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トヨタ自動車の新型株式は当局主導による第2のライツイシュー

2015年06月18日

トヨタ自動車の新型株式は当局主導による第2のライツイシュー


 トヨタ自動車は6月16日開催の定時株主総会で定款変更を特別決議し(出席株主の3分の2以上が賛成)、その後の取締役会でAA型種類株なる新株を上限5000億円発行することと、その発行金額を上回る6000億円を上限とする自社株買いを決定しました。

 AA型種類株の仕組みは後述しますが、トヨタ自動車にとってわざわざ発行に踏み切らなければならない積極的な理由(メリット)はほとんど見当たりません。直感的に個人の株式保有を推進したい金融当局が超優良企業のトヨタ自動車に強くお願いして(圧力をかけて)、少なくとも元本リスクのない新株の発行に踏み切らせたと考えます。

 金融当局(金融庁、証券取引等監視委員会、東京証券取引所)は以前にも、既存株主の利益を損なわないとの「全く誤った理屈で」ライツイシューなる新株発行を推進し(第三者割当増資や公募増資は認めないがライツイシューなら認めたケースもありました)、あっという間に問題企業のエクイティファイナンスの「駆け込み寺」にしてしまったことがありました。

 もちろんトヨタ自動車は、こういった問題企業と比較すること自体が大変失礼な超優良企業ですが、政府からの強い要請でベースアップを率先して行ったように、金融当局が「正しい新株発行」と考える新株発行にお付き合いさせられてしまったのでしょう。

 ここで金融当局の考える「正しい新株発行」とは、希薄化しない(だったら新株発行しなければよい)、個人株主が買いやすい元本が保証されたもの(だったらリスクがあるからリターンもある株式投資にならない)、高い利回りが保障されている(これはトヨタ自動車の余分な負担でしかない)などのようで、実際そういう工夫が凝らされています。

 AA型種類株の発行条件は以下の通りです。

 発行株数が上限5000万株で、発行価格は決定日(7月2日から6日までのどこか)の引値に1.26~1.30を掛けた価格(下限が6000円)で、上限は規定されていませんが発行登録の上限が5000億円なので1株=10000円を想定しているようです。発行決議した6月16日の引値は8395円でした。

 非上場なので基本的には流動性がありませんが議決権は付与されます。また配当利回りは初年度が0.5%、以後毎年0.5%ずつ増加して5年目以降は2.5%となります。トヨタ自動車が配当できなくなる恐れはありませんが、一応は累積型(払われなかった配当は次年度以降に累積され消えない)となっています。

 ちなみにトヨタ自動車の2015年3月期の年間配当は200円なので、時価で計算した普通株の配当利回りは2.38%となります。AA型種類株の配当が普通株に優先するというわけでもなさそうですが、いくらかは普通株よりも配当総額が少なくて済みます。

 AA型種類株保有者は発行5年経過後に年2回普通株へ発行価格(例えば10000円)で転換できますが、最大の特色は同じく発行5年経過後に年4回トヨタ自動車に発行価格プラス経過配当分で買取りを請求できるところです。つまり「元本保証」の新株です。

 しかしトヨタ自動車も発行の約5年8か月後である平成33年4月2日以降、毎年4月の第2営業日にAA型種類株を発行価格プラス経過配当分で「全額」買い戻すことができるようになっています。

 さらにトヨタ自動車はこのAA型種類株と同株数である5000万株・6000億円をそれぞれ上限とする自社株買いを行います。これは別途決議されている4000万株・3000億円をそれぞれ上限とする自社株買いとは別個に行われます。

 つまりトヨタ自動車からすればAA型種類株が全株普通株に転換されても全体では発行株数が減少することになり(自社株買いの株数の方が多いから)、また実際には平成33年4月以降は株価が転換価格を上回っていても下回っていても「こんな面倒くさい種類株」などさっさと買い戻して消却してしまうと考えます。配当が少なくて済むという唯一のメリットも終わってしまっているからです。

 そもそもトヨタ自動車に自社株買いを組み合わせてまでわざわざ新株を発行する必要は全くなく、仮に株価が転換価格を上回っていても「値下がりリスクが怖い投資家」が果敢に普通株に転換するとも考えられません。トヨタ自動車株を買ってみようとする投資家がいるなら市場ではるかに安く購入できるからです。本日(6月17日)のトヨタ自動車株は、新株発行のニュースで条件反射的に値下がりし引値は8311円となっています。

 どう考えてもトヨタ自動車にとっても、この新株を購入する(野村證券に無理やり購入させられる)投資家にとっても、「何がメリットなのか?」がよくわからないAA型種類株となります。

 まあトヨタ自動車以外に「お付き合い」で発行してくれる企業がたくさん増えるとも思えず、そのうちに忘れ去られてしまうような気がします。株式市場とは頭の良い官僚が頭で考えても、画期的なアイデアが生まれるところではありません。

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コメント
 借金みたいな株ですね。
AA
投資家から見て、AA株は放置プレイでインフレリスクとデフレリスクの両方に備えることができる優れものです。
資産運用は毎日毎日値動きを追わなければならず、面倒です。少ししくじると、何十万円と評価損が出て気分が良くないです。ところが、トヨタ株は円建で元本保証。夢みたいです。
損しない。きっと夢です。
高齢者や初心者ホイホイ株
トヨタの看板で野村が手数料ガッポリ。
トヨタは歴史的に景気が良くなると羽目を外す傾向があるがこの種類株発行には驚きましたね。裏で金融当局が絡んでる訳ですか。トヨタ様に頼らずとも単元株制度などをはじめ旧来のアホな制度を廃止すれば証券市場は活性化できると思いますよ。
種類株にも驚いたが女性常務の麻薬密輸はもっと驚いた。
最近のトヨタは暴走気味ですねぇ。
国内個人投資家なら
リスク大嫌いな日本の個人投資家向けには良い商品だと思います。トヨタにも考えがあるのでしょう。
非上場株式の配当は
年10万までなら
地方税の申告で1割
国へは源泉徴収2割です

10万超えると
総合課税&地方税共に
申告しなければなりません

所得増税と地方税
そして 5年後定年を迎えていて
国民健康保険では 債券では源泉徴収で
終わりますが
非上場の配当は所得とみなされ
所得ゼロの優遇は 全く以って
受けられません

ほとほと疲れ果てて
得る果実は少ない
正に国にとって
美味しい凍死家いらっしゃいの世界です
これはトヨタから野村へのプレゼントだ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NQQOSC6TTDS201.html
トヨタ新株に5倍の需要、野村最大の引受案件
手数料225億円
野村ホールディングス が単独主幹事を務めるトヨタ自動車 の新型株の購入を希望する投資家の需要が、発行上限の5000億円を大きく超えた
野村にとって過去最大規模のエクイティ案件となり、手数料は225億円と収益に大きく貢献する。


予想通りウハウハですね~
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