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フォルクスワーゲンの不正をどう考える?

2015年09月30日

フォルクスワーゲンの不正をどう考える?


 フォルクスワーゲン(以下、VW)がディーゼル車の排ガス規制を潜り抜けるために不正なソフトを搭載していた問題は、世界中で販売された最大1100万台が対象となる会社ぐるみで大掛かりで悪質な不正であったことが明らかになりつつあります。

 最新のニュースではVWのヴィンターコルン元CEO(9月23日に辞任)に対しドイツの地元検察が捜査に乗り出したようで、問題発覚となった米国だけでなく世界中で(最大の販売先である中国を含む)大掛かりなリコール・刑事事件・巨額罰金・集団訴訟の嵐となるはずです。

 直感的にはVWはこのまま現在の体制を維持できず、何かしらの組織再編になると考えます。またユーロ圏で独り勝ち状態だったドイツ経済にとっても大きな打撃となるはずで、単なる経済問題をこえて世界的な政治問題にまで発展する可能性もあります。

 つまりここにきて企業倫理がどうのとか、ドイツ式のコンプライアンス体制が機能しなかったなどと議論するより、オールジャパンとしてこの政治問題に(経済問題ではなく政治問題です)どのように参画していくかを考えるべきです。

 自動車産業は日本に残された数少ない競争力のある業種で、VWの不正車が間違いなく日本の道路にも排気ガスを大量に撒き散らしているため、官民とも黙って見ているという選択肢は絶対にありません。

 またVWをはじめとするドイツ企業は経営を監視する監査役会の権限が強大で、日本の金融庁が標榜する「コンプライアンス強化のお手本」のはずです。しかし体制だけ整えても不正は起こるときは起こるものなので、あまりルールの厳格化に拘らないことです。

 ただ最近の東芝のような日本企業の不正の大半は、カネにまつわるもので人命を危うくするものではありません。ところがVWは(やや大げさですが)排気ガスを不正に撒き散らして人命にも関わる問題でもあります。

 つまり今回のVWの不正は、カネにまつわる東芝など日本企業の不正とは全く違い、昨年ノバルティスが臨床データをねつ造して日本人の人命を危うくして巨額利益(1兆円超?)を上げた不正(なぜか不正という表現は使われていませんが)に近いものです。

 このノバルティスに対しては一部業務の15日間の営業停止だけという冗談のような行政処分で済ませてしまったのですが、こんな「舐められたまま」で済ませてはいけません。2014年6月13日付け「ノバルティス・パソナ・渡辺喜美」にも書いてあります。

 話をVWに戻します。VWとは1937年にヒトラーが提唱した国民車構想をうけフェルディナント・ポルシェ博士らが設立した国策会社が起源ですが、当時は収容所捕虜や周辺国の労働者を徴用して戦闘車両を製造していました。実際の自動車製造は戦後にイギリス軍が接収してからですが、現在の株主構成はポルシェ創業家が50.7%、地元のニーダーザクセン州が20%、カタール投資庁が17%となっています。

 またVWとはグループ全体で製造・販売台数がともに1000万をこえ、トヨタ自動車と世界のトップを争っています。つまりトヨタ自動車にとっては世界最大・最強の自動車メーカーの座が自然に転がり込んでくることになりますが、それはそれで世界から足を引っ張られる恐れもあり注意が必要です。

 今回の騒動発覚後、VWの株価は約4割下落して直近(9月28日現在)の時価総額が494億ユーロ(6.6兆円)なっており、トヨタ自動車の時価総額は本日(9月29日)の急落後でも22.9兆円あるため、時価総額だけ見ればトヨタ自動車がVWを傘下に入れることも可能です。しかしVWの現在の株主構成では現実的ではなく、また意味も全くありません。

 VWに対しては無条件リコールとか(やや無理筋でも)巨額罰金を課すなどの対処療法しかなさそうですが、VWは米国企業でも(日本にシンパの多い)中国の企業でもないため遠慮する必要はありません。

 そう考えてくるとやっぱりルノーに行きつきます。ルノーの時価総額は日産自動車の支配権付きにもかかわらず直近で184億ユーロ(2.4兆円)しかなく、中国経済の減速や今回のVWの不正で欧州自動車全体がもっと売り込まれることも考えられるため、今度こそ官民をあげてでも日産自動車を取り戻す大きなチャンスが到来したと考えます。

 2014年9月5日付け「そろそろ日産自動車を取り返そうではないか」と2015年4月10日付け「ここで一気に日産自動車を取り返してしまおう」に方法論を書いてあります。

 民間企業とはいえ日産産自動車がルノーに吸い上げられている各種ベネフィットを日本に取り戻すだけでも、格好の景気対策になるはずです。本日の記事は起承転結にやや無理があるかもしれませんが、やはりいつも考えているところに行きついてしまいました。


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コメント
日本では未発売では?
問題のディーゼルエンジン搭載車は、日本では発売されていなかったと思います。
ヨーロッパの何が欲しいか
ヨーロッパって、どこまで突っ込んで大丈夫なんだろう?
そして、ヨーロッパの何が日本にあれば、日本の安全と経済的繁栄に寄与するのか?

まずは数億人の市場。他には、新興国への決済銀行とか?。金融市場は、日本人には合わない気がする。

彼らは、自分たちの利益を守るためにこそルールはある、という最上位の運営ルールを厳守する気がします。日本とはそこが違う。オールジャパン(日本単独)ではなく、国際協調(といっても日米中ロしかないが)で突っ込んで行かないと、痛い目をみないですかね?そして、それをどういった枠組みでやるのか、私は知りません。

自分としては、ヨーロッパから諸々の規格策定主導権を引き剥がしたい。たとえば医療系。どうしょうもない重箱の隅ばかり付く規格が、逆に現実をコントロール不良に陥れる原因として抹消させる。これは上位思想的な概念からというより、日頃の仕事上の感情論からですが。。。

でもやっぱり、円 or ドル決済のヨーロッパ数億人市場が、もっともっと欲しいですね(国際協調で)
少々補足を
初めて私がコメントする余地がありそうな記事が出てきましたのでいくつか申し上げさせて頂きます。

今回問題になっているエンジン「EA189」型を搭載する車種は日本で正規販売されておりません。

排気ガス浄化装置つまり窒素酸化物吸蔵触媒をフル稼働させればカリフォルニア州の排気ガス規制を合格する事に注目すべき点があると思います。
カリフォルニア州の規制では20万キロ走行後も規制値内に収まっているという規定もあります。
窒素酸化物吸蔵触媒は排気ガスの熱害や燃料中の硫黄分でいわゆる「被毒」を起し浄化性能が低下していきます。
VWの技術者はこの20万キロ問題をクリア出来なかったのです。
技術者は悔しかった事でしょう。
プライドの高いドイツ人エンジニアのことですから。
そして今回のような邪道に進んだのは監査役会からの何かしらの強い圧力があったとしか思えません。
しかし地元欧州でもそのディフィートデバイスを実装した車種を販売していた事は同情する余地は全くないと思っています。

お家騒動やその「強い圧力」の話は筆者様のほうがきっと詳しいと思います。

記事を読んでいて投資家的というか経営者的視点に偏っているように感じましたので技術者的視点からコメントさせて頂きます。
 今回の騒動、力の綱引きが微妙非常に多岐に渡りるように感じます。米VS独・ロックフェラーVSロスチャイルド・北米VS欧州もしかするとEUVS独。そういう情報の信頼性が一番高いサイトはここですよね。
通りすがり様、K6A様

 ご指摘の通り問題のディーゼル車は日本に正規輸入されておらず、並行輸入車が数百台あるだけのようです。
したがって本記事の「巨額罰金」云々の箇所はトーンダウンさせなければなりませんが、オールジャパンとすれば自動車業界全体の信用を大きく毀損されたことは変わりなく、やはり徹底的に責任を追及すべきと考えます。


 oda_susi様、セナ様

 おっしゃる通り、まだ全体の対立構造がよく読めないためオールジャパンとしても方向感を出しにくいのですが、この点はまだまだ取り上げていきたいと考えています。

闇株新聞編集部
今は静観しかない
 貴ブログのこれまでの日産とルノーに関わる記事については全面的に賛同する。しかし能動的に動くという意味では、今はその時期ではないのでは。

 VWの件は、EUや西側世界の秩序を乱しかねないここ1〜2年のメルケルの身勝手な振舞い(過度な中共への肩入れ、ギリシャへの強硬対応、シリア内戦でのクルド人部隊への武器供与、難民受入れ歓迎表明等々)、に対する米国からの警告ではないかと感じる。

 元々ディーゼル車の疑惑は長年欧州や米国で燻っていた問題だが、米国はシェア4%程度のディーゼル車の話なので放置していたフシもある。ただ欧州は過半数がディーゼル車であり、今後VWは存亡の危機に陥るだろう。ダイ厶ラー、BMW、ルノー、プジョー辺りも巻き込まれる可能性は否定できない。

 独は元々そんなに親日的でないことも相俟って、本問題発覚後、ネット上では「日本は大喜びしてるだろう。クソっ!」といった日本憎しの論調も多いという。

 ギリシャ、難民、中国発世界経済危機に加えて新たなVW危機と難題目白押しで、これらにメルケル政権やEUがどのように対応していくか、当面日本は静観するしかない。

 今暫くは火事場泥棒的なマインドは厳に慎むべきだと思う。
20万キロ走行後でも
基準値の40倍との報道ですが にわかには信じられない数値だと思います。 触媒ストレートにしても出辛い数字だと考えられますが 古くなった触媒を恣意的に測定すれば 出るのでしょうか?

 罰金ビジネスとしての側面はないのかとも思います。専門家ではないので 憶測でのコメントは避けたいのですが
言いがかりに近いと思われる事例も過去にあったので 考えてしまいます

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