設置するということと、2015年3月期の決算短信は期限の5月15日までに提出できず、6月まで遅延するというものです。

 またすでに発表していた2015年3月期の通期予想は(営業利益3300億円、経常利益2500円、純利益1200億円など)取消して未定としてしまいました。要するに地面に埋まっているのが爆竹か原爆かわからないということです。

 また過年度の決算を修正する必要も示唆されていますが、そうすると常識的には第三者委員会(まだ構成委員が選任も推薦もされていません)による調査報告書を受けてから過年度の有価証券報告書(少なくとも時効になっていない5期分)を修正したうえで、2015年3月期の決算短信を6月中旬までに、有価証券報告書を6月末までに提出する必要があり、スケジュール的には大変な綱渡りとなります。

 実際には5月15日までに決算短信が提出されなければ(されないことが確定的ですが)管理銘柄に割り当てられ、2015年3月期の有価証券報告書を6月末までに提出できなければ上場廃止となるリスクがあるなど、かなり危険なケースを想定しておく必要もあります。

 4月3日には同じ事態に対処するために東芝の室町会長を委員長とする特別調査委員会が設置されていましたが「手におえない」と判断したのでしょう。

 本誌は最近の必要以上にコンプライアンスを重視する風潮や、何か問題が発覚すれば「とにかく大物ヤメ検を委員長に頂く第三者委員会を設置して調査してもらえば最悪の事態にはならない免罪符となる」と考えられていることや、何よりも大変にお粗末で明らに会社寄りの第三者委員会・調査報告書が多いことなど、決して好ましいものであるとは思っていません。

 しかし東芝が、この本当に綱渡りとなるタイミングで第三者委員会の設置を決めた理由は、特別調査委員会の形式的な報告では誤魔化しきれない深刻な事態であることがわかってしまい、サラリーマンばかりの東芝現経営陣が責任逃れに走ったからと考えます。

 どうも地面に埋まっていたのが爆竹より原爆に近いものだったのでしょう。

 そもそも発生しているはずの「過去の決算数字との大幅な差異」とは、単なる不注意によるものなのか、悪意のある(東芝内部あるいは外部の)人物の犯罪行為なのか、さらに発見したのが内部のチェック機関なのか、監査法人などの外部の機関なのか、それとも内部告発なのか、要するに東芝のさっぱり要領を得ないIRだけでは何もわかりません。

 それで今後の展開を予想することは大変に難しいのですが、直感的に第三者委員会の調査報告書とは穏便で玉虫色で重要なことは何も明らかにされないような気がします。

 しかしその調査報告書が出されるのを待って過年度の決算修正と2015年3月期の決算短信・有価証券報告書提出が粛々と行われ、もちろん上場も維持されて事件化することなど絶対になく、そのうち何事もなかったように忘れられてしまうような気もします。

 その理由は2つあり、東芝は日本有数の(買収したつもりになっているウエスティン・ハウスを入れれば世界有数の)原発メーカーであることと、2014年12月末時点で長短合わせて1兆9000億円以上の外部負債(主に銀行借り入れ)があることです。

 つまり第三者委員会が調査中に証券取引等監視委員会と東京地検特捜部が乗り込んできて強引に事件化してしまい、電光石火の速さで中核事業だけをセガ・サミーに譲渡させたインデックスのケースとは全く違います。

 さらには事件化して何人かの逮捕者を出したものの、第三者委員会の調査報告書・過年度有価証券報告書の訂正・上場維持・銀行からの役員派遣(2名)・2500億円以上の貸付金回収と粛々と進んだオリンパスのケースとも違うはずです。

 経済事件とは、そもそも事件化するのかどうかも含めて、明らかになったときには結論が決まっているものであることを、東芝のさっぱり要領を得ないIRから改めて感じました。


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コメント
サラリーマン経営者揃いの逃芝では自己保身と責任逃れは得意技でしょう。
経営学の権威や元高級官吏を社外役員に迎えてご立派なコーポレートガバナンスを設けても高額の報酬貰うだけの役立たずの飾り物。
原発と軍需品扱う永田町とズブズブの政治銘柄だからこんな恥ずべき不祥事やらかしても安泰。
さすがは前社長と元社長が居座って内部抗争するだけの余裕がある会社で羨ましい限りです。
売上の工事進行基準
三年で500億円の損失修正。
管理不足だと思います。
管理人さんが触られていますが、家電半導体の社長派が重電派を追い落とそうとしているのだと思います。
権力闘争では不利な材料をなるだけ隠し、有利な材料を誇大宣伝します。
重電は受注生産で対策費がどうなろうが、お客から同情買って、少しでもマイナスを圧縮しようとする動きがあります。仕様追加でもお客が金出さないと言えば見積ふりょうになります。
微妙です。
しかし、工事進行基準を売上計上する巨大プロジェクトで利益の先出しになった今回の管理不足は問題です。
重電派の頭目一人のクビだけではなく、一味の幹部のクビまで、社長派は獲るつもりでしょう。特に社長派は伝統ある事務系社員、重電カラーの管理部門の人事権を掌握したいでしょう。
重電派は失敗をつけこまれました。
自慢話は真っ先に発表するのに先週末の遅すぎるネガティブ情報発表に続き今週も週末になってからようやく社長が謝罪会見…と社長以下、幹部の連中は週末だからメディアに取材責めされることなく逃げ回ることができますね。この責任感と危機意識の無さはまさしく東芝日常劇場です。
社内人事抗争
社長は騒ぎすぎの感。
粉飾決算に近いが、架空売上、架空費用、売上の抜き取りや費用の抜き取りではなく、倒産確率が高いことなどの重要な経営情報の開示漏れでも無いため、単なる管理不良であると思う。
東芝は重電で大企業化した会社であり、堅い商売の重電派の力は侮れない。今ごろ巻き返しの策を練り、社長派が重電派幹部をパージしないよう大株主などに根回ししているだろう。
技術開発・量産化競争面の難易度は家電半導体部門が高いが、顧客開拓・営業管理面の難易度は重電部門が高い。
両者仲良くできるのが理想だが、今となっては無理かもしれない。
東芝半導体技術者は不遇だと他国企業に技術を教え二年で六千万円の報酬をもらい、女付きとも噂がある。
全員出世は無理なので、旬の技術を持つ技術者の給与を大幅アップし、行動面を縛る必要がある。シャープのように設計者のパスポートを会社預かりにしている。他国企業も日本に技術研究所を作るなど対策しているようだ。
給与体系が部門ごとに大幅に異なるなら、同じ会社にいることは、部門間人事交流を難しくし、あまり意味がない。
富士電機から富士通が分かれたように(?確か)、半導体部門は東芝から分社化する時が来たのかもしれない。
隣国との関係悪化はおもらしの東芝の場合、チャンスでもある。
マイナンバー効果
こういった不正経理は自社内だけに閉じ込めておければ
何の問題もなかったでしょう。
ところがマイナンバーで芋づる式に不正がわかってくる。
偽装請負や二重派遣も資金の流れで明白になり、
取引先との二重帳簿も不正経理も露呈する。
東芝もそれに気づいたからこのタイミングでカミングアウトしたのではないでしょうか。国税に言われるよりは・・・です。

これからもっと上場企業の不正が露になるでしょう。
マイナンバーと社保厳密化で官製相場が意図せず崩れる。
不正経理と社保逃れで利益を出している企業が山のようにあるから致し方ない。おそらく中国バブル崩壊よりこっちが怖い。

ブラックロック
5月21日付けで、ブラックロックが東芝株5.14パーセントを取得したとのこと。
社長の意を確認して買い支えに入っている確率高い。社長は重電派を追い出す手前、ものすごい粉飾、どうしようもない、と言っているが、多分、社長が騒ぎをコントロールしている。
コントロールの意味は大きくて、放射能が出ていても、五輪が東京に来てくれるほど。
残るリスクは東芝が監理銘柄にされてしまうことぐらい。
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