闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

不作為の円高

2011年05月06日

不作為の円高

 5月2日付け「確信犯のドル安」でも書きましたように、米国FRBは昨年11月からの6000億ドル国債買い入れは予定通りに6月で終了するものの、償還が来たFRB保有の国債や住宅ローン担保証券も国債に再投資して残高を維持し、結果的に超金融緩和状態を維持すると、バーナンキFRB議長が発表しました。

 つまり、米国は国内景気対策を最優先し、その結果のドル安にはとりあえず目をつぶる政策を選択したのです。

 そして、日本が連休中に予定通りドル安が進み、本日(5月5日)午後7時半ころに79円台へ入り、午後8時ころに79.57円の高値をつけました。本日早朝から比べると1円以上の円高となっています。
 
 しかしドルは、ユーロや豪ドルやスイスフラン等に対しては、それほど弱含んでいるわけではなく、従って円はユーロに対しても118円、豪ドルに対しても85円程度と、円高が進んでいます。

 また、金もバーナンキ発言直後に1570ドル程度まで上昇したのですが、現在は1500ドル前後まで値下がりしています。これはソロスのファンドが売却したのではないかという噂と,CMEが銀の証拠金率を引き上げた影響だと言われています。

 つまり、バーナンキ発言以降、ドルに対して最も強くなったのが、世界最弱の経済状態である日本の円なのです。

 最近値上がりが激しかったユーロも豪ドルも金も、過剰流動性を背景とした投機資金で押し上げられていた側面が強く、そういう意味では最近買われていなかった円が新たに投機の対象となる可能性も出てきているのです。

 良く考えてみますと、自らドル安政策をとった米国はもちろん、財政規律とインフレ抑制を重視して利上げに踏み切っているユーロ圏や、資金流入に伴うインフレを緩和するためにもはっきりと金融引き締めに向かっている中国・インド・ブラジルなどにしても、出来れば自国の通貨を安くしておきたいという思惑があるはずです。自国通貨高はインフレ抑制になっても自国経済にとっては好ましいことではないからです。

 つまり、現在は自国通貨を喜んで強くしようという国は、どこにもないのです。

 そうなると、特に自国の経済運営に対して何の手も打っていない日本の円は、逆に格好の投機の対象となる可能性があるのです。

 経済が世界最弱であることに加え、大震災からの復興を優先しなければならない日本こそ、国をあげて経済運営の方向を内外にしめさないと、ますます円高になり、ますます経済が停滞してしまい、ますます財政赤字が膨らむと言う、どうしようもない状態に陥ってしまうのです。

 繰り返しですが、米国も、ユーロ圏も、中国も、インドも、ブラジルも、自国経済を最優先に考えた明確な経済政策がとられています。それが正しいかどうかではなく、自国経済にとって一番良いと思われる経済政策を思い切って取っているのです。

 日本は、この「自国経済を最優先に考える」という国民にとって一番大事なことが抜け落ちているのです。また、そういう議論すら出てきていません。

 だから、円高になるのです。

 まさに「不作為の円高」なのです。

 「不作為」というのは「責任を放棄している」ことなのです。

平成23年5月6日

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:0 | TrackBack:0
関連記事
コメント
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

08月 | 2017年09月 | 10月
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム