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オリンパス事件の光と影 その17

2015年07月02日

オリンパス事件の光と影 その17


 本日は久々にヘッジファンドの話題にすると予告していたのですが、(ご指摘も頂いたように)オリンパス事件に関する判決が言い渡される日だったので、急遽差し替えました。

 オリンパス事件で巨額損失隠しの「指南役」とされ、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などに問われていた横尾宣政氏ら3名に対する判決が、本日(7月1日)東京地方裁判所・刑事第15部(芹沢政治裁判長)で言い渡されました。

 横尾氏に懲役4年、罰金1000万円、残る2名のうち1名に懲役3年、罰金600万円の実刑判決が言い渡され、残る1名も執行猶予つきの有罪判決となりました。

 日本におけるオリンパス事件の裁判で、最初の(そしてたぶん最後の)実刑判決となります。

 日本におけるオリンパス事件では、2013年7月に菊川社長(当時)らオリンパス幹部3名に執行猶予つきの有罪判決が、法人としてのオリンパスに7億円の罰金が言い渡され、それぞれ確定しています。

 1980年代から延々と損失隠しを続けていたオリンパスで、罪に問われたのがこの3名だけで、あとは(時効の壁もありましたが)すべて逃げ切ってしまいました。

 さらにオリンパスの会社ぐるみの事件ではなかったとするために、外部の「指南役」が損失隠しを主導したというかなり無理のあるシナリオが用意されたのですが、肝心の「指南役」とされた中川氏は2014年12月の判決で「幇助」だったと認定されました(中川氏は控訴)。

 本日の判決でも、同じく「指南役」とされた横尾氏ら3名は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)ではやはり「幇助」だったと認定されています。

 つまりオリンパス事件とは、金融商品取引法違反では(これがオリンパス事件のすべてというのも無理がありますが)オリンパスあるいは菊川氏らあるいは起訴されなかったオリンパスの誰かが主導した犯罪だったことが、あとから認定されたことになります。

 まあ菊川氏らと法人としてのオリンパスの判決は確定しており、オリンパスも上場が維持されたままなので「ちょっとおかしかったかもしれないね」で済んでしまいます。

 それでは横尾氏ら2名は、なぜ実刑判決となったのでしょう。それは横尾氏ら2名は、金融商品取引法違反のほかに詐欺罪でも起訴されていたからです。

 横尾氏ら2名は金融商品取引法違反で起訴された翌月の2012年3月に、オリンパスに700億円もの架空ののれん代を計上させた国内企業3社の株式を、(たぶん)同価格で群馬県の群栄化学工業にも販売しており、これが3億4800万円を同社からだまし取った詐欺事件であると追起訴されていました。

 横尾氏ら2名は、この詐欺事件で実刑判決となったのですが、よく考えると大変に奇妙です。群栄化学工業に販売した株式が、実際の価値よりも3億4800万円「高かった」ことが詐欺行為に当たるなら、700億円も「高かった」オリンパスへの販売は「もっと」詐欺行為に当たり、それを購入したオリンパスの責任も重大となりますが、これらは一切問題とされていません。

 つまり起訴当時、横尾氏ら3名が取り調べで頑として否認していたため、捜査当局が「オリンパスに国内3社の株式を実際の価値よりも700億円も高く販売するために、他の上場会社(群栄化学工業)に同じように3億4800万円高く販売するという詐欺的行為を行い、その700億円をオリンパスが架空ののれん代に計上するように積極的に働きかけ有価証券報告書の虚偽記載を主導した」という奇怪なシナリオをつくり上げたことになります。

 本日の判決では、肝心の有価証券報告書の虚偽記載は「幇助」であると認定されたものの、本来はここを有罪とするために持ち出した群栄化学工業に対する「詐欺事件」で実刑判決が出てしまったことになります。

 横尾氏ら3名は否認していたため3年近くも拘留され、さらに2013年6月には組織的な犯罪による不正収益の規制等に関する法律違反でも追起訴され、挙句の果てに実刑判決となってしまいました。

 よく事件の取り調べで検事から「早く認めないと絶対に保釈させないで実刑にするぞ」と脅されるという話を聞くのですが、まさにその通りになってしまったことになります。

 オリンパス事件の単行本にも、本日の判決要旨をよく読んで取り入れることにします。

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コメント
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)「など」とか
あたかも「幇助」で実刑がついたようにミスリードした形で各社一律報道されてましたよね。
長き裁判の中でオリンパス事件の「主犯」とか「共謀」はいつのまにかどこかに消えてしまいました。

また群栄化学工業の件は今回のマスコミ報道では一切でませんでした。とっても不思議ですね。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44016
スクープ記者が最期まで踏み込めなかった「黒幕」とは?

闇株新聞の新刊に益々期待が高まります!
今度は東芝事件の光と影ですね
不適切会計1000億円突破!?
粉飾決算なら上場廃止ですか?
何故かマスコミは「粉飾決算」とは言いませんね。
http://uk.reuters.com/article/2015/07/07/commerzbank-olympus-crime-idUKL1N0ZN17E20150707
因果応報といっても
確かに彼一人ババ引いた感じですよねえ
いわゆる名前が挙がらなかった「逃亡者」らが「日本の当局」から追及を免れた理由を「個別に」検証することは大変意義深いと思います。

最終的にスクープしたファクタ誌の追及は甘かったようですので闇株さんにとても期待してます。
GS買い継続6100円レーティング
株価は過去6カ月間、同業他社に比べて軟調に推移してきたが、以下の5つの観点から同社株を引き続き医療機器カバレッジにおけるトップピックとした。(1)医療事業の高い成長ポテンシャル、(2)映像事業の縮小均衡に向けた着実な動き、(3)債務圧縮、(4)米国司法省調査と株主訴訟の決着(影響はあくまで一過性となる見込み)、(5)割安なバリュエーション。
また、株価上昇のカタリストとして下記の3点を挙げた。(1)医療事業をけん引役とした、今16.3期における業績モメンタムの改善、(2)映像事業における構造改革効果の発現、(3)米国司法省(DoJ)調査と株主訴訟の決着。

なんだかなあ
http://www.sankei.com/west/news/150721/wst1507210038-n1.html
オリンパスに2千万円賠償命令、「損失隠し株下落」で大阪地裁判決

東芝も保有し続けるのが正解ですかね
野村OBとコメルツOB指南役同士は接点なかったんですかね?
COMMERZREALCR神谷町ビル
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/nfm/news/20080818/525337/
http://judiciary.asahi.com/articles/2012041700011.html
http://judiciary.asahi.com/articles/2012041700012.html
FTと日経。報道姿勢の違いに対する秀逸取材記事

http://edition.cnn.com/videos/tv/2015/07/24/exp-quest-means-business-poppy-harlow-michael-woodford.cnn
http://www.asahi.com/articles/ASH7W532ZH7WULZU00N.html
オリンパス元社長、FT買収に懸念「日経は企業と親密」
「日経は、日本の大企業への批判の先頭には立たない。その観点では日本メディアの中で最悪だ」と批判した

痛烈ですね。
http://judiciary.asahi.com/articles/2015080400002.html
日経のFT買収で欧米は「オリンパス事件報道」に注目「違いはなぜか」

日経の報道姿勢は治りそうにないようですねえ
ウッドフォード氏はその都度出番が増えるようです
http://jp.reuters.com/article/2015/08/06/olympus-results-idJPKCN0QB17J20150806
現経営陣の責任問題にはならないのかな?
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