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再び危険な香りがし始めた旧・村上ファンド

2015年07月30日

再び危険な香りがし始めた旧・村上ファンド


 2006年6月に、旧ライブドアも巻き込んだニッポン放送株のインサイダー取引で摘発され有罪となった村上世彰氏が、親族の経営する投資会社らとともに黒田電気(東証1部上場・コード7517)の発行済み株数の15%超を取得し、取締役4名の選任を求める株主提案と臨時株主総会請求を行っています。

 黒田電気の取締役会(6名、うち3名が社外)は、この株主提案に反対意見を表明していますが、臨時株主総会は8月21日に開催すると決定しています。つまり堂々と受けて立つわけです。

 表題の「再び危険な香りがし始めた」とはどういう意味なのか?というと、村上氏の手法は2006年当時とほとんど変わっていませんが、2006年当時は「当局すべてを敵に回していた」村上氏が、今回は金融庁と東京証券取引所が策定して本年6月から適用されているコーポレートガバナンス・コードの指針である社外取締役の選任や株主還元の増額を求めているため「まさに当局の意向通り」になってしまうからです。

 村上氏に対する本誌の考えは、株主権を背景に会社の経営陣に圧力をかけ(自分だけではありませんが)株主としての権利・収入を極限まで追求する手法には賛同できません。これは村上氏だけでなく、ソニーに投資していた(撤退しましたが)ダニエル・ローブ氏らの行動に対しても全く同じで(なぜか日本では外国人なら称賛されるという悪しき慣習がありますが)、要するに賛同できません。

 上場会社に限らず企業活動というものは、株主や社会に対して責任を負った経営陣が(そういう自覚のない経営陣も結構いますが)リスクを取って企業価値が最大になるように経営を行うものであり、その評価は上場会社であれば株価で判断されるものとなります。純利益をすべて株主還元してしまい将来を見据えた投資活動などを無視してしまえば、長い目でみた企業の成長も株主の利益も損なわれてしまいます。

 また企業の経営や株価等に不満のある株主には、株主総会で各種提案や経営陣の交代などを諮る(はかる)権利があります。ここを拡大解釈すれば、ある株主が経営陣の交代(要するに乗っ取り)の株主提案を行い、ほかの株主の賛同を得て少ない株数でも会社を乗っ取れる権利があることにもなりますが、あまりむやみに乱発すべきものではなく、ましてや自ら保有する株式の値上がりや売り抜けだけを狙うものは「好ましくない」と考えるべきです。

 しかしこういった行動は、まさにコーポレートガバナンス・コードが「好ましいもの」とするものにほかならず、村上氏が2006年当時と全く同じ行動を続けているにもかかわらず、現時点では「当局の意向に沿った大変に好ましい行動」となってしまいます。

 ここが本日の「もっとも主張したいポイント」です。

 本誌が村上氏の行動に批判的でも肯定的でも世間的には全く影響力はありませんが、「当局の意向に忠実に沿っている」となれば全く重みが違ってきます。

 ちなみに「当局の意向に沿っている」村上氏らは黒田電気に対して、営業債権を含めたネットキャッシュが244億円あるので当期純利益(平成27年3月期は67億円)の100%を株主還元に充てても財務的には十分に余裕があるはずと主張しています。仮に全額を現金配当すれば1株=180円ほどになってしまいます。

 黒田電気の平成27年3月期の配当は通年で1株=36円と発表されていましたが、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を受け止めたのか村上氏らの提案に対応するためなのかは不明ですが、7月10日に1株=94円に大幅増額するとともに、今後の(とりあえず平成29年3月期までのようですが)配当性向も将来の投資機会も勘案して40%~65%にすると発表しています。

 また村上氏らの取締役4名選出の株主提案に対しても、すでに6名の取締役のうち3名が社外取締役であるため、わざわざさらに4名の(村上氏の意向を受けた)取締役を外部から受け入れる必要はないとも「株主提案に対する反対意見」のなかで主張しています。

 全く先入観なしに考えても黒田電気の機関決定や主張の方が納得できます。

 最後に蛇足ですが、村上氏らが4名だけの取締役候補を推薦しているのは、現任の6名の取締役が任期中であり(たぶん)定款で取締役の上限が10名と決められているからでしょう。

 だとすると仮に臨時株主総会で4名が取締役に選任されたとしても、村上氏らは取締役会の過半数を取れないことになります。そこは聡明な村上氏のことなので6名の現任取締役のうち2名をすでに「取り込んでいる」と推測します。

 村上氏らの方が「コーポレートガバナンス」がより重視されているからという「言い訳」も用意されているのでしょうね。

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コメント
>7月10日に1株=94円に大幅増額するとともに、今後の(とりあえず平成29年3月期までのようですが)配当性向も将来の投資機会も勘案して40%~65%にすると発表しています。

この時点で村上ファンドの狙いは半分達成できてると思いますがどうでしょう?
村上ファンドだからと悪い先入観持ってませんか?

それに
>企業活動というものは、株主や社会に対して責任を負った経営陣が(そういう自覚のない経営陣も結構いますが)リスクを取って企業価値が最大になるように経営を行うもの

とありますが、リスクを取ってる(経済的責任を負ってる)のは株主であって、経営陣ではありません。そして責任を負ってる以上、株主が物言うのは当然のことです。
むしろ株主にカネだけ出して口出すなと言う、会社を私物化する経営者の方が害悪だと思いますが?
(黒田電気がそうだというこではありません)

株式会社というシステム上、経営者は株主から経営を委託されているに過ぎません。
現経営者の考えに沿わない=敵対的
というのは歪んだ考えです。

私は元凶はキャッシュを抱えたまま株価が安値で放置される(歪んだ株価を放置する)状況を作った黒田電気経営陣にあると思います。
村上ファンドは落ちてるお金を拾ったに過ぎません。
村上親子はもっともらしいことを雄弁に語ってるが要するに現金溜め込んでる企業に株主の権利をかざして、金出さんかい!コラァ!!と、半ば恐喝してるようなもの。
コーポレートガバナンス・コードの指針である社外取締役の選任や株主還元の増額を求めるならば、今もってこいの企業があるじゃないですか?
元通産官僚の村上さん、そんな中小企業ばかりいじめないで、芝浦にある通産省の外局的大企業の株を買い占めて社外取締役になって、コーポレートガバナンスとやらを上には逆らえない役員達に指導して経営再建すれば世間の尊敬を集めることでしょう。
ファンドが活発になる兆し
先月の日経新聞によると、企業の手元資金残高・株主還元額共に過去最高水準になったとのことです。(ソースは日経電子版の限定記事になります)
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLZO8907384008072015DTA000
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD08HBM_R10C15A7MM0000/

企業の手元資金・内部留保が非常に増えている状況では、村上ファンドのようなアクティビストファンドが活発になってくるのは必然の流れかと思います。企業が投資先を持たず手元に現金をだぶつかせているだけなら、株主が「別の投資先を探すから株主に返せ」と言うのは当然の権利です。企業側ももう少しリスクを取って積極的に投資を行っていくべきではないでしょうか。(ただし、中国バブル崩壊等のリスクに備えて一定程度資金を留保しておく必要性はあると思います。)

そのように考えて、黒田電気の決算短信を見てみたのですが、平成27年度の営業キャッシュフローがマイナスになっていますね。村上ファンドの主張通りストックでの現金等はそれなりにありますが、必ずしも余裕があるとは言えない気がします(内部留保は500億円程ありますが)。

もし営業C/Fを増やす施策をうつために取締役を入れることを考えているのであれば、今回の株主提案は悪くないと思います。もし村上氏の狙いが企業の切り売りであれば問題ですが、もう少し根拠が欲しい所です。数年前から日本企業も海外で多くのM&Aを行っているわけですから、10年前の感情的な「ハゲタカ」認識のままでよいはずはなく、上場企業である以上株主を意識した経営を行うことが必要です。

アベノミクスにより貸し出しが増えずとも企業にインフレ予想が形成され、手元資金を設備投資に振り向けるとの仮定がありましたが、見事に否定される結果となっています。日銀の当座預金残高が増え続けるのみ、銀行は国債を多く保有するのみで、企業は手元資金をだぶつかせているのみ、とすれば日本全体での経済活動が滞っているということですので、アクティビストファンドが企業の設備投資を促すために嫌われ役を引き受けて企業のケツを叩くことは必要な時期に来ているのかなという気がします。
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