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プラザ合意から30年 その教訓とは?

2015年09月25日

プラザ合意から30年 その教訓とは?


 昨日付け「これだけは言っておきたい安保関連法案」にたくさんのコメントをいただき、本当にありがとうございました。予想したより「ご批判」が少なく安心しました。いただいた貴重なコメントを反映させて、またこのテーマで書くことになると思います。

 しかし本日は、1985年9月22日の「プラザ合意」からちょうど30年なので、このテーマとなります。

 「プラザ合意」とは、名前の通りNY・5番街のセントラルパーク東南角にある超高級のプラザホテルに集まった先進5か国の蔵相・中央銀行総裁会議で取り決められた為替レート安定化に関する合意のことですが、その内容は「主な非ドル通貨の秩序ある上昇」という変な表現になっていました。

 余談ですが、あのドナルド・トランプが一時期このプラザホテルを所有していました。

 この先進5か国とは米・英・独・仏・日本のことで、当時はユーロが存在しないため非ドル通貨であるポンド・マルク・フラン・円を、ドルに対して上昇させる(つまりドルを下落させる)という取り決めでした。

 当時の米国は、レーガン政権による大減税と軍事費の拡大による大幅な財政赤字と経常収支の赤字(双子の赤字)、それにボルカーFRB議長による高インフレ鎮静化のための厳しい金融引き締めの組み合わせで長短金利とも2ケタの高金利となり、世界中から投資資金(主に証券投資)が米国に集まりドル高となり、1985年2月には一時1ドル=260円となりました。

 ちょうど日本では1980年の外為法改正で機関投資家の対外投資が原則自由化され、主に生損保、少し遅れて郵貯・簡保による猛烈なドル債購入となり、ドル高・円安が加速していました。もちろん当時の米国は双子の赤字をファイナンスするため海外からの投資資金を呼び込む必要があり、日本政府(旧大蔵省)が外為法を改正して「協力」したわけです。

 ところがさすがにここまでドル高が進むと米国産業界から悲鳴があがり、先進5か国による協調ドル売り介入でドルの水準を「少しだけ」引き下げようと取り決めたのが「プラザ合意」でした。後年この「少しだけ」とは10~12%だったことがわかりますが、米国以外の4か国も「少しだけ」なら自国通貨高・ドル安は許容しようと考えたようです。

 当時の国際通貨体制とは、戦後のドルだけを金に1オンス=35ドルで固定して他国の通貨をドルに固定するブレトンウッズ体制が、1971年8月のニクソン大統領による金・ドル交換停止で瓦解し、同年12月のスミソニアン合意でドルを全面的に引き下げて(1ドル=360円から308円など)固定相場に復帰したものの再びドル売りに見舞われ、1976年1月に完全変動相場制となり現在に至ります。

 ところが「プラザ合意」直後の協調ドル売り介入で、ドルは1ドル=235円からたった1日で215円まで下落し(この時点で目標の10%に近い水準訂正となっていた)、1986年末には1ドル=160円となってしまいました。さすがに「これはマズイ」と1987年2月にはドルの下落に歯止めをかける「ルーブル合意」がなされますが全く効果がなく、1988年初めには1ドル=120円になってしまいました。

 ところが肝心の米国経常収支の赤字はなかなか縮小せず、米国議会ではとくに日本に対する保護主義が台頭しました。さらに国際的な協調体制も崩れはじめ1987年10月にはドイツが一方的に利上げしたためブラックマンデーとなり、日本では円高による景気後退を避けるために積極的な金融緩和が行われ典型的なバブルとなってしまいました。

 つまりその後の世界経済にとって「プラザ合意」とは弊害ばかりだったことになりますが、じゃあ単なる昔話なのかというと、そうでもありません。

 世界の金利水準は当時と比べようがないほど低下していますが、それでも先進国では比較的金利が高い米国に世界の投資資金が集中してドル高となっている状況は同じようなもので、いつ米国産業界からドル高是正の大合唱が起こらないとも限りません。

 当時の経験だけで判断しているわけではありませんが、あれだけ死角がなかったドルが「プラザ合意」というちょっとした人為的な力を加えたことにより、誰も想像もしなかった水準まで下落してしまいました。

 先日の中国人民銀行による人民元のちょっとした引き下げも、人民元の水準というより中国経済と株式市場に思わぬダメージを与えてしまいました。

 いくら盤石に見えるものでも、ちょっとした人為的な力を加えることにより思わぬ結果になってしまうということが、「プラザ合意」から得られた貴重な教訓です。そしてそれは現在も覚えておくべき教訓のはずです。


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コメント
いろいろ残念です
闇株新聞さんもうちょっと頭のいい人だと思ってましたが・・・
いつもはそれほどコメントがつかないブログなのに(失礼!)安保関連の記事にはドドドッとコメントがついたのおかしいと思いませんでしたか?
試しにネトウヨが喜びそうな嫌韓嫌中の記事も書いてみてください。同じくらいコメントつくから。
「ネットの意見=世間の意見」などと思ってしまったらあの三代目と同じレベルです。

個人的には安保関連法案はパンドラの箱を開けてしまったと思っています。
一時的には日本の軍需産業を潤しますが長期的には日本を滅ぼします。
日本人が「軍」というものを制御できないことは歴史が証明してるではありませんか。

頭の良し悪しを語る人は鏡を見たらよろしいかと。
そんなことより、フォルクスワーゲンの件で何か経済への影響に対する見解はありませんでしょうか?
またのコメントを
安保法制についてまたコメントいただけるとの事なので、

1.政府説明の『我が国の存立を脅かす危機に対処するために集団的自衛権を行使する』と、個別的自衛権の違い

2.個別的自衛権では喧嘩出来ない理由

3.相互貿易や国債の大量保有や現体制保持等を考慮すると、米国、日本、中国、ロシア、韓国、北朝鮮が、本格的にコトを構えるという事は現実的に有り得ないと思えますが、闇株新聞様の見解をば

について見解をよろしくお願いします。
ホンマ闇株はんには失望したやで
Market Hackのほうがよっぽどためになるわ
失望
私は失望してません。
世の中は陰謀論で動いています。私が相場で大損しながらも生き残れたのは
そう考えてきたからです。
政治と経済を分けて考えるのはマスコミに毒されています。新聞を読めば読む程、もうからなくなります。
そこへ行くと、管理人さんはしっかり当ててます。昨年秋初めにバブル到来発言されたのは秀逸でした。
また、管理人さんは今秋に日銀追加緩和は確率低いだろうと予想されてます。私も不動産相場が戻りつつあることから、日銀が追加緩和するとは思えません。私の使っている不動産株リスク指標では、7月レベルの金融相場まで戻しており、これて追加緩和を考える方がおかしいです。私は追加緩和が欲しいので失望しています。
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