闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

東芝の「こんなのありなの?」というIR

2015年06月02日

東芝の「こんなのありなの?」というIR


 5月14日付け「東芝のさっぱり要領を得ないIR」の続編です。

 先週末(5月29日)の16時50分に東芝が「第176期有価証券報告書(自2014年4月1日至2015年3月31日)及び177期第1四半期報告書(自2015年4月1日至2015年6月30日)の提出期限延長に関する承認申請書提出に関するお知らせ(原文のママ)」と「定時株主総会の開催等に関するお知らせ」なるIRを発表しました。

 そして同日の18時10分に同じ東芝が「第176期有価証券報告書(同上)及び第177期第1四半期報告書(同上)の提出期限延長申請に係る承認のお知らせ」なるIRを発表しました。

 要するに前年度の有価証券報告書の提出期限を、本来規定されている2015年6月30日から2015年8月31日に、今年度第1四半期報告書を同じく2015年8月14日から2015年9月14日に、それぞれ延長してくださいと「どこかわからない機関」に申請し、その「どこわからない機関」から1時間20分後に承認されたということです。

 「どこかわからない機関」と書いたのは発表されたIRのどこにも提出先が書かれていないからですが、もちろん金融庁(正確には関東財務局)と東京証券取引所のことです。

 「止むを得ない事情」により有価証券報告書の提出が遅延するケースはありますが、普通は1か月の延長が認められるだけで、それ以上遅延する場合は「上場廃止」の可能性が強いと認識していました。ところが前年度有価証券報告書の2か月の遅延が、たった1時間20分で承認されたことになります。

 だいたい決算期末から45日以内の決算短信提出も義務づけられており(こちらは会社法の規定です)、これが遅延する場合は東京証券取引所が直ちに監理ポストに割り当てることになっていると認識していました。上場廃止基準に抵触する恐れがあると投資家に周知徹底する当然の措置です。ところがこれも一向にその気配がありません。

 要するに「こんなのありなの?」と言いたくなるような超過保護的措置です。

 まあ条文や規定をよく読めばそういう超過保護的措置も可能となるのかもしれませんが、IRには金融庁(関東財務局)も東京証券取引所も「提出先」として記載されることを(東芝に)控えさせたとしか思えません。

 類似のケースが出てきて、その会社が東芝のように日本有数の原発メーカーではなく、1兆9000億円もの銀行借り入れもなかったら(つまり株主以外は誰も困らなければ)どうなるのでしょうね?

 「東芝には2か月の遅延を認めて、監理ポストに割り当てられることもなく、上場も維持されているではないか?」といわれないように「どこかわからない機関」が認めたことにしているのでしょうね。

 本日(6月1日)から金融庁と東京証券取引所が策定した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の適用が始まっていますが、こういう「あやふやさ」が残ると現場は大変に混乱することになります。

 さらにもう1つのIRである「定時株主総会の開催等に関するお知らせ」はもっと凄くて、要するに6月25日の定時株主総会には当然のように決算報告がなく、取締役16名選任の会社提案といくつかの株主提案が議案とされているだけです。

 そして改めて6月30日を基準日とする臨時株主総会を9月に開催するとも書かれていますが、その議案についてはもちろん未定です。

 まあ株主総会の開催は取締役会の専権事項なので(株主にも開催請求が認められていますが)、株主総会を複数回開催しても問題はないかもしれません。しかし田中社長は無配とした前年度の期末配当を6月30日現在の株主に支払うともとれる発言もしており、だとすると同一年度の定時株主総会を2回に分けて行うことになり、かなり異常な株主総会になります。

 どうせ超過保護的措置が認められるなら、定時株主総会自体を前期末(3月31日)の株主を対象に9月に開催すればよいような気がするのですが、だとすると6月末に任期が切れる各取締役の立場が微妙になるため「各取締役の地位保全だけは優先した」ことになります。

 近々「東芝の何事もなかったようなIR」を書くことになりそうで、それで「東芝IR三部作」の完成となります。


Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:7 | TrackBack:0
関連記事
コメント
相当根深そうな東芝不適切な会計問題ですが
オリンパス同様国策?で「上場廃止回避」は確定でしょう。
7月中旬までの第三者委員会調査結果報告、臨時株主総会9月下旬まで長丁場ですがオリンパス事件のように内部告発とかあると面白いですね。
闇株さんが次回予想する「落しどころ」記事に期待してます。
東芝は、6月12日号のフライデーによると一方的に支払いサイトの延長をしてるそうですよ。
あと東証はオリンパスを上場維持させたり、gumiやグノシーを上場させたりと無茶苦茶な組織だから東芝への対応も想定内の人が多いと思います。
財務報告書は、適切な会計基準に照らして粛々と数字をまとめれば終わりでしょうが、同時に報告が必要とされる「財務報告に係る内部統制報告書」はどんな内容になるのかに興味があります。「重大な欠陥」がないとは絶対に書けないわけで、過去「適正」とされた内部統制報告書が間違いでしたって総懺悔になります。
そもそも、手間とコストばかりがかかり屋上屋を重ねる有効性に疑問のある制度であり、これを奇貨として制度見直し・・・・コーポレート・ガバナンスコードもできたわけで、やめてくれると一番ありがたい(苦笑)
細かいんですが決算短信の45日以内発表は東証規則であって会社法とは関係ありません。
そのgumiは本日ストップ高。
4億の赤字が一転、4億の黒字予想になりましたが、よく分からない会社ですね。
サムスンやアップルに今後勝てる日本のエレクトロニクス会社はでてくるんでしょうかね?
東芝
東芝は社員に対しずいぶん厳しい会社だという印象を持っています。
鬱病や過剰労働で社員を追い込んでも何の反省もしない会社というイメージ。こういう会社の社員はどういう人間に育つでしょう?
本当のことを言ったら詰められる、鬱病になったら首。
当然嘘をついてでも業績をよく見せようとすると思います。
結構根深いと思いますよ。
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

06月 | 2017年07月 | 08月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム