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緊縮財政案を国民投票で否決 「ごね得」になりそうなギリシャ

2015年07月07日

緊縮財政案を国民投票で否決 「ごね得」になりそうなギリシャ


(お断り)
 本日(7月6日)の昼過ぎに先行配信した有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」のメインテーマ2に、最新の状況を加えて要約した記事です。


 金融支援の条件となる緊縮財政案の受け入れ可否を問うギリシャの国民投票は7月5日(現地時間、以下同じ)に行われ、金融支援の条件であるはずの緊縮財政案を否決してしまいました。

 6月30日には命綱だった2012年3月合意の金融支援が失効しており、同日が期限だったIMFへの返済・15億8000万ユーロ(2100億円)も遅延しています。国際債権団のなかでは今後もIMFへの返済を優先するとの取り決めがあるようで、今のところIMFがパニックになってギリシャの国有財産などを差し押さえて叩き売ってしまう事態は回避されています。

 さらにECBもギリシャ中央銀行を通じてギリシャ国内の銀行に供給していた緊急流動性支援(ELA)枠・890億ユーロの上限引き上げを拒否しており、実質的にギリシャの銀行へのユーロ供給を止めています。やむなくギリシャの銀行は6月29日から当面休業してATMを通じた預金引き出しを1日あたり60ユーロに制限するなどの資本規制を行い、ギリシャ経済が機能不全になっています。

 そういう状態で国民投票が強行されました。だいたい国庫が空っぽのギリシャが、金融支援を受けるための条件である緊縮財政案を国民投票にかけること自体が目茶苦茶な話ですが、それを国民が堂々と否決してしまった2重に滅茶苦茶な話となります。

 国民投票の結果を受けて、本日(7月6日)午後にメルケル首相とオランド大統領が電話会談で今後の対応を相談し、あす(7月7日)にもユーロ圏首脳会議を招集するようです。もちろんギリシャも堂々と出席します。

 悩ましいことにユーロに加盟するギリシャ以外の18ヶ国は、ギリシャをどう扱うか(支援するのかユーロから放り出すのかなど)についてそれぞれの「民意」を確認できていません。そうでなくても全体としての意思決定が遅いユーロ圏で、唯一「民意」を得たギリシャに押されてしまう可能性がでてきました。

 それよりも時間的に切羽詰まった問題は、ECBが緊急流動性支援(ELA)枠の引き上げを認めるかどうかです。認められなければギリシャの銀行にユーロがほとんどない状況には変わりなく、資本規制を続けざるを得ません。

 国がデフォルトしても国民がすぐに困るわけではありませんが、銀行にユーロがほとんどなくなれば経済活動が止まってしまい国民の生活に「直ちに」支障が出ます。

 またギリシャの銀行が行き詰まれば(すでに行き詰まっておりELAで生きながらえているだけですが)ユーロ圏全体の銀行にも少なからず悪影響が波及します。このELA枠拡大はECB理事会の決定事項ですが、ユーロ圏諸国から選ばれている理事がユーロ圏全体の銀行に悪影響が及ぶ可能性のあるELA枠拡大をいつまで拒否できるかも不明です。

 こう考えていくと、どうもギリシャの「ごね得」になる可能性が出てきました。欧州の軍事上の要地であるギリシャに、ロシアや中国が金融支援をエサに接近する気配もあるからです。

 本日の日経平均は427円安の20112円となり、欧米の株式市場も下落して始まっています。しかしギリシャが「ごね得」となれば、逆に世界の株式市場にとっては安心材料となります。

 そうするとギリシャのユーロ離脱(追放)の可能性もほとんどなくなります。仮にあるとすれば最も現実的な方法は、国際的に通用する通貨(ユーロ)を残したまま、国内でしか通用しない通貨(国内通貨)を流通させることです。要するに二重為替制度で、1994年までの中国、現在でもキューバで行われています。

 当然に国内通貨の価値は国際的に通用するユーロに対して減価しますが、貿易などの対外決済には割高となったユーロを使うことになります。輸出は割安になった国内通貨でコストが換算されるためユーロ建てでは価格競争力が出ますが、輸入価格は国内通貨換算で大幅に値上がりしてしまいます。

 現在のギリシャの経常収支は赤字ですが、輸出競争力が回復して黒字化すれば蓄積される割高なユーロと国内通貨との差益を財政赤字の補填に使用することもできますが、ちょっと考えただけでも問題点が多く簡単ではありません。

 結局のところギリシャのユーロ離脱(追放)も、そのうち騒がれなくなってしまうような気がします。すべてギリシャの「ごね得」となってしまいそうです。


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コメント
ギリシャの実生産が動き出す仕組みが必要。
ギリシャは単なる緊縮策では、経済も縮小でダメ。
かと言って、公務員給与・年金の垂れ流しもダメ。

ギリシャの実生産が動き出す仕組みが必要。
しかし、闇さんのおっしゃる二重通貨制に加えて、軽工業の投資が良いかと思われる。
ギリシャがごね得となれば、日本も財政拡大派が勢いづいて、緊縮派は引っ込むしかなくなるのでしょうね。
しかしその財源は、国民の金融資産なのだから、冗談はやめてくれ、としか言いようがないのですが。
債務返済を免除すべきか
ギリシャの債務返済を免除すべきかについて、免除すべきでないという意見と、ドイツだって第二次世界大戦後に債務返済免除を受けたのだからギリシャにも免除すべきという異なる意見があるようです。参考までに本ブログの著者様は、どのようにお考えでしょうか。
二重通貨制度はいい解決案かも知れませんね。
昔、東欧を旅行したときにドルの小額紙幣は役に立ち
ましたが、公定レートとはかけ離れた闇レートで
両替可能だったことを思い出しました。

それも一種の二重通貨みたいなものかも
知れませんし。
> 全体としての意思決定が遅いユーロ圏で、唯一「民意」を得たギリシャに押されてしまう可能性がでてきました。

これがよくわからないです。ギリシャが勝手にやった国民投票結果がある種の強制力を持つのは、ギリシャ自身、もしくはギリシャ政府に対してであって、他国にとっては関係が無く、「勝手にやってろよ」と無視したって非難を受けることは無いと思います。

それどころか、EU各国首脳が「ギリシャの国民投票を尊重すべきもので、そのために我々はギリシャの言うことを聞くことにしました。」と言いはじめたら、それを支持するEU諸国民はいないと思うのです。だから国民投票結果に影響されないでEU首脳陣は動けるのではないでしょうか。

と思っていたのに、メルケル首相、オランド首相は「投票結果を尊重する」と発言し、デイセルブルム議長も「ギリシャの提案をまず聞く」と発言しています。支援協議を打ち切った先週とはまるで違う対応なのですが、いったいどんなロジックでEU首脳陣はこんな対応をしているのでしょう?
 さくっとクーデター案はなくなったわけですが、仮に「ごね得」となると、真似しようとする赤字国は増えるのではないでしょうか。イタリアやスペインは「割高なユーロにより生産性を強く出来ない」と考えていれば、そこを補完するシステムをユーロ圏に作ろうとするかもしれません。欧州ドイツ一強通貨が壊れる可能性が出てきたのかもしれません。
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